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恋愛、結婚、出産…人生の節目に潜む「心のくらやみ」に共感! 女性たちの誰にも言えない本音を怪談スタイルで暴いていく異色の短編集【書評】

  • 2026.3.20

【漫画】本編を読む

人は誰しも、誰にも言えない気持ちを心の奥底にしまい込んで生きている。嫉妬、疑い、恨み、偏見、劣等感……。他人から見れば取るに足らないことかもしれない。しかし、本人にとっては大きな問題だ。『くらやみガールズトーク』(ウラモトユウコ:漫画、朱野帰子:原作/KADOKAWA)は、人生の岐路に立った女性の心の「くらやみ」を描き出す、一風変わった怪談短編集だ。

第1章では、結婚という人生の節目で自分が変わることへの戸惑いが描かれる。朱莉は花嫁衣装に身を包み祝福されながらも、名字が変わるという小さな変化をきっかけに、自分自身がどこか別人になってしまったような違和感を覚える。そして第2章のテーマは恋愛だ。まじめに生きてきた祐実に初めて恋人ができるものの、その関係には秘密があり、やがて熱を帯びた彼女の感情が暴走していく。どちらの物語も、彼女たちが「くらやみ」へしまい込んできた本音を解放する姿が描かれるが、同時に誰もが見られたくない「心の弱さ」も鋭く抉ってくる。

そして第3章では、人生の大きな転機である出産と育児がテーマ。余裕なく子育てに追われる玲奈は、かつて自分が思い描いた理想の姿から大きくズレた現実に直面する。初めて胎動を感じたときの喜びと不安、子どものそばで眠れぬ夜、出産後の自分自身の変化……。そのひとつひとつが母親である自分の中に潜む「獣のような本能」と向き合う痛みとして描かれる。母親であることは幸福である反面、自分自身を失う恐怖もあるという二面性が読み手の心にじんわりと迫る。

本シリーズに共通するのは非日常の出来事ではなく、日常の中にある気持ちの暗がりを取り上げていることだ。結婚、恋愛、出産という節目節目で彼女たちが抱える不安や嫉妬、孤独という感情を、不穏な怪談に託して描きながら、読み手はそれぞれの「心のくらやみ」にも光を当てられたような感覚になるだろう。共感と戦慄が混ざり合う本作は、自身と向き合う時間を与えてくれる一冊だ。

文=七井レコア

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