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「ふつうの相手でいい」というのは高望み!?婚活のプロが断言。親が動くほど結婚が遠のく理由とは?

  • 2026.4.8

「ふつうの相手でいい」というのは高望み!?婚活のプロが断言。親が動くほど結婚が遠のく理由とは?

「ちゃんと育てたはずなのに、いい年したウチの子がなぜ結婚できないの?」——そう悩む親たちが、いま子どもに代わって出会いの場を探す「代理婚活」に動いています。30代の独身息子2人を持つ母親でジャーナリストの石川結貴さんが、自ら「代理婚活交流会」に参加して見えた現実とは? 話題の新刊『ウチの子の、結婚相手が見つからない!』から抜粋してお届けします。第4回は、婚活のプロが指南する奥深い話。

ふつうの相手でいいというのは高望み?

息子自身の1年半の婚活、そして親である私の3度の代理婚活を経ても何の成果もなかった。真面目に働き、優しく思いやりがある我が子の結婚相手がなぜこうまで見つからないのか、私の悩みは深まるばかりだった。

そうした中、取材で知り合った結婚カウンセラーのひとりにこれまでの経緯を伝え相談してみた。
個人経営の仲人型結婚相談所に20年勤務し、親の代理見合いなども手がけ、今はある自治体の婚活支援に携わる岡田晴美さん(仮名・63歳)だ。

「やめたほうがいいんじゃないですか」
何かしら励ましてもらえるものと思っていたが、予想外の岡田さんのアドバイスに驚いた。

子どもの真面目さや優しさをわかってくれる人を探そうとする親はうまくいかない、要するに私は代理婚活に「不向きな親」というわけだ。
「年収とか家柄とか目先の条件で選別されるのがイヤだとしても、親が関わる以上はそういうものだと割り切るのが大事」
「まずは条件の合う親にどんどんアプローチして、子ども同士の見合いをさせる」
「子どもの意見などいちいち気にせず、とにかく一度会いなさいと強引に押し切れる親でなければ、子どもを結婚させられない」
そんな言葉の数々が極論に思えて内心引いたが、岡田さんの本心は別のところにあった。

「実は私、代理婚活はお勧めできないんです。だから石川さんにもやめたほうがいいと言ったんですよ」

いきなり切り出した岡田さんにまた驚いた。今しがた「相手の親にどんどんアプローチする」とか、「片目をつぶってでも会えと子どもを押し切る」と話していたのにまるで逆。そもそも岡田さん自身が以前の勤務先で親の代理見合いを手がけていたはずなのに、それを「お勧めしない」とはどういうことだろう。

「結婚しない子どもを案じる親の気持ちはよくわかるし、自分なりにお役に立ちたいとは思ってます。今の職場でも親からの相談を受けてますから、全面的に否定するわけじゃありません。ただ、自己中心的で勘違いしている親が多いことも事実です。そういう人たちが集まって代理婚活をしたところで平行線、いい結果にはならないでしょうね」

自己中心的、勘違いの代表格が「ふつうの相手でいい」、「高望みしていない」、そんな親だという。私がはじめての代理婚活で話した親のひとりもそうだったし、「これまで会った親御さんたちはみなさんそうだ」とも言っていた。どう見ても謙虚で誠実な態度のように思えるが、岡田さんはそれこそがとんだ勘違いだと指摘する。

たとえば娘を持つ母親が「お相手」候補の男性に求める「ふつう」とは、当の母親が持つ価値観や人生観に基づいていたりする。自身は堅実な仕事を持つ夫と結婚し、子どもを産み育て、家や車を買い、家族旅行や季節ごとの行事を楽しんできた。子どもを塾や習い事に通わせ、お受験をさせたり、有名校に進学させたり、安定した企業にも就職させた。

そういう母親が娘の「お相手」に求めるふつうとは、要するに自分と同じような生活を娘に与えられる男性だ。堅実な仕事に就き、いずれは家や車を持ち、子どもをしっかり教育し、世間に恥ずかしくない家庭を築ける「ふつうの男性」を探そうとする。

「冷静に考えれば、そのふつうって全然ふつうじゃないんですよ。今の未婚男性のどれだけの人が一生安泰でいられて、家も車も買い、子どもをお受験させられる経済力があるんでしょうか。実家が資産家とか、年収数千万円っていうなら余裕かもしれないけど、じゃあ自分の娘はその男性から選んでもらえるほど若くて美人で魅力があるのかって、客観的な視点を持てる人はめったにいないですね」

同じことは息子を持つ親にも言える。父親にせよ母親にせよ、息子の「お相手」になる女性が結婚後も働きつづけることは容認し、むしろいまどきあたりまえだとも思っている。けれども一方で相手の女性には、子どもを産み、塾や習い事をさせ、有名校に進学させるとか、冷凍食品や外食など利用せず料理を手作りしてほしいとか、掃除や洗濯もぬかりなくとか、そんな希望も持っている。これまた親たちにとってはふつうだったから、そういうことができる「ふつうの女性」を探そうとするが、「どれだけ高望みしてるんですか」と岡田さんはあきれたような口ぶりだ。

「親世代の父親は家庭のことは妻任せ、母親のほうは専業主婦かパート程度で、女性が男性と同様に働きながら家事や育児をこなすことがいかに大変かわかっていません。仕事も家事も子育ても、ついでに自分たちの老後まで頼りにできるような女性を探そうとするなんて、高望み以外のなにものでもないですよ。ウチの息子だって家事を手伝う、優しい息子だから子どももかわいがるなんて思ったところで、実際に息子にはどれくらいの生活能力があるんですか。実家暮らしで日々の家事は母親任せ、自分は仕事や趣味だけしていればいいなんて男性が、いざ結婚して本当に妻を助けられるんでしょうか」

ごもっとも、そううなずくしかなかった。親たちが言う「ふつうの相手でいい」や「高望みしていない」は謙虚どころか傲慢で、いかに今の時代からずれた発想なのか。我が子を客観的に見ることなく、「お相手」には古き良き自分の価値観を押しつけるような親たちが代理婚活したところで、いかにも平行線に違いない。

「子どもの婚活や代理婚活を自宅の売却に置き換えて考えると、いかに現実が見えていないかわかりますよ」

岡田さんはそんなたとえをして、我が子の結婚を期待する親の在り方について話しはじめた。

勘違いせず、プライドを捨てられるか

住み慣れた自宅には当然ながら愛着がある。仮に自宅を売却するとなったとき、少しでも高く売りたい、いい人に買われて大切に使ってもらいたい、そんな願いを持つだろう。買い手の候補が現れたとき、「日当たりがいい」とか「手入れを怠らなかった」などとアピールしたくなるし、実際に部屋の隅々まで案内したりするかもしれない。

一方の購入希望者からすれば、住人の思い入れや愛着よりも「価格が安い」、「駅まで近い」、「リフォーム済み」、そういう現実のほうが重要だったりする。

「売り手と買い手がミスマッチなら自宅は売れません。もっといい買い手が現れるかもしれないと待つのは自由ですけど、そうしているうちに劣化していき、もっと売れなくなる可能性も高いでしょう。本当に自宅を買ってもらいたいなら価格を下げたり、相手の希望に合わせて譲歩したりして、要は自分の思い入れとは違う現実を受け入れることが大事じゃないでしょうか」

一方で「愛着がある以上、変な妥協をしたくない」と考える人もいる。劣化しようが、売れる可能性が低くなろうが自分はこうしたいという意思があれば、たとえ時間はかかってもそれに応じてくれる買い手を探せばいい。現実を優先するか、それとも愛着を重視するか、売り手だけでなく買い手の視点からも考えるとそれまでとは違った道が開ける、そう岡田さんは言う。

たとえば婚活中の男女が「お相手」を評する際に口にしがちな「しっくりこない」。多くの未婚者がそう言って見合いを断ったり、交際をやめたりする。

ならば当の子どもは「お相手」候補を、いったい誰と比較して「しっくりこない」と判断するのだろうか。豊富な恋愛経験がある、過去に複数の交際相手がいた、そんな人なら「あの人に比べてこの人はダメ」と言えるだろうが、恋愛どころか異性と二人きりでデートもしたことがない人が「しっくりこない」とは、どういう基準で決めているのか。

「そう言えるほど異性を知っているんですかって聞きたいですね。見合いもデートも相手があってできることで、全然モテたことがない自分を選んでくれてありがたいという気持ちがあるかどうか、ここがすごく大事だと思うんです。もちろん見合いやデートをしてもうまくいかないことは多いし、自分の感覚的に無理だからお断りしたというケースもよくあります。それはそれでいいんですけど、とりあえず異性と二人で会える機会があってよかったとか、デートのためにお金を使わせて申し訳なかったとか、そういう気持ちで婚活してほしい。相手が悪い、気に入らないと言う前に、自分は、我が子は、それほど立派な人間なんだろうかって、ちゃんと現実を見てもいいでしょう」

岡田さんの言葉は示唆に富み、私自身を省みる得難い機会になった。婚活中の息子が「俺には無理、やってらんない」と投げやりになれば、やめたほうがいい、要領が悪い、そんなふうについネガティブに考えた。

もしもあのとき「たいした恋愛経験もないんだから、最初からうまくいかないよ」とか、「まずは相手の話をよく聞いて、いいところを探してみてはどう?」とか、なにかしら前向きな言葉をかけていたらまた違った道が開けたかもしれない。息子が傷つくのはイヤだ、無理をしてまで結婚しなくてもいい、そんな思いもあったりしたが、今にして考えれば息子の「お相手」候補の女性や、その親の心情にまで思い至らず、それこそ私の傲慢さに違いなかった。

さまざまな反省を次に生かしたい、つい前のめりになって岡田さんに伝えてみたが、「一番大事なのは息子さんの意思です」とクギを刺された。

「早く結婚したいのか、当分はしたくないのか、ずっとする気はないのか、どんな意思でも本人次第です。仮に子どもが代理婚活を頼みたいというなら、それもひとつの意思としてあっていいでしょう。ただし、親が代理をするなら勘違いや思い込みを捨て、なりふり構わず相手を探すくらいの度量が必要でしょうね。そうは言ってもみなさん、なんだかんだとプライドが高いからむずかしいでしょうけど」

自己中心的、勘違い、そしてプライドが高い。厳しい言葉の数々は長年婚活の現場に関わってきた岡田さんならではだろう。

現実的な指摘は響き、それは私のみならず、未婚の子どもを持つ多くの親にとってもあらたな「気づき」をもたらすように思えた。

※この記事は『ウチの子の、結婚相手が見つからない! 親の代理婚活でわかった「結婚の壁」』石川結貴著(文藝春秋刊)の内容を、ウェブ記事用に再編集したものです。

※写真はイメージです

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