1. トップ
  2. 恋愛
  3. 「死にかけたのはお前のせいだ」せん妄だとわかっていても辛い。父の言葉にショックを受ける【著者インタビュー】

「死にかけたのはお前のせいだ」せん妄だとわかっていても辛い。父の言葉にショックを受ける【著者インタビュー】

  • 2026.3.30

【漫画】本編を読む

母親の余命がわずかと知った瞬間から看取りまでを描いたキクチさんのコミックエッセイ『20代、親を看取る。』(KADOKAWA)。そしてその2年後、今度は一緒に母を看取った父が自宅で倒れ、緊急搬送されてしまう。なんとか一命は取り留めたものの、倒れた原因は不明。ICU(集中治療室)に即入院することが決まり、キクチさんはまたもやさまざまな対応に追われることとなる。介護の申請から延命治療の有無まで対応するのは自分ひとりだけ。そんな顛末をまとめた『父が全裸で倒れてた。』(KADOKAWA)が2026年2月に刊行された。

誰もがいずれは経験することになる親との別れ。この2冊には親の不調と付き合うことへのメンタルの変化から、普段離れて暮らす親に変事があった時の対応方法まで多岐にわたる事柄が描かれている。看取りや介護の中で大変だったことや役に立ったこと。そして、キクチさんにとって困難を漫画にしていくことにどういう意味があったのか話を伺った。

――お父さまにせん妄(突然発生する精神機能の障害)の症状が現れる様子も描かれています。前作『20代、親を看取る』から読んだ身からすると、「しっかりして優しかったお父さまが」と衝撃を受けました。

キクチさん(以下、キクチ):私にとってもショックな出来事でした。父はちょっと酒癖が悪いというか、お酒を飲むと「うるせぇ」みたいに乱暴な感じになることはありました。でもせん妄の時はそれを超えているというか、乱暴さが極まっていて。漫画にも描いた「死にかけたのはお前のせいだ」という言葉は酔っていても絶対言わない言葉だったので、もう「別人格になってしまったんだ」と思うくらいの衝撃でしたね。

――そのショックを受けられた後、数日面会をお休みしてからまた病院に行ったとのことですが、その間に気持ちを切り替えたんですか?

キクチ:それまでで一番ひどいこと言われて、もう心がポキッと折れたんですよね。でも折れたからこそ吹っ切れたというか。毎日面会に行って、父親と向き合うことこそ愛だと自分の中で思っていたんですが「こんなにせん妄が出ていて意識障害があるということは、毎日行かなくても父は私のことをちゃんと認識してないかもしれない。だったら頑張って行っても無駄かもしれない」と思って。そしたら冷静に、考え方を切り替えられるようになりました。その時ちょうどクリスマスくらいだったので夫とディナーに行ってリフレッシュしたり。自分のメンタルを保つのも大事だなと感じたので一旦そちらを優先しました。

――今もお身内を介護されていて、せん妄で悩まれたり落ち込んだりされている方がいると思います。その方にアドバイスするとしたらどんなことでしょうか?

キクチ:とにかく別人だと思ってあまり真に受けないことですね。せん妄によるものだとわかっていてもショックは受けると思うのですが、とにかく受け流す。自分で抱え込むんじゃなくてバレーボールのトスみたいに、受けるけどすぐ離す。あとは「辛い時は休んでいい」ということも伝えたいです。

取材・文=原智香

元記事で読む
の記事をもっとみる