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”水かき”をもつ「絶滅危惧種」猫、タイで30年ぶりに再発見

  • 2026.3.15
水かきをもつ希少ネコ、タイで30年ぶりに再発見 / Credit:Wikipedia Commons

タイにはマライヤマネコ(Prionailurus planiceps)という絶滅危惧種のネコが生息していました。

しかし近年は国内でまったく姿が確認されず、タイでは絶滅した可能性が高いと考えられていました。

ところが2024年から2025年にかけて、タイ国立公園・野生動物・植物局と野生ネコ科動物の保護団体パンセラ(Panthera)が進めた調査によって、このネコがタイ南部で約30年ぶりに確認されたことが明らかになりました。

長年「タイから消えたのではないか」と思われていたこの小さなヤマネコは、いったいどんな動物なのでしょうか。

目次

  • 魚を狩る「水辺のマライヤマネコ」、タイで姿を消していた
  • マライヤマネコ、タイで30年ぶりの再発見!子連れのメスも確認

魚を狩る「水辺のマライヤマネコ」、タイで姿を消していた

マライヤマネコは、ベンガルヤマネコ属に分類される小型のヤマネコです。

分布は東南アジアに限られており、ブルネイ、インドネシア、マレーシアなどの湿地や低地林に断片的に生息しています。

タイにもかつて生息していましたが、長いあいだ記録が途絶えていました。

体長はおよそ40~56センチ、体重は約2キログラムです。

東南アジアで最も小さいヤマネコとして知られ、一般的なイエネコよりかなり小柄です。

額が平たく、頭骨が前に長めに伸びた独特の顔立ちをしています。

さらに足の指の間には水かきがあり、湿った地面や浅い水辺を動きやすい体つきになっています。

このネコが特に面白いのは、ネコ科でありながら水辺の暮らしにかなり適応していることです。

主に魚を捕食すると考えられており、ほかにもカエル、甲殻類、小型の哺乳類などを捕らえるとみられています。

森の中を歩き回る普通のネコというより、湿地を舞台にした小さなハンターなのです。

ただし、こうした暮らし方は同時に弱みでもあります。

マライヤマネコは、泥炭湿地林や沼地、川沿いの低地林など、水の多い環境に強く依存しています。

こうした場所は人間の活動で失われやすく、農地の拡大や開発、生息地の劣化、水路の汚染、狩猟などによって、暮らせる場所が狭まってきました。

そのため国際自然保護連合(IUCN)では絶滅危惧種に分類され、世界の成体数も約2500頭と推定されています。

タイで特に状況が深刻に見えたのは、最後の確認が1995年だったからです。

その後は記録が途絶え、タイ国内では「絶滅した可能性が高い」とみなされるようになりました。

つまり、タイではほとんど“幻のネコ”になっていたのです。

ところが近年、その“見えなくなっていたネコ”が再び姿を現しました。

マライヤマネコ、タイで30年ぶりの再発見!子連れのメスも確認

再発見の舞台になったのは、タイ南部ナラティワート県にあるプリンセス・シリントーン野生動物保護区です。

ここでタイ国立公園・野生動物・植物局とパンセラがカメラトラップを使った調査を行ったところ、2024年に13回、2025年に16回、合計29回にわたってマライヤマネコの姿が記録されました。

これはタイでは1995年以来の確認です。

さらに重要だったのは、子ネコを連れたメスも撮影されたことです。

これは、一匹がたまたま通り過ぎたというだけではなく、その地域で繁殖している可能性が高いことを示します。

タイ南部には、ただ生き残った個体がいるだけではなく、個体群が維持されている可能性があるのです。

では、なぜこのネコはこれほど長いあいだ見つからなかったのでしょうか。

それはマライヤマネコの体が小さく、夜行性で、しかも人が入りにくい湿地や泥炭湿地林を好むからです。

研究者が「いそうだ」と思っても、昼間に林道を歩くだけではまず見つかりません。

数そのものも少ないため、存在していても記録に残らない時期が長く続きやすいのです。

今回のような長期のカメラ調査があって、ようやく姿がとらえられたわけです。

さらに今回の発見は、長年の保護活動と生息地の維持が、実際に成果を生んでいた可能性が高いことを示しています。

パンセラの研究者も、失われたと思われていた種でも、生息地を守れば回復する可能性があると指摘しています。

もちろん、これで安心というわけではありません。

これらの調査結果は、IUCNレッドリストの再評価にも活用される見込みですが、個体数や分布範囲をきちんと見直すには、さらにデータが必要です。

研究者たちも、完全な再評価には今後数年の研究が必要になる可能性があるとみています。

つまり今回の再発見はゴールではなく、本格的な保全の出発点なのです。

水かきをもつ小さなヤマネコは、誰にも気づかれないまま、タイの湿地で生き続けていました。

今回の再発見は、自然保護がきちんと未来につながることを示した、とても力強く、そして嬉しい報告でした。

参考文献

Flat-headed cat not seen in Thailand for almost 30 years is rediscovered
https://www.livescience.com/animals/flat-headed-cat-not-seen-in-thailand-for-almost-30-years-is-rediscovered

Tiny wild cat spotted in Thailand for first time in 30 years
https://www.popsci.com/environment/wild-cat-thailand-returns/

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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