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GWのドライブ中、大地震が発生したら…?警察庁が「キーはつけたまま」避難を推奨するワケ

  • 2026.5.1
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出典元:PIXTA(画像はイメージです)

2026年4月20日に三陸沖でマグニチュード7.7の地震が発生しました。運転中に緊急地震速報が鳴ったら、あなたはどうしますか。「とりあえず急ブレーキを踏む」「車を離れる時はキーを持ち、ドアロックする」といった普段の常識は、災害時には通用しない場合があります。

この記事では、警察庁やJAFの案内に基づき、地震発生時の正しい対処法や避難時の意外なルールを解説します。命を守り、救援の妨げにならない知識を確認しましょう。

運転中に地震速報!パニックにならず安全に停車するには

いつもと変わらない通勤の車内や、GWなどの連休に家族を乗せてドライブを楽しんでいる最中に、先日のような大きな地震が運転中のあなたを襲ったらどうなるでしょうか。

突然スマートフォンからあの不協和音が鳴り、緊迫した緊急地震速報が車内に響き渡ります。そのような瞬間、多くの方はパニックに陥り、一刻も早く車を止めなければならないと焦ってしまうかもしれません。しかし、走行中に強い揺れを感じたり速報を聞いたりした際、反射的に急ブレーキを踏むことは非常に危険であると言われています。

なぜなら、後続車のドライバーも同様に動揺している可能性が高く、急激な減速は大きな追突事故を引き起こすリスクを高めてしまうためです。まずは落ち着いてハザードランプを点灯させ、周囲の車に異常を知らせることが先決となります。その上で、ゆっくりと速度を落としながら、周囲の状況を注意深く確認しつつ道路の左側に車を寄せていくことが求められます。

特に高速道路を走行している場合は、一般道よりも速度が出ていることが予測されるため、急なハンドル操作は横転や衝突のリスクを飛躍的に高めてしまいます。無事に左側に停車できた後も、すぐに車外へ飛び出すのは控えるべきとされています。道路上には混乱した他車が走行しているかもしれませんし、頭上からは看板や電柱などの落下物が降ってくる可能性も否定できないからです。まずは車内で揺れが収まるのを待ち、ラジオやスマートフォンで正確な情報を収集しながら、次の行動を冷静に判断する時間を持つことが大切になります。

車を置いて避難するとき、キーは持っていかない?

車内で情報を収集し、周囲の状況からこれ以上車にとどまるのが危険であると判断した場合、あるいは警察官などの指示があった場合には、車を置いて徒歩で避難することになります。ここで、普段のカーライフでは考えられない災害時特有のルールが登場します。

通常、私たちは車から離れる際には必ずキーを持ち、窓を閉めてドアをロックします。これは愛車を盗難から守るための当然の行動です。しかし、警察庁の教則や各自治体の防災ガイドラインでは、道路上に車を置いて避難する場合、エンジンキーは付けたままにするか、運転席などの分かりやすい場所に置き、さらにドアはロックしないことが推奨されています。

このルールに驚かれる方も多いかもしれませんが、そこには人命救助を最優先するという明確な理由があります。大規模な地震の後は、道路上に放置された車が救急車や消防車といった緊急車両の通行を妨げてしまうケースが散見されます。もしドアがロックされ、キーもない状態の車が道を塞いでいれば、救助活動はそこで止まってしまいます。誰でもすぐにその車を動かせる状態にしておくことで、一分一秒を争う救援活動をスムーズに進めることが可能になるのです。また、最近主流となっているスマートキーの場合も同様で、キー本体を外から見える場所に置いておくことが推奨されています。

サイドブレーキはどうする? 誤解しやすい避難時のルール

キーを車内に残し、ドアをロックせずに避難するというルールを聞くと、他にもいくつかの疑問が湧いてくるのではないでしょうか。たとえば、誰でも動かせるようにしておくなら、サイドブレーキはかけないほうがよいのではないか、あるいは窓も少し開けておいたほうが親切なのではないかといった疑問です。

しかし、これらの点については、普段の習慣通りに行うべき部分とそうでない部分が混在しています。まず窓については、隙間なくしっかりと閉めることが正しい手順とされています。これは、火災が発生した際に飛び火が車内に入り込み、車両火災が発生するのを防ぐためです。

そして、特にインターネット上の噂などで混同されやすいのがサイドブレーキの扱いです。車を移動させやすくするためにサイドブレーキをかけないほうがよいという意見も見られますが、JAFや自動車メーカーの見解では、エンジンを止めた上でサイドブレーキはしっかりとかけることが推奨されています。

大規模な地震では、本震の後に強い余震が何度も続く傾向があります。サイドブレーキがかかっていない車は、余震の揺れや道路のわずかな傾斜によって勝手に動き出し、避難している人々に衝突したり、建物を破壊したりといった二次災害を引き起こしかねません。キーを残して他者が動かせる状態にしつつも、自分の意思に反して車が勝手に動かない状態を作ることが求められます。このバランスこそが、災害時における正しい車の止め方となります。

もしものために。車内に備えておきたい最低限の防災グッズ

こうした避難のルールを頭に入れておくことと同時に、いざという時に自分や同乗者を守るための備えを車内に整えておくことも欠かせません。4月20日の地震のような事態が起きた際、車内での待機を余儀なくされたり、車を置いて何キロも歩いて帰宅したりする可能性は十分に考えられます。

そこで、最低限用意しておきたいのが、飲料水と非常食、そして携帯用の簡易トイレです。渋滞や通行止めで身動きが取れなくなった際、これらがあるだけで精神的な安心感は大きく変わります。また、スマートフォンのバッテリー切れを防ぐための予備の充電手段や、夜間の避難に備えた懐中電灯も必需品と言えます。

さらに、ドライバーとして特に意識してほしいのが足元の備えです。仕事中であれば革靴を履いていることも多いかと思いますが、がれきやガラス片が散乱する中を数キロ歩くのは至難の業となります。トランクに履き慣れたスニーカーと軍手、そして季節に応じた防寒着を一着入れておくだけで、避難の難易度は劇的に下がります。車内という限られたスペースではありますが、これらのアイテムをコンパクトにまとめた防災ポーチを常備しておくことは、現代のドライバーにとって一つのたしなみと言えるかもしれません。

災害時は“いつもの車の常識”が変わる

4月20日の地震のような大規模な災害は、いつ、どこで私たちの日常を断ち切るか分かりません。今回解説してきた通り、運転中に地震が発生した際の対処法は、私たちが教習所で習ったことや日常的に行っていることとは大きく異なる部分があります。

急ブレーキを避け、周囲と協調しながら左側に停車すること。そして、愛車への未練を断ち切り、救援活動のためにキーを残して避難すること。これらはすべて、自分自身の命を守り、そして誰かの大切な命を救うための行動につながっています。

車を守ることよりも命を守り、社会の復旧を妨げないことが最優先される。このシンプルな原則を忘れないことが、真のセーフティドライバーへの第一歩となります。この記事をきっかけに、ぜひご家族や大切な方と、万が一の時の行動について話し合ってみてください。その一歩が、将来のあなたを救うことになるかもしれません。


参考:
大地震、津波、台風、ゲリラ豪雨、落雷、大雪…。いざという時に命を守る車の防災(一般社団法人 日本自動車連盟)
大地震が発生したときに運転者がとるべき措置(警察庁)



ライター:Masaki.N
自動車メーカーで車体開発エンジニアとして設計・先行開発に携わった後、マーケティング/市場リサーチ領域で商品導入・訴求設計にも従事。さらに自動車サブスク系ITベンチャーでマーケティングを担当し、ユーザー視点のコミュニケーション設計を経験。現在は自動車ライターとして、新車情報、技術解説、モデル比較、中古車相場、維持費、業界動向まで幅広く執筆。SEO記事・コラム・インタビューなど媒体横断で制作し、専門知識を生活者の言葉に翻訳して「買う/持つ」の判断を支援します。加えて、カスタムを含む実車取材・体験を通じて得た一次情報を記事に落とし込み、机上の知識にとどまらない“現場感”のある解説を強みとしています。

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