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ケガをしても育てて、名前をつけて大切に…北海道の酪農家でアナウンサーが牛に話しかけると?

  • 2026.4.17

北海道を支える様々な職業のプロに一日弟子入り!
仕事の流儀やこだわりを探る仕事体験ドキュメンタリー!

HBC テレビで、毎週月~金曜ごご4:50~7:00に放送中の情報ワイド番組「今日ドキッ!」のコーナー「師匠!私を弟子にしてください」の取材をもとに、私、HBCアナウンサー・東峰優華が、気づきや北海道の魅力をプラスして、Sitakkeオリジナル連載でお届けします。

Sitakke

【連載】「師匠!私を弟子にしてください!」

牛を育てる師匠に弟子入り!

今回の舞台は十勝・清水町の酪農家「宮地牧場」!

到着した時刻は午前4時45分。あたりは真っ暗です…。
そしてとにかく寒い!気温は5度!

取材したのは10月でしたがあまりにも寒すぎて、中にヒートテックを着込みました。
ダウンを持ってこなかったのが最大の後悔です…。

Sitakke

暗すぎて師匠の顔が見えませんが…何か作業をしている方を発見!!

今回の師匠は、酪農歴34年の宮地晋也(みやじしんや)さん。

35頭の牛を夫婦2人で育てています。

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実は私、近くで牛を見るのははじめて!もちろん、触った経験もありません。
写真や動画で見るよりも、体の色がはっきりしていて、目が大きくてとてもかわいい!

Sitakke

牛たちと仲良くなれるかな…と不安な気持ちを抱えつつ牧場内に入っていきます。
牛舎に入ってすぐのところにいるのは2025年の4月と5月に生まれた子牛です。

Sitakke

取材当時で生まれて半年ほどですが、サイズとしては頭をのぞいた胸からお尻までですでに150㎝の私と同じくらいです。

Sitakke

師匠は、おもむろに笹のような棒を渡してくれました。
これなんですか…?なにに使うんでしょう?

笹の棒をもって「牛追い」に出発!

Sitakke

この棒を使う目的は「牛追い」。

「牛を自分の思った方向に追うときに、道をふさいだり誘導したりするのに使ったら便利」とのこと。
師匠はいつも持っているそうです。

ということで、まずはこの棒を持って「牛追い」へ。
放牧地にいる29頭の牛たちを牛舎まで連れていきます。

Sitakke

しかも30分後には牛舎で搾乳をしなければいけません。果たして間に合うのでしょうか!!

雄大な自然に囲まれた「宮地牧場」の広さは48ヘクタール。
エスコンフィールド9面分にもなります。

この広大な大地で、牛たちは完全放牧され、牧草だけを食べてのびのびと暮らしています。

Sitakke

牧草地は18区画に分かれていて牧草の育ち具合や牛の体調によってどこの区画に放牧するかを決めています。

きょうは牛舎に近い牧草地から、牛追いをしていきます。
まずは寝ている牛を起こして、奥の方から追い、とにかく牛舎の入口側に移動させていくのがミッション。

発声練習、役に立たず…

Sitakke

「まずは起こしてみてください」

師匠にそう言われたので、まずはごあいさつをしてみます!!
牛の言葉はわからないので、とりあえず日本語で…。

「おはようございまーす!!帰るよー!!」

叫んでみたものの、一頭もこちらを振り返りません。

Sitakke

大きく手をあげてふってみました!

牧草地のあちこちにいる牛たち。まずは私の存在に気がついてもらえれば動いてくれるのではないか!!と思い、必死に手をふりアピールしながら大きな声で呼びかけてみます…が、全く動きません。

普段がんばって発声練習をしているのですが、ここではあまり役には立ちませんでした。

呼んでもダメなら追いかければいいのではないか!
次は寝ている牛を全力で追いかけていきます。

Sitakke

あまりの速さに、担当カメラマンからも「もうちょっとゆっくり追いかけて!」と。
私が追いかけていくと、みんな勝手に移動してくれます!

これは正解では!?と思っていたのですが…。
どうやら勢いよく追いかけたため逃げていただけのようです。

そして夢中になっていたそのとき…ステキな光景に出会いました。

丘と牧草と朝焼けと

Sitakke

牛を追いかけるのに夢中になっていた私の視界に、オレンジ色の光が差しました。
日の出です。
丘の上から見るオレンジ色の朝焼け…あまりの美しさに牛追いの作業も忘れて見入ってしまいました。

師匠いわく、「帰るよと声をかけながら追いかけると動いてくれる!」とのこと。

さっそく実践していると…追いかけているうちに日が昇ってきました!

師匠は毎日この景色を見ながら牛追いを行っています。
うらやましい…だけどこの「牛追い」だけでも大変です。

ニュージーランドの景色を見て酪農家に

Sitakke

師匠は実は元々は公務員。出身も高知で北海道や酪農業にゆかりがあったわけではありません。

酪農家に転身するきっかけとなったのは、北海道…ではなく旅行をしたときに見たニュージーランドの景色でした。

広い草原の中でゆったり過ごす牛や羊を見て「こういう景色、すごくいいな」と思ったのだといいます。

そして29歳のとき、その思いにしたがって酪農家に転身する事を決意し北海道に移住。

Sitakke

離農した農家の土地を活用して35年以上が経ちました。

名前を付けて大事にしている牛たち

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こちらは「フレンド」

師匠が大切に育てている牛たち。1頭ずつ名前がついています!

「牛追いのときには、名前で呼んであげると良いよ!」と教えてもらいましたが、まだ私にはこの段階では違いはまったくわかりません…。

師匠に教えてもらいながら、私も名前を呼んで追いかけてみます!

この白い牛はパッション!

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一回聞いても覚えられそうにありません。

「私たち人の顔が違うように、模様も違うし、色も違うし、顔も違うんですよ」

そう師匠が教えてくれました。
みんなの名前を覚えるべく、牛1頭ずつの特徴をじっくり見ながら牛追い作業を行います。

1頭ずつ見ていると、より牛の大きさに圧倒されます。
ただ、実は宮地牧場の牛は、ほかの牧場の牛に比べるとやや小ぶり。通常は体重700~800キロほどのところ、500キロ前後なんです。

Sitakke

牛の大きさは遺伝的な要因と後天的な要因がありますが、近年はたくさん搾乳できるように牛の大型化が進んでいます。

だけど、師匠の牧場では、一年中放牧するので、大きい牛よりも小柄な方が山を歩くのに負担が少なく適しているのだそう。
そのため小柄で足腰が強い遺伝子を持つ種類を選んでいます。

全然終わらない…

Sitakke
追いかけては散っていく牛たち…ひ、広い…

しかし1頭ずつ追っていると、せっかく牛舎に向かって集めていた牛がまた散り散りに広がって牧草地へと戻っていきます。

追いかけては広がり…を繰り返し全然仕事が進まない…もう、どうしたらいいのだろう…。

途方にくれる私の姿に師匠は、思わず苦笑い。

この時点で、すでにタイムリミットの30分を過ぎてしまっていました…!
なんとかして牛たちを牛舎に戻さなければ!

Sitakke

見かねた師匠のお手本!
「帰るよ!」と声をかけるのと同時に牛の背後から追いかけます。

手を広げて、複数の牛たちに目を配りながら後ろから誘導することでみんな一緒に牛舎に向かって走っていきます。

ほぼ師匠の力ですが、無事に牛たちは牛舎へつながる通路まで移動してくれました。

よかった!と安心したのもつかの間…ここでまた一頭の牛が放牧地へと勢いよく飛び出しました!

Sitakke

あわてて通路の方へ戻そうと、思わず「きゃー!!待って!!」と叫ぶと…

「きゃーきゃー言わない!」

師匠から愛のあるお叱りが。

ごめんなさい!!

実は牛はおとなしい性格ながら警戒心もある動物です。
あまり大きい声を出して怖がらせてしまうことはNG!

ゆっくり優しい声かけが重要なんです。

Sitakke

さあ!通路まで追い込めば、あとは牛舎に向かうだけ!
通路からは牛たちが勝手に牛舎に向かって歩いていきます。

牛舎に向かっていると別の仕切られたエリアに4頭のはぐれた牛たちがいました。

Sitakke

よく見ると、4頭とも足に赤いテープのようなものが巻かれています。いったいなぜ?

命を預かっているから…ケガをしても、食用にしない

Sitakke

この子たちは少し前に足をケガしてリハビリ中の牛。

「弱い牛はいじめられたりしやすいので、広いところでゆっくり治すように隔離しています」と師匠が教えてくれました。

以前、養豚場に弟子入りしたときもいじめられているブタがいたことを思い出しました。
ブタと同じように牛も、少し歩きにくかったり、動きが鈍かったりするとうまく周りに馴染めなくなってしまい、いじめられてしまうことがあるそう。

一般的にはケガをした牛は食用として出荷されることが多いのだそうです。
というのも、ケガをしている間は搾乳することができないから。

ただ師匠は、できる限りケガを治して育て続けています。

「ひとりひとりの『命』を預かっているという気持ちで仕事をしている」と教えてくれました。

「牛たちが生まれてきてよかったなと思えるような一生を過ごさせてあげたい」

師匠は牛たちの一生に寄り添った育て方を大切にしているのです。

結局「牛追い」の作業は、30分で終わるはずがところが、倍の約1時間かけて終わりました。

やっと牛舎に着いた!という達成感に浸っていたいところでしたが、休む間もなく次は朝の搾乳作業です。

生まれて初めての乳搾り…!
そして牧草だけで育てた搾りたて牛乳の味に感動!

次回の記事でお伝えします!

【連載】「師匠!私を弟子にしてください!」

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文|HBCアナウンサー 東峰優華
苫小牧市出身。2024年HBC入社。HBCラジオ「朝刊さくらい」「いっちゃんおいしいラジオ」などを担当。趣味はサッカー観戦(コンサドーレサポーター)、耳掃除、散歩。特技はスケート、ザンギ作り。Instagramでも発信中。

編集:Sitakke編集部あい

※掲載の内容は取材時(2025年10月)の情報に基づきます。

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