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ヘルパー30人「誰かの役に立ちたい」筋ジストロフィーの男性がひとり暮らしと大学進学

  • 2026.4.12

筋ジストロフィーの難病に向き合う和田輝政さんは、18歳。 この春、ひとり暮らしと大学進学に挑みます。
多くのヘルパーとともに、春から始まった新たな生活。
「たくさんの人の役に立てるように」と挑戦する和田さんの原動力を見つめます。

ヘルパーさんと特訓

卒業前の3月のある日、通っている養護学校でヘルパーと調理実習を行った和田さんから細かく指示がとびます。

「フライパンに油を大さじ1。すみません。もう1人いいですか?鍋に600ccの水入れてもらってもいいですか?」

ひとり暮らしが始まれば、ヘルパーが作る食事も一つ一つ指示が必要になるため、その練習です。
介助にあたるヘルパーは「今日みたいに全部指示してというのもお疲れになると思う。輝政さんご本人の体調、体力、やる気に合わせながらやっていけたらと思う」と話します。

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こうした練習を経ながら3月14日、和田さんは養護学校を卒業し、約4年間入院していた病院も退院しました。

音楽で伝える感謝

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タブレットを使い、指先で器用に奏でる華麗なドラム。

和田さんは、ユニットを組んでいる恩師の田中貴志先生と卒業ライブを開催しました。
支えてくれた人たちに音楽で感謝を伝えます。

ライブに訪れた車いすの友人は「札幌の公演おめでとう。おもしろかったよ」と声をかけました。

和田さんは「音楽という好きなものを通して人の役に立てるって本当に大変すばらしいことだと私は思う。これが続けられるなら幸せ」と語ります。

大学進学への大きな決意

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和田さんはこの春、大きな決断をしました。

「本日は、福祉分野に特化した支援ネットワークアプリ『ウィズユー』の提案をしたいと思います」とプレゼンをする和田さん。
福祉現場の課題をアプリ開発で解決したいと考え、経営やICTを学ぶために大学に進学することを決めたのです。

4月から通うのは、北海道情報大学。
ヘルパーが付き添い、車椅子で大学生活を送ることができるのか実際に確認するために入学前に訪れました。

トイレを使うときにはベッドが必要ですが、入ってみると置くスペースがありません。

同行した田中貴志先生が、「奥にこんな感じでベッドを置いてもらうのは?」と提案すると、父の和田賢さんは、「着替えが丸見えかな…」と懸念を口にします。
重度の障害がある生徒の受け入れは、大学にとっても初めての試みです。

北海道情報大学の藤本直樹教授は、「田中先生から『受け持ちの学生で進学を希望している高校生がいるんだけど、どうなんだろうか、大丈夫なんだろうか』という相談からスタートしました」と振り返ります。

また、「輝政さんがこういうことを学びたいというプレゼンテーションを入試面接のときにしてくれて、無事合格を勝ち取った」と明かしました。

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「できないことではなく、できることを探したい」という2人の熱意に、大学が応えてくれました。
和田さんは、「なんかちょっとうるっときた気持ちがあり、重度の障害がある後輩の大学進学という選択が広がっていけたらいい。私が役に立てる存在になれたら」と想いを語ります。

自由を楽しむ毎日

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ひとり暮らしが始まって6日目。
和田さんは、「フリーな感じを楽しめている」と話し笑顔。

「退院してすぐその足でおすし屋さんに行った」

和田さんは24時間、介助が必要です。
札幌市の重度訪問介護と大学就学支援でその生活が実現しました。

ヘルパーは総勢30人。
10の事業者との調整を大学生活と同時に進めなければいけませんが、和田さんはチャットアプリを使って生活のための情報をヘルパーたちに一斉共有しています。

「処方薬こういうのありますよとか、事細かく書いている。ヘルパーなど42人に参加してもらっています」

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自ら工夫して管理する毎日。困難なことも、和田さんにとっては挑戦の原動力です。

「これをちょっと特化した感じで、アプリの開発とかできたらいいんじゃないかと」

将来は、ヘルパーの日程調整などもできる専用の情報共有アプリを開発したいと話します。

可能性は、無限大

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「もちろんいろいろできないことはありますけど、その制約が起きている中で、いかに自分の能力が生かせるかどうか、私は一番大事だなと思っている」

力強く語る和田さん。

後に続く人たちの希望になりたい。
未知数の可能性を切り開くため、18歳の春、自分らしく前に進んでいきます。

ひとり暮らし開始までには苦労も

新しいことに挑戦する姿は私たちも勇気をもらえます。しかし実は和田さんは、ひとり暮らしを始めるとき、バリアフリーの部屋を探すのにとても苦労したということです。

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病院を離れることになるので体調が悪くなってしまったときの不安はありますが、今は30人のヘルパーと緊急時の対応などを練習しています。
ヘルパーは1日10時間交代で輝政さんに寄り添っているそうです。

「大学に入ったら、軽音部などのサークルに入ったり友達とカラオケなどにも行ってみたりしたい」と話してくれた和田さん。

できないことをできるに変える、和田さんの挑戦を今後も取材していきます。

取材・文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい

※掲載の内容は、HBC「今日ドキッ!」放送時(2026年3月30日)の情報に基づきます。

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