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「歩きにくいんだよ!」70代高齢男性の怒りが爆発…玄関前の“放置問題”が招いた住民同士の亀裂

  • 2026.5.24
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

マンションに住んでいると、共用廊下にベビーカーや荷物が置かれている光景を見かけた経験がある方も多いのではないでしょうか。

「少しの時間だけだから」
「子育て中だから仕方ない」

最初は、そんな空気で見過ごされるケースがほとんどです。

しかし不動産の現場では、この“少しくらい大丈夫”が積み重なった結果、深刻な問題へ発展するケースも少なくありません。特に共用廊下は、消防法上も避難経路として重要な場所です。私物放置は、災害時の逃げ遅れや放火による延焼リスクにつながる恐れもあります。

今日は、共用廊下のベビーカー放置をきっかけに、マンション全体の空気が崩壊してしまった、ある分譲マンションの実例をご紹介します。

「少しだけ置かせてほしい」が始まりだった

私が数年前に管理していた、ファミリー世帯中心の分譲マンションで起きた話です。総戸数はおよそ80戸。小さなお子さんがいる家庭も多く、比較的穏やかな雰囲気のマンションでした。

最初に問題になったのは、30代のAさん一家でした。Aさんは双子のお子さんを育てており、大型ベビーカーを日常的に使用していました。

さらに、エレベーター前の住戸だったこともあり、玄関前の共用廊下へベビーカーを置くようになったのです。当初は「小さい子どもがいるから仕方ないよね」という空気でした。実際、管理組合側も強く注意していませんでした。

ところが数カ月後、状況は徐々に変わっていきます。置く物が次々と増え始めたのです。

  • 三輪車
  • 子どものおもちゃ
  • キックボード
  • 傘立て

すると、高齢住民から苦情が出始めました。70代の男性住民が、管理会社へこう電話してきたそうです。

「通路が狭くて歩きにくいんだよ」
「地震や火事のとき、避難できなかったらどうするんだ」

さらに、車椅子利用の住民からも「角を曲がるたびに荷物を避けないといけない」という不満が出るようになりました。

消防設備点検で“避難経路障害”を指摘される

問題が大きく動いたのは、消防設備点検(火災報知器や避難設備などの法定点検)のタイミングでした。

点検業者から「共用廊下に私物が多く、避難経路障害に該当する可能性があります」と指摘が入ったのです。マンションの共用廊下は、消防法上も“避難経路”として重要な場所です。つまり、私物放置は、災害時の逃げ遅れにつながる危険があります。

管理会社は掲示板へ注意文を掲示しました。

しかし、それが逆に住民感情を悪化させました。子育て世帯側からは、次のような反発が噴出。

「毎回ベビーカーを室内に入れるのは無理」
「子育て経験がない人には分からない」
「少しくらい許してほしい」

一方、高齢住民側は次のような不満を強めていきました。

「ルールを守っている人が損している」
「共用部を私物化している」
「角部屋だけ廊下を広く使っていて不公平だ」

その頃には、マンション掲示板が匿名の苦情で埋まり始め、以前のような挨拶も減っていきました。

管理組合総会は怒号が飛び交う“修羅場”に

最終的に問題は、管理組合総会で爆発しました。その日の議題は、共用廊下への私物放置問題。

会場では、開始直後から空気が張り詰めていました。ある高齢男性住民が「ルールを守れないならマンションに住む資格がない!」と発言。

すると今度は、子育て世帯の女性が反論しました。

「子育てしてる人にしか分からない苦労があるんです!」
「そんなに厳しく言うなら、子どもを育てるなってことですか!」

会場は一気に険悪な空気になります。中には「自転車置いてる人もいるだろ!」「置き配だって同じじゃないか!」と、別問題まで飛び火。

結果として管理組合は、規約を厳格化しました。

  • 共用部私物の全面禁止
  • 即時撤去ルール
  • 繰り返し違反者への警告
  • 写真記録による管理

しかし、その代償は小さくありませんでした。住民同士が挨拶しなくなり「監視されている」「また苦情を書かれる」という空気が広がったのです。

マンションは“自宅前”でも共有空間である

マンションの共用廊下は、自宅前に見えても専有部分(自分だけの所有空間)ではありません。特に防災上の避難経路でもあるため、管理組合が厳しく対応しやすい場所です。

ベビーカーや私物は、原則として室内保管を前提に考えることが重要です。どうしても一時的に置く必要がある場合でも、事前に以下を確認してください。

  • 管理規約
  • 使用細則
  • 消防上のルール

マンションによっては、短時間のみ可能であったり、サイズ制限があったりするなど独自ルールを設けているケースもあります。また、子育て世帯は、玄関土間収納やベビーカー収納スペースまで含めて住戸選びをすることも大切です。

マンションは、“みんなで暮らす住宅”です。便利さだけを優先すると、近隣関係の悪化や住み心地の低下につながることもあります。

「これくらい大丈夫」

その感覚こそが、大きなトラブルの入口になる。これは、ぜひ知っておいていただきたい現実です。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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