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意外と知らない「介護の腰負担」を減らす方法とは?現場発【骨盤ベルト】で介助がラクに!

  • 2026.3.23

意外と知らない「介護の腰負担」を減らす方法とは?現場発【骨盤ベルト】で介助がラクに!

認知症の介護で生じるさまざまな悩みや不安に応えて、多くの企業が当事者とご家族の思いに寄り添う商品を開発しています。評判の便利グッズから最新テクノロジーまで、介護を手助けしてくれる頼もしいアイデアや工夫をご紹介します。今回は健康用品の製造メーカー「丸光産業」にお話を伺いました。

お話を伺ったのは
川西暁子さん 丸光産業繊維製造部門 マーケティング室 次長

骨盤ベルトの改良を担当。介護施設での聞き取りから社内モニター、展示会実演まで一貫して担う。

介護者の負担軽減だけでなく、 パフォーマンスも上げる骨盤ベルトを開発

サポーターなどの各種健康用品の製造で創業70年以上の歴史を持つ丸光産業が開発したのが、骨盤ベルト「介助するすべての人を支え帯」だ。介護のパフォーマンス向上を目指して生まれたこの製品には、繊維事業と介護事業を両立する同社のノウハウと思いが込められている。開発を担当した川西暁子さんに話を聞いた。

「当社は1953年に創業し、94年からは在宅介護サービスを開始。現在は繊維事業と介護事業の二つの事業を展開しています。当社にしかできない取り組みをしようと、2025年に新ブランド『ごじあい』を立ち上げました」

介護する側、される側をサポートする「ごじあい」ブランドをスタート

「ごじあい」は2025年に生まれた、丸光のトータル介護ブランド。骨盤ベルトの他、急な入院・施設入所に備えるための「ごじあいセット」を展開している。現場の意見を重視し、着心地や機能性にこだわったチョッキやパジャマ、肌着など、安心のセット内容。

介護現場からの声で改良。ずれやパワー不足を解決

介護用の骨盤ベルト開発のきっかけは、社長が介護現場で耳にした切実な声だった。

「介護事業のスタッフが、『まだまだ働きたいんだけれど、腰を痛めて、もうヘルパーはできないのよ』と話しているのを何度か聞いたそうです。意欲はあるのに、体がつらいという理由で仕事を続けられないスタッフを一人でも減らしたいという思いから、当社の強みである骨盤ベルトを改良して介護用を作ることにしました」

まずは現場のスタッフに、一般向けの骨盤ベルトを試してもらったところ、「介護現場で使用するにはパワーが足りない」という意見が相次いだ。さらに、訪問入浴サービスやデイサービスの入浴でぬれてしまうなど、現場ならではの課題も見えてきた。

「盲点だったのは、『そもそも腰が痛いわけじゃないから、つけなくてもいい』『骨盤ベルトのよさがよくわからない』といった声があったことです。そのため、骨盤の役割から、骨盤ベルトで体が安定すると介助がどう楽になるかまで、丁寧に説明して理解してもらうことから始めました」

携帯用に巾着をセット

介護従事者向けに開発された骨盤ベルト。6㎝の細い幅でありながら、十分なサポート力を実現。
●介助するすべての人を支え帯(たい) 5980円/丸光産業 ☎03-5818-0303
https://gojiai.net/

たたんでコンパクトに収納できる巾着袋つきで、持ち運びに便利。必要なときにすぐ骨盤ベルトを取り出して装着できるよう、使いやすさにこだわった。

系列の介護事業所で働く人の声を生かして

現場のさまざまなニーズを捉え、改良していった。介護現場でも使えるようにゴムのパワー感を高め、シリコン製のすべり止めを装着。一部に蒸れにくいメッシュ素材を採用。その結果、6センチという細幅で動きの邪魔にならず、体を支える・抱き抱えるなどのパフォーマンスを向上させる骨盤ベルトが完成した。

川西さんは使用の前に、正しい装着方法を知ってもらうことを重視。動画で使い方を説明してからつけてもらったという。

「その結果、社内で試着した72.5%のスタッフが、『つけていたときのほうが介助しやすかった』と回答しました。また、国際福祉機器展でのモニター体験では、92%の人から『介助しやすい』と回答いただきました。腰が痛いから骨盤ベルトをつけるのではなく、『介護するときには必ずつけよう』とアピールしていきます」

今年1月からオンラインストアで販売を開始。創業70年以上の技術力と現場の声を融合させた介護ベルトには、これから増える在宅介護の負担を減らし、パフォーマンスを高めることが期待される。

「今後当たり前になる介護の場面で、骨盤ベルトも当たり前に身につけてもらえればと願っています」

腰痛予防ベルトをベースに開発

一般向けに販売している腰痛予防ベルトを、介護現場向けにカスタマイズ。強度アップやズレにくさなど、現場の厳しい要求に応える改良を重ねて完成させた。

内側のすべり止めでずり上がりを防止

シリコン製のすべり止めをつけ、介助中のずり上がりを防止。一般の骨盤ベルトより固定力をアップして、介護スタッフのさまざまな動きに対応する工夫を施した。

メッシュ素材でムレを予防

通気性に優れたメッシュ素材を部分的に使用。長時間の装着でも蒸れを防ぎ、オールシーズン快適に使用できる。入浴介助などでぬれても乾きやすく、安心。

体への負担が軽くなる理由

つけるのは骨盤の出っ張った骨の下

正しい装着位置は、骨盤を構成する出っ張った「腸骨(ちょうこつ)」の下。ここに装着して骨盤を安定させ、効率的な動作を可能にする。「多くの人のイメージよりも低い位置につけます」と川西さん。

サポート力を高める二重ベルトを内蔵

補助ベルトつきの二重構造を採用。まずは補助ベルトで仮止めしてから、メインのベルトで本格的に締め上げる。この2段階方式で、あまり力がない人でも無理なく、しっかりと装着できる。

撮影/柴田和宣(主婦の友社) 取材・文/武田純子

※この記事は「ゆうゆう」2026年4月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

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