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「外注で対応できる」と彼女を切った私が、工場の床に座り込んだ日

  • 2026.4.8
ハウコレ

会社の経費削減を理由に、ベテランの女性スタッフに退職を求めました。外注で代わりがきくと判断したのです。その見込みがどれほど甘かったか、機械が止まった朝に思い知りました。

10年間、見ていなかったもの

彼女が入社してから10年以上、工場の機械は大きなトラブルなく動き続けてきました。マニュアルもほとんどない古い設備を、ひとりで独学で維持してきた。休日の呼び出しにも応じてきた。そのことは知っていましたが、どこか「あって当たり前」の話として処理していました。

業績が悪化し、人員を整理しなければならない局面で、私が最初に思い浮かべたのが「メンテナンスは外注に切り替えよう」という考えでした。女性スタッフがひとりでこなしていること、外部の業者なら複数社で対応できる。そのほうが安定する、と自分に言い聞かせました。 

「わかりました」の返信

「メンテナンスは外注で対応できるから、今月末で退職してもらえないか」

メッセージを送ってから、返信が来るまでしばらく間がありました。返ってきたのは「わかりました」の文字でした。

引き継ぎをしようとしましたが、後任もおらず、外注業者の担当者との顔合わせも日程が合わなかった。形だけの挨拶で終わりました。それでもまだ「なんとかなる」という感覚がありました。

止まった工場で

退職から2カ月が過ぎた頃、工場のメイン機械が止まりました。製造ラインが完全に停止した状態で外注業者を呼びましたが、「このメーカーの機械は専門外です」と言い、手をつけないまま帰っていきました。

汗ばんだ手でスマホを持ち、彼女にメッセージを打ちました。

「工場のメイン機械が止まって、外注業者も手が出せない状態。お願いだから見に来てくれないか」

「君しかわからない機械だから。助けてほしい」

送りながら、指先が少し震えていました。切り捨てておいて「助けてほしい」と。

そして...

「申し訳ありませんが、現在は別の会社でお世話になっています。対応は難しいです」

それ以上のメッセージは来ませんでした。怒りも、皮肉もなかった。その簡潔さがかえって、胸の奥に重く残りました。

誰もいなくなった工場で、止まったままの機械の前に座り込みました。10年以上ここを守ってくれていた人を「外注で代わりがきく」と判断した。その誤りに、ようやく気がつきました。彼女が次の職場できちんと評価されているとすれば、それは私への答えでもあると思います。

(50代男性・製造業管理職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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