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30万円で買った『JA11ジムニー』→急な転勤でわずか2年で手放すも…50代男性が耳を疑った“査定額”

  • 2026.5.23
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出典元:PIXTA(画像はイメージです)

今回は、青森県へ単身赴任した男性から伺ったエピソードをご紹介します。豪雪地帯の足として30万円で購入したジムニーは、雪道も孤独な休日も支えてくれる大切な相棒でした。しかし2年後、長崎への転勤で急な別れが訪れます。

買取査定の5万円に落胆しつつも、最後は30万円で旅立った愛車。損得では語れない、転勤族の男性とジムニーの心温まる2年間のお話です。

予期せぬ雪国への赴任。ただの足のはずだった

働き盛りの時期に家族と離れて暮らす単身赴任。突然の辞令に慌てて引越しの準備に追われた経験がある方も多いのではないでしょうか。今回は、現在50代の男性・Aさんが30代の頃に体験された、単身赴任先での愛車とのエピソードをご紹介します。

当時、幹部としての着任を控えていたAさんは、教育期間の終盤に、その時住んでいた宮城県から青森県への赴任を命じられました。有事の際は速やかに出勤しなければならない役職だったため、雪に強い車が必要になります。しかし、宮城県に残る家族が乗る車を雪深い地域に持っていくのはためらわれました。そこで、維持費が安く豪雪地帯でも確実に出勤できる四輪駆動の軽自動車を探すことにしたそうです。

インターネットのオークションサイトでAさんが見つけたのは、30万円の白いスズキのジムニーでした。型式はJA11型で、走行距離は約8万km。ワイパーが雪国仕様に改造されていたこともあり、Aさんはすぐに購入を決めました。現車確認よりも赴任先での準備を優先したため、最初はただの実用的な移動手段としか見ていなかったといいます。しかしこの古い車が、のちにAさんにとってかけがえのない存在へと変わっていきます。

豪雪の弘前で確信した、ジムニーという選択

単なる移動手段として購入したジムニーでしたが、弘前での厳しい冬が始まると、その評価は大きく変わっていきました。一晩で車が雪に埋もれてしまうほどの豪雪の中、運転席側の雪だけを払って乗り込み、アクセルを踏んで雪溜まりに突っ込むことで積もった雪を一気に落とし、すぐに出勤できたそうです。また、雪道で動けなくなった他の車を牽引して助けたこともあり、四輪駆動車の頼もしさを実感する日々が続きました。

一方で、古い車ならではの不便さもあったそうです。乗り心地は決して良くなく、車体が跳ねたり揺れたりする独特の感覚だったといいます。それでもAさんにとっては、それがかえって運転の楽しさにつながっていました。

休日は、青森県内の林道で新雪をかき分けて進んだり、広い駐車場で雪上ドライブを楽しんだりしていたそうです。単身赴任の孤独な時間を楽しい冒険に変えてくれたジムニー。厳しい自然環境と寂しさを分かち合ったことで、単なる車という枠を超え、いつしかAさんの大切な相棒になっていきました。

わずか2年。長崎への異動と突然の別れ

青森での充実した日々は、長くは続きませんでした。赴任から2年後、今度は長崎県への異動命令が下ります。しかも、引越しまでの猶予は数日しかありませんでした。

日本の北から南への大移動というだけでなく、急なスケジュールにAさんは大変焦ったそうです。引越しの準備や仕事の引き継ぎに追われる中、一番の問題はジムニーをどうするかということでした。

すっかり愛着が湧いていたため、長崎まで持っていくことも考えました。しかし、自分で運転して行くにはあまりにも遠すぎます。そこで業者に運搬費用の見積もりを依頼したところ、なんと車体価格と同じ30万円もかかることが判明しました。時間とお金、そして安全性を考慮すると、その場で手放す以外の選択肢はありません。泣く泣く売却を決断したAさんは、急いで中古車の買取店へと向かいました。

5万円という買取査定への落胆と気づき

少しでも高く売れればという期待を胸に持ち込んだ買取店で、Aさんは耳を疑うような査定額を提示されます。その金額は、わずか5万円でした。

30万円で購入し、あれほど重宝した車です。タイヤの溝もしっかり残っており、外見もきれいな状態を保っていました。ジムニーは人気の車種なのだからもう少し値がつくはずだと期待していた分、Aさんは強いショックを受けました。他の業者にも査定を依頼しましたが、結果はほぼ同じだったといいます。詳細な理由も説明されず、納得しづらい状況が続きました。

そこで、知人の整備士に事情を話して相談に乗ってもらうことにしました。すると、古い四輪駆動車は前オーナーの使い方がシビアに影響するため、購入時は外見だけでなく下回りの確認が必須だと教えられます。雪道や悪路で酷使されていると、見えない部分に負担がかかっていることが多いそうです。

その言葉を聞いて、Aさんは自分の確認不足を痛感しました。インターネットの画像だけで判断してしまった当時の目利きの甘さを自覚し、買取店の査定額が車体の状態を冷静に反映したものであると理解できるようになったといいます。

同じ30万円で旅立った相棒。そして現在へ

整備士の話から古い四輪駆動車の査定基準について学び、金額にも一定の理解を示したAさんですが、もしかしたらという思いで購入時と同じオークションサイトに出品してみることにしました。すると、ちょうど雪国向けの仕様に整えられた古いジムニーを探している方がおり、運よく双方の希望が合致したそうです。結果として、購入時と同じ30万円で、しかも引越しの日までに引き取りに来てもらえることになり、無事に引き継ぎ先が決まりました。

しかし、いざ車を引き渡す時が来ると、安堵よりも手放したくないという寂しさが込み上げてきました。白いジムニーは、厳しい雪国での生活を支え、孤独な休日を楽しい思い出に変えてくれました。単なる移動手段として買ったはずが、いつの間にか泣くほど別れがつらい存在になっていたのです。

長崎へ向かう飛行機の中で、Aさんはあの2年間が本当にかけがえのない時間だったと振り返りました。結果的に金銭的な損はありませんでしたが、車の価値は査定額だけで決まるものではありません。一緒に走った記憶や過ごした時間こそが、その人にとっての本当の価値なのかもしれませんね。

この出会いと別れをきっかけに、Aさんは車に対する愛情をさらに深めました。異動先でも新しいジムニーを購入し、現在も大切に乗り続けているそうです。キャンピング仕様にカスタマイズし、日本各地を巡る旅の相棒として活躍しています。白いジムニーとの急な別れは寂しいものでしたが、それは新たな相棒と巡り合うための大切なステップだったといえるのではないでしょうか。



ライター:Masaki.N
自動車メーカーで車体開発エンジニアとして設計・先行開発に携わった後、マーケティング/市場リサーチ領域で商品導入・訴求設計にも従事。さらに自動車サブスク系ITベンチャーでマーケティングを担当し、ユーザー視点のコミュニケーション設計を経験。現在は自動車ライターとして、新車情報、技術解説、モデル比較、中古車相場、維持費、業界動向まで幅広く執筆。SEO記事・コラム・インタビューなど媒体横断で制作し、専門知識を生活者の言葉に翻訳して「買う/持つ」の判断を支援します。加えて、カスタムを含む実車取材・体験を通じて得た一次情報を記事に落とし込み、机上の知識にとどまらない“現場感”のある解説を強みとしています。


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