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ジュンヤ ワタナベ、さまざまな要素を寄せ集めた“アッサンブラージュ”を披露【2026-27年秋冬 パリコレクション】

  • 2026.3.14

ブランドの下げ札の裏に日時と場所が書かれただけの、そっけない招待状が常であるジュンヤ ワタナベ。今季は珍しくさらに一枚の白い紙が入っていた。そこには、「The Art of Assemblage」とだけある。パブロ・ピカソやダダイスト、シュルレアリストたちにはじまる、日用品などを集めて異質な要素を組み合わせる芸術のことなのか。

3月7日(現地時間)、ショー会場に入ると黒と白のチェッカーボード柄のランウェイを囲むように客席が設けられている。やがてアストル・ピアソラの「リベルタンゴ」が流れ、ファーストルックが登場した。

Photo_ Getty Images
Junya Watanabe - Runway - Paris Fashion Week - Womenswear Fall/Winter 2026-2027Photo: Getty Images

バイカーグローブなどを寄せ集めたようなドレスを纏ったモデル、イリーナ・シェイクは、上に羽織っていた黒いロングコートをランウェイ中央に置いてあった椅子に置き、ゆっくりと気取ったように歩きながら時折ポーズをきめる。通常のウォーキングではないことは明らかだったが、今回はメゾン マルジェラ2024年「アーティザナル」のショーで脚光を浴び、デムナによるデビューショーである2月27日開催のグッチのショーでも話題となったムーブメント・ディレクター、パット・ボグスロースキーが参加していたのだった。

モデルたちがタンゴに合わせた情熱的な動きで見せるルックには、食器を運ぶトレーやバッグ、携帯電話のケース、保温用のサバイバルシート、ウィッグ、ぬいぐるみ、帽子などが用いられている。

カーテンでできたトレーンを引きずり、スペイン語で「世界人類が平和でありますように」と記された木製の看板やアンディ・ウォーホルによるマリリン・モンローのポートレートがプリントされた鏡を付けたドレスも。

ラストはモデルのマギー・マウラーがランウェイ中央でポーズをとった瞬間、暗転。拍手喝采が起こった。

「アッサンブラージュ・アート・クチュール」というテーマが表すように、さまざまな要素の寄せ集めでありながら、最終的に形作られたのは往年のクチュールの世界を思わせるドレス。アッサンブラージュの手法をとったアーティストたちが商業化されたアート界のシステムの価値観を覆そうとしたように、デザイナーの渡辺淳弥もラグジュアリービジネスに対してありふれた素材でも美を生み出せることを訴えようとしたのか。

情熱的で官能的でもあるタンゴのムードやドラマティックな演出、夜会巻き風のヘア、過剰なつけまつ毛はジュンヤ ワタナベのブランドイメージとは程遠いように思われるが、それらが美しいドレスと同様不思議と一体化していた。そのディレクションの力に舌を巻くと共に、奇しくもイラン情勢の緊張が高まる時期に開催されたパリ ファッション ウィークで、偶然の出会いを装いつつも「世界平和」を掲げた姿勢も心に残ったのだった。

※ジュンヤ ワタナベ 2026-27年秋冬コレクションを全て見る。

Photos: Gorunway.com Text: Itoi Kuriyama

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