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日本初公開の作品が多数上陸! チュルリョーニスの大回顧展が34年ぶりに開催

  • 2026.4.10

国立西洋美術館で開催されている「チュルリョーニス展 内なる星図」をご紹介します。

リトアニアを代表する芸術家、ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス。オルガン奏者だった父の元に1875年に生まれ、絵画と音楽、2つの領域で優れた才能を発揮する。35歳でこの世を去るまで、絵画制作に取り組んだのはわずか6年間ほど。それでも300点以上の作品を残している。

チュルリョーニスが近年、特に高く評価されている理由は、独自の手法で音楽様式を絵画に導入した点にある。当時のヨーロッパでは、ボードレールやワーグナー、ニーチェらに影響を受け、多くの画家が絵画と音楽の融合を目指した。なかでも、チュルリョーニスは他の画家たちとは異なり、作曲の構造を絵画の構造に応用した。「フーガ」「ソナタ」などの連作には、そんな彼の技術が顕著に表れている。

本展は、日本で34年ぶりとなるチュルリョーニスの大回顧展。彼の作品では唯一1mを超える大作《レックス(王)》をはじめ、《フーガ[二連画「プレリュード、フーガ」より]》《祭壇》など日本初公開の作品が数多く上陸。約80点の絵画やグラフィック作品が時系列に登場し、彼の画業と人生を追体験する構成に。また会場では彼自身が作曲した楽曲を流し、優れた音楽家でもあった彼の感性を目と耳で体感できる。

人間の精神に広がる宇宙を描いた、チュルリョーニスの作品。鑑賞することで、自分の内面を見つめるきっかけになりそうだ。

ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス《祭壇》1909年、テンペラ/厚紙、国立M.K.チュルリョーニス美術館(カウナス)所蔵 M.K. Čiurlionis National Museum of Art, Kaunas, Lithuania.

ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス《祭壇》1909年、テンペラ/厚紙、国立M.K.チュルリョーニス美術館(カウナス)所蔵 M.K. Čiurlionis National Museum of Art, Kaunas, Lithuania.

3段目までを占める闘争の物語は、4段目にして完結し静けさを獲得するという神智学の理論におそらく対応している。

ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス《フーガ[二連画「プレリュード、フーガ」より]》1908年、テンペラ/紙、国立M.K.チュルリョーニス美術館(カウナス)所蔵 M.K. Čiurlionis National Museum of Art, Kaunas, Lithuania.

ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス《フーガ[二連画「プレリュード、フーガ」より]》1908年、テンペラ/紙、国立M.K.チュルリョーニス美術館(カウナス)所蔵 M.K. Čiurlionis National Museum of Art, Kaunas, Lithuania.

フーガという音楽形式では、複数の独立した声が同じ主題を模倣し、変化し、追いかける。その音楽的構造に則って描かれた作品。

ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス《レックス(王)》1909年、テンペラ/カンヴァス、国立M.K.チュルリョーニス美術館(カウナス)所蔵 M.K. Čiurlionis National Museum of Art, Kaunas, Lithuania.

ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス《レックス(王)》1909年、テンペラ/カンヴァス、国立M.K.チュルリョーニス美術館(カウナス)所蔵 M.K. Čiurlionis National Museum of Art, Kaunas, Lithuania.

ここでは王は支配者ではなく、すべてを内包する自然や宇宙の力と一体化した壮大な存在として描かれる。

information

チュルリョーニス展 内なる星図

国立西洋美術館 企画展示室 B2F 東京都台東区上野公園7-7 開催中~6月14日(日) 9時30分~17時30分(金・土曜~20時。入館はいずれも閉館30分前まで) 月曜(5/4は開館)、5/7休 一般2200円ほか TEL. 050-5541-8600(ハローダイヤル)

文・山田貴美子

anan 2490号(2026年4月1日発売)より

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