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愛犬を目の前で亡くした飼い主…「私のせいで、あの子は」愛犬を失った飼い主に起きた、その後の奇跡を郵便配達員に聞く

  • 2026.3.29
飼い主から可愛がられ、配達員に対しても人懐こかったポメラニアンのココ。 送達ねこ(@jinjanosandou)
飼い主から可愛がられ、配達員に対しても人懐こかったポメラニアンのココ。 送達ねこ(@jinjanosandou)

これは、郵便配達員が実際に経験した不思議な出来事をもとにした話である。いつも配達に訪れる山口さんの家には、元気いっぱいのポメラニアン・ココがいた。おやつやおもちゃを“運んできてくれる人”として、配達員のことが大好きだったココは、毎回うれしそうに迎えてくれる存在だった。ところがある日、書留を届けに行くと、あれほどにぎやかだった家が、嘘のように静まり返っていた。実話ベースの怪談漫画『郵便屋が集めた奇談』から、切なくも不思議な一編「ココや」を紹介するとともに、作者であり現役郵便局員でもある送達ねこ(@jinjanosandou)さんに話を聞いた。

元気だったココが、ある日いなくなっていた

人なつこい元気なポメラニアンだった 送達ねこ(@jinjanosandou)
人なつこい元気なポメラニアンだった 送達ねこ(@jinjanosandou)
ココや_P02 送達ねこ(@jinjanosandou)
ココや_P02 送達ねこ(@jinjanosandou)
ココや_P03 送達ねこ(@jinjanosandou)
ココや_P03 送達ねこ(@jinjanosandou)

山口さんの家に配達へ行くたび、ポメラニアンのココは全身で喜びを表してくれていた。そんな存在が、ある日突然いなくなる。「ココ、亡くなったんです」。山口さんは静かにそう告げ、「私のせい」「私がココの名前を呼んだから」と、自分を責めるように言ったという。何が起きたのか、その場では深く聞くこともできず、配達員はただ言葉を失った。

それからふた月ほどが経った頃、再び山口さんの家を訪れると、以前とは打って変わって表情は明るかった。思わず「何かいいことがありましたか」と尋ねると、そこで語られたのは、ココをめぐる“世にも不思議な出来事”だった。

日々の配達の中で生まれる、人と動物との小さなつながり

本作を描く送達ねこさん自身も現役の郵便局員であり、『郵便屋が集めた奇談』では、同僚たちが体験した不思議な話や怖い話を漫画化している。連載を続けるうちに、体験談は他局からも届くようになったという。

送達ねこさんは、「実はワンちゃんをおびやかさないためにも、配達が難しそうな場合は郵便局員は近寄らずに戻ってくることになっています」と話す。一方で、犬好きの局員の中には、じゃれられて制服に毛をつけたままニコニコ帰ってくる人もいるそうで、ポストから猫の手が伸びてきて“タッチ”されそうになることもあるのだとか。仕事の合間に生まれる、そんな小さな交流も少なくないようだ。

“守ってくれる猫”の話ににじむ、動物の不思議な力

印象深いエピソードとして、ある配達員が「ノラ猫に用心棒されてる」と話していたことも明かしてくれた。彼には、道で時々見かけるノラ猫がいるという。ある場所で、なぜか気味の悪さを感じ、鳥肌が立って足を踏み入れられずにいたとき、その猫がいつのまにか前を横切り、前方に向かって「シャー」と威嚇したそうだ。すると、その場の空気がふっと変わり、急に入りやすい雰囲気になったという。

「周りから笑われていましたが、『俺は猫に守られている』と心強くしていました」と送達ねこさん。作中のココもそうだが、動物たちは人間の気持ちを察したり、人には見えない何かとつながっていたりするのではないか――そんな感覚が、このシリーズには通底している。

配達員だからこそ気づける、町と暮らしの気配

作中には「あの辺に犬を放し飼いしてる家はないはずだけどなあ」というセリフも登場する。これについて送達ねこさんは、「たしかに毎日のように回るので、こまかなことに気づきやすいかもしれません」と語る。

街を知ることは仕事の精度にもつながる一方で、配達員一人ひとりの中で、その町は“より大切な聖域”になっていくのだという。窓辺に寄ってくる犬や猫の姿に癒やされることも多く、「配達地図とは別に、それぞれに心の地図があって、ホッとするピンを足してもらっているのかもしれません」と表現した。

怖いだけじゃない、切なさとぬくもりが残る“奇談”

『郵便屋が集めた奇談』には、「こういう不思議で怖い話って好き」「けっこう背筋がゾクッとしたけど、めちゃくちゃおもしろい…!」といった感想が寄せられている。一方で「ココや」のように、ただ怖いだけでは終わらない、切なさやぬくもりがじわりと残る話もある。人と動物の絆、そして“見えないけれど確かにあるもの”を信じたくなる一編だ。

取材協力:送達ねこ(@jinjanosandou)

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