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パク・チャヌク監督×イ・ビョンホンの最強タッグで贈る映画『しあわせな選択』を鑑賞。主人公が究極の“就活サバイバル”を繰り広げる姿に衝撃を受ける必見作!

  • 2026.3.27

2026年3月6日より全国公開された『しあわせな選択』は、現代社会に生きる誰もが直面し得る“突然の解雇”という現実を、パク・チャヌク監督独自の視点で描いたシニカル・サスペンス。公開前に試写で観た本作の感想を紹介(以下、ネタバレを含みます)。

映画『しあわせな選択』メイン写真 (C)2025 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM ALL RIGHTS RESERVED
映画『しあわせな選択』メイン写真 (C)2025 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM ALL RIGHTS RESERVED

【ストーリー】

製紙会社で25年間、堅実に仕事をしてきたマンス(イ・ビョンホン)は、社交ダンスやテニスが趣味の妻ミリ(ソン・イェジン)、チェロの練習を続ける娘のリウォン、そして息子のシウォンに、リトゥ、シトゥという2匹の犬と郊外の大きな家で“理想的”な人生を送っていた。

「すべてを叶えた」と家族に語っていたマンスだったが、ある日突然、会社から解雇されてしまう。

一家の主として、マンスは3カ月以内に再就職先を見つけることを決意。しかし3カ月後、彼はスーパーマーケットで品出しのアルバイトをしていた。

そして13カ月が経ち、後輩の紹介で製紙会社の面接を受けるも、緊張のあまり失敗。退職金を切り崩す生活が続くマンス一家。

ある日、マンスは右肩上がりの製紙会社に飛び込みで履歴書を持ち込むが、無下に扱われて惨めな姿に。そんな中、マンスは衝撃のアイデアを思い付く。それは 「ライバルがいなくなれば、仕事は手に入る」という恐ろしい考えだった…。

(C)2025 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM ALL RIGHTS RESERVED
(C)2025 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM ALL RIGHTS RESERVED

『イカゲーム』のイ・ビョンホンと『愛の不時着』のソン・イェジンが夫婦役で初共演!

本作のメガホンをとったのは、『オールド・ボーイ』(2003年)で第57回カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ、『渇き』(2009年)で第62回カンヌ国際映画祭審査員賞、『別れる決心』(2022年)で第75回カンヌ国際映画祭監督賞と、韓国作品として初めてカンヌ国際映画祭で3回の受賞を果たし、世界的な評価を得ているパク・チャヌク監督。

前作『別れる決心』は、殺人事件を追う刑事と、その容疑者である被害者の妻が対峙しながらも惹かれ合う姿を描き話題となった。この作品は単純なラブストーリーではなく、二人の駆け引きや言葉では説明できないような繊細な愛を丁寧に描いていてとても好きな作品だった。

そして最新作となる『しあわせな選択』は、1997年に出版されたドナルド・E・ウェストレイクの『斧』という小説が原作で、監督は初めて読んだ瞬間から心をつかまれ、いつか映画化したいと思ったという。

本作で主人公のマンス役を演じるのは、『JSA』(2001年)と『美しい夜、残酷な朝』(2005年)でもパク監督とタッグを組んだイ・ビョンホン。彼が本作で演じた主人公のマンスは、25年も勤めた会社を突然クビになり、再就職するためにクレイジーなアイデアを実行させていく。

“再就職のためにライバルを消す”という計画を思いついた主人公の話と聞くと、かなりバイオレンスで暗い映画を想像するかもしれないが、マンスが計画を実行する姿は意外にもコミカルで、笑えるシーン満載だ。マンスの情けない姿はとんでもなくカッコ悪く、それをイケオジのビョンホンが振り切った演技で見せてくれるのだから最高である。『イカゲーム』で演じたクールなビョンホンはこの映画では見られない(笑)。

【写真】主人公マンス(イ・ビョンホン)と妻のミリ(ソン・イェジン) (C)2025 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM ALL RIGHTS RESERVED
【写真】主人公マンス(イ・ビョンホン)と妻のミリ(ソン・イェジン) (C)2025 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM ALL RIGHTS RESERVED

マンスの妻・ミリを演じたのは、日本でもヒットした『私の頭の中の消しゴム』(2005年)や、コロナ禍に視聴者が倍増して大きな話題を集めたドラマ『愛の不時着』でヒロインを演じたソン・イェジン。本作でイ・ビョンホンと初共演を果たした彼女は、夫が解雇されてどん底に陥っても、明るく振る舞う芯の強いミリを見事に演じ切った。

(C)2025 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM ALL RIGHTS RESERVED
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ほかキャストには、順風満帆な製紙会社の班長ソンチュル役を『警官の血』(2022年)のパク・ヒスン、切実な思いで再就職を目指す製紙業界のベテランのボムモ役をドラマ『ミセン-末生-』(2014年)や映画『ソウルの春』(2024年)などのイ・ソンミン、繊細で感受性豊かなボムモの妻アラ役をドラマ『おつかれさま』(2025年)のヨム・ヘラン、製紙業界の経験豊富な実力者で現在は靴屋の店員のシジョ役をドラマ『暴君』(2024年)のチャ・スンウォンが演じている。

マンス(イ・ビョンホン)に命を狙われる靴屋の店員のシジョ(チャ・スンウォン) (C)2025 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM ALL RIGHTS RESERVED
マンス(イ・ビョンホン)に命を狙われる靴屋の店員のシジョ(チャ・スンウォン) (C)2025 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM ALL RIGHTS RESERVED

間違った方へ暴走し続ける主人公の姿が笑いと共感を生み、心を揺さぶられる!

冒頭、主人公のマンスは、25年間勤めていた製紙会社が米国企業に買収されたことで解雇されてしまう。家族と家、そして生活を守るために再就職のための就活を開始したマンス。失敗続きの中、マンスは右肩上がりのムーン製紙という会社に飛び込みで履歴書を持ち込むが、相手にされず結果は惨敗。

ドン底気分を味わったマンスは、自分が雇ってもらえるように優秀なライバルを殺害して消すという方法を思いついて……というトンデモ展開に突入する。普通に考えたら、自分のほうが優秀だと認められるように努力するはずだが、中高年で再就職が厳しい現実と向き合ったらそういう考え(ライバルを消す)にいたっても仕方がないのかもしれない。(ちなみに原題は『NO OTHER CHOICE』で、「ほかに選択肢がない」「仕方がない」という意味である)、もちろん人を殺すなんて絶対にダメなのだが…。

(C)2025 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM ALL RIGHTS RESERVED
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マンスはとある方法でライバル候補の履歴書を手に入れ、まずは製紙業界のベテランであるボムモのところに向かい、偵察を始める。だが偵察に慣れていないマンスは、山の中で蛇に噛まれ、そのあとボムモの奥さんが浮気していることを知ってしまったことから、ボムモが浮気相手と鉢合わせしないように奮闘したりする。“一体何がしたいの?”と思わずツッコミを入れたくなるほど意味不明なマンスの行動。この辺からジワジワと笑いが込み上げ、そのあとに展開されるマンスとボムモ、ボムモの妻アラの三人が死闘を繰り広げるシーンでは、カオスすぎて爆笑してしまった。

切実な思いで再就職を目指す製紙業界のベテランのボムモ(イ・ソンミン)と対峙するマンス(イ・ビョンホン) (C)2025 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM ALL RIGHTS RESERVED
切実な思いで再就職を目指す製紙業界のベテランのボムモ(イ・ソンミン)と対峙するマンス(イ・ビョンホン) (C)2025 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM ALL RIGHTS RESERVED
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マンスの暴走は止まらず、製紙業界の経験豊富な実力者だったシジョ、そしてムーン製紙の班長ソンチュルと、ターゲットに次々と近付いていく。何がなんでも再就職しようと必死なマンスの姿を見て、やり方が間違っていると思いながらも共感し、気づけば心を揺さぶられていた。それはきっと、マンスの陥った状況が決して他人事ではないからなのかもしれない。

本作にはAI時代の到来を彷彿とさせるシーンがあるが、すでに人間の代わりにAIがあらゆる業務を担っていたりする業界も存在するようだ。筆者も最近はAIを使ってテープ起こしをしているが、時短になりとても便利だ。その一方で、いつか自分の仕事をAIに奪われるかもしれないという不安もある。映画に関しても、いつかAIでSF超大作が作られる時代が来る可能性があり、きっとパク監督はそういったことへの批判もこの作品に込めているのではないだろうか。

暴走を続けたマンスがどんな結末にたどり着くのか。ぜひ劇場の大きなスクリーンで鑑賞してもらいたい。

(C)2025 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM ALL RIGHTS RESERVED
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9_subsub1のコピー (C)2025 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM ALL RIGHTS RESERVED
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文=奥村百恵

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