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家族を捨てた父、15年ぶりに帰ってきた目的は〈女優の娘〉。こじれた父娘がたどり着く結末は?『センチメンタル・バリュー』【レビュー】

  • 2026.3.13

※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年3月号からの転載です。

日本でもスマッシュヒットを記録した『わたしは最悪。』のトリアー監督が、再びレナーテを主演に迎えた最新作。カンヌ国際映画祭グランプリ受賞を皮切りに北米映画賞レースでも爪痕を残し、ついに日本へ!

舞台を中心に女優として活躍するノーラと、家庭に軸足を置き夫と幼い息子と穏やかに暮らす妹のアグネス。ふたりの前に、かつて家族を捨てた映画監督の父、グスタヴが現れる。表向きの理由は亡き妻の追悼式への参列、けれど真の目的は15年ぶりの復帰作となる新作映画の主演を、ノーラに依頼するためだった。父への怒りと失望を抱え続ける彼女は、申し出を頑なに拒否。ほどなくしてハリウッドの人気スター、レイチェルを代役に父の企画が動き出す……。

監督が愛してやまない都市オスロを舞台に描くのは、愛憎入り交じる家族の物語。余りに不器用でこじれた父娘のドラマを縦軸に、グスタヴの映画制作のストーリーが絡み合いながら、見事な着地を魅せてゆく。

誰よりも許せないグスタヴに実は誰よりも似ているノーラ、気丈に家族の“仲介役”を務めるアグネス、自伝的な要素を織り込んだ脚本で復帰に懸けるグスタヴ、キャリアの岐路に立つレイチェル。それぞれに影を秘めた(ゆえに美しい)4人の豊かな造形と、レナーテのみならず皆が当て書きのように思えるメインキャストが絶品だ。レナーテ、ステラン、エルの世界的知名度を誇る3人はもちろん、アグネス役インガの控えめで細やか、知性と深みを湛えた演技に目を奪われてゆく。姉妹の愛と極上のアンサンブル、オスロの街を捉えた映像に酔う、幸せな133分。

『センチメンタル・バリュー』

監督:ヨアキム・トリアー

出演:レナーテ・レインスヴェ、ステラン・スカルスガルド、インガ・イブスドッテル・リッレオース、エル・ファニング

2025年ノルウェー 133分

配給:ギャガ 2月20日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開

●女優のノーラと、温かい家庭を築いたアグネス。対照的に生きながらも幼い頃から支え合う姉妹の前に、長らく音信不通だった映画監督の父が現れる。15年ぶりの復帰作となる新作映画の主演を、ノーラに依頼するためだ……。

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しばた・めぐみ●フリーランスライター。『韓国TVドラマガイド』『MYOJO』『CINEMA

SQUARE』などの雑誌のほか、映画情報サイト「シネマトゥデイ」にも寄稿。韓国料理、アジアンビューティに目がない。

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