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森美術館にてカルティエ現代美術財団との共催による「ロン・ミュエク」展が、本日から開催

  • 2026.4.29
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森美術館とカルティエ現代美術財団の共催による「ロン・ミュエク」展が、本日4月29日(水)からスタート。初期作品から近作に至るまで、ミュエクの制作活動の全体が包括的に紹介され、日本初公開の作品も多く登場します。また、フランスの写真家兼映画監督のゴーティエ・ドゥブロンドによる、ミュエクの制作過程を記録した貴重な写真と映像作品も併せて公開に!

日本で18年ぶりとなる大規模個展「ロン・ミュエク」展

ロン・ミュエク《マス》2016~2017年 Photo:Nam Kiyong、Photo courtesy:Fondation Cartier pour l’art contemporain, National Museum of Modern and Contemporary Art, Korea

独創的な表現方法による具象的な作品で、彫刻アートの可能性を広げてきた現代美術作家ロン・ミュエクとカルティエ現代美術財団の長きに渡る関係性によって企画された、森美術館での「ロン・ミュエク」展。2023年のパリから始まり、ミラノとソウルに続く巡回展で、日本では18年ぶりとなるミュエクの作品を網羅的に紹介する大規模個展です。総作品数が50点程しかないというミュエクの作品を多数集めるのが困難とされる中、同展では11点が展示されます。

ロン・ミュエクの彫刻が問いかけるものとは

ロン・ミュエク《若いカップル》2013年 Photo:Nam Kiyong、Photo courtesy:Fondation Cartier pour l’art contemporain, National Museum of Modern and Contemporary Art, Korea

人間を綿密に観察し、哲学的な思索を重ねながら精緻な技法を用いて彫刻作品をつくりあげる、オーストラリア出身の現代美術作家ロン・ミュエク。1997年にロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで開催された「センセーション:サーチ・コレクションのヤング・ブリティッシュ・アーティスト」展への参加をきっかけに注目を集め、それ以降は世界各地で個展を開催するほどに。

実際の人物像よりもはるかに異なるサイズ感で表現されるミュエクの彫刻作品。知覚に対する先入観を鑑賞者へ訴えかけると同時に、実際に存在しそうであるというリアリティを問いかけながら、それぞれの解釈や思索を促す曖昧さも残しています。人間の内面的な感情や体験を巧みに表現する神秘的な作品は圧倒的な存在感を放ち、人間と身体の関係性と共に、生きるとはどういうことかという問いを考察する旅へと誘います。

森美術館での「ロン・ミュエク」展では、主要作品を中心に展示される11点のうち6点が日本初公開。その中から訪れる前に注目しておきたい3点をご紹介します。

展示空間ごとに表情を変える頭蓋骨の巨大インスタレーション《マス》

ロン・ミュエク《マス》2016~2017年 Photo:Nam Kiyong、Photo courtesy:Fondation Cartier pour l’art contemporain, National Museum of Modern and Contemporary Art, Korea

同展の中心をなすのは、巨大な頭蓋骨の彫刻100点で構成されるインスタレーション《マス》。オーストラリアのメルボルンで開催された「NGVトリエンナーレ 2017」にて初公開された同作は、その後フランスやイタリア、オランダ、そして直近では韓国で展示されました。それぞれの美術館の展示室の構造や特性に合わせてミュエク自らが再構成し、常に新しい発見を与えています。森美術館での展示も同様に、約300㎡にわたるサイトスペシフィックなインスタレーションに。

「メメント・モリ」(Memento Mori、死を忘れるな)というラテン語起源の思想と共に、西洋美術史の中では繰り返し登場してきた頭蓋骨というテーマ。医学や解剖学、考古学なども想起させ、現代のポピュラーカルチャーでもしばしば用いられる普遍的な主題です。同作は頭蓋骨それぞれの色合いとディテールが異なっており、その形状の複雑さや頭蓋骨の圧倒的な存在感が集団として迫ってきます。

<ロン・ミュエクのコメント>
人間の頭蓋骨は多義的な物体である。私たちがすぐにそれだと分かる、力強く鮮烈なアイコン。見慣れたものでありながら奇異でもあり、私たちは拒絶しつつも、同時に惹きつけられる。無視することはできず、無意識のうちに私たちは注意を向けてしまうのである。

なにげない日常の瞬間を捉えた《買い物中の女》

ロン・ミュエク《買い物中の女》2013年 Photo:Nam Kiyong、Photo courtesy:Fondation Cartier pour l’art contemporain, National Museum of Modern and Contemporary Art, Korea

両手に重い買い物袋を持ち、コートの中の懐には赤ん坊を抱えた母親の姿を描いた《買い物中の女》。日々の責任の重さに押しつぶされそうになっている、彼女の日常が読み取れるかのような疲れ果てた表情が印象的な作品です。ミュエクがロンドン北部のスタジオ近くで、とある母親が信号待ちをしている姿を偶然目にし、駐車券の裏にスケッチしたことがきっかけで制作されたそう。原寸よりも小さくつくられていることで、母親の疲労感や脆さや弱さが強調されています。

ティエポロの寓意画を再解釈した《エンジェル》

ロン・ミュエク《エンジェル》1997年 Photo courtesy:Anthony d'Offay, London

初期の代表作《エンジェル》は、ミュエクが脚光を浴びるきっかけとなった「センセーション:サーチ・コレクションのヤング・ブリティッシュ・アーティスト」展のニューヨーク巡回(ブルックリン美術館、1999~2000年)でも展示された作品。ミュエクがロンドンのナショナル・ギャラリーで、18世紀のイタリアの画家ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロによる《ヴィーナスと時間の寓意》を見たことをきっかけに制作したもので、ヴィーナスと共に描かれている“時間”を表す翼を持つ年老いた男性の人物像に想を得たといいます。ミュエクの作品では、背中に大きな翼を持つ男性が椅子に腰かけ、俯いて物思いにふけっている姿はどこか悲しげ。一般的な天使のイメージとは異なる、ミュエクらしい表現を感じられる作品です。

「ロン・ミュエク」展は本日から9月23日まで

ゴーティエ・ドゥブロンド《チキン/マン》2019~2025年 Hearst Owned

森美術館とカルティエ現代美術財団の共催による「ロン・ミュエク」展は、9月23日(水・祝)まで開催されています。同展では、フランスの写真家ゴーティエ・ドゥブロンドが制作した写真シリーズと映像2点も展示。25年以上にわたってミュエクの制作過程を記録したドゥブロンドの作品から、ロンドンと英国南部にあるスタジオの様子や比類なき彫刻作品がどのように生み出されるのかを垣間見ることができます。ぜひご注目ください。

【ロン・ミュエク】
会期/2026年4月29日(水・祝)~9月23日(水・祝)
※会期中無休
開館時間/10:00~22:00(※最終入館は閉館時間の30分前)
※火曜日のみ17:00まで
※5月5日(火曜日・祝日)、8月11日(火曜日・祝日)、9月22日(火曜日・祝日)は22:00まで
会場/森美術館
所在地/東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53階
料金/
[平日]一般¥2,300(¥2,100)、学生(高校・大学生)¥1,400(¥1,300)、中学生以下は無料、シニア(65歳以上)¥2,000(¥1,800)
[土・日・休日]一般¥2,500(¥2,300)、学生(高校・大学生)¥1,500(¥1,400)、中学生以下は無料、シニア(65歳以上)¥2,200(¥2,000)
※()はオンラインチケットの料金
※オンラインチケットサイトからの事前予約制(日時指定券)
※当日、日時指定枠に空きがある場合は、事前予約なしでも入館可能
※本展のチケットで同時開催プログラムも鑑賞可能
主催/森美術館、カルティエ現代美術財団
TEL/050-5541-8600(ハローダイヤル)
URL/www.mori.art.museum/jp/exhibitions/ronmueck

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