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コーヒーを「1日2~3杯」飲む人は精神疾患リスクが低いが、5杯以上で逆効果

  • 2026.3.13
1日2~3杯のコーヒーが心の健康に役立つ可能性 / Credit:Canva

コーヒー好きに朗報です。 毎日のコーヒー習慣は、心の健康と関係しているかもしれません。

中国の復旦大学(Fudan University)の研究チームは、コーヒーの摂取量と精神疾患の発症リスクの関係を大規模データで分析し、1日2〜3杯のコーヒーを飲む人で最も低いリスクが見られたと報告しました。

ただし、飲む量が多すぎるとこの傾向は弱まり、5杯以上では逆方向の関連も示されています。

この研究は2026年1月8日に、『Journal of Affective Disorders』に掲載されました。

目次

  • コーヒーと心の健康の関係を大規模追跡で調査
  • 最も低リスクだったのは2〜3杯、ただし多すぎると逆方向に

コーヒーと心の健康の関係を大規模追跡で調査

うつ病などの精神疾患は、世界中で大きな健康課題となっています。

心の不調は本人のつらさだけでなく、仕事や学業、日常生活にも広く影響します。

そのため近年は、薬や治療だけでなく、毎日の食事や生活習慣がメンタルヘルスにどう関わるのかにも注目が集まっています。

その候補のひとつがコーヒーです。

コーヒーにはカフェインのほか、抗酸化作用を持つ成分など多くの化学物質が含まれており、脳や体の炎症反応に関わる可能性が以前から指摘されてきました。

ただし、これまでの研究では「良い」という報告もあれば、「はっきりしない」という報告もあり、結論はそろっていませんでした。

特に、研究規模が小さいものや、ある時点だけを切り取った研究が多かったことが問題でした。

そこで研究チームは、英国の大規模健康データベース「UK Biobank」を使うことにしています。

対象となったのは、40〜69歳の成人46万1586人です。

研究開始時点ですでに気分障害やストレス障害がある人は除かれ、そこから先に新たに診断される人を追跡しました。

参加者は最初に、1日に何杯コーヒーを飲むか、さらにインスタントコーヒー、挽き豆コーヒー、カフェインレスコーヒーのどれを主に飲むかを回答しています。

研究チームはその後、中央値13.4年にわたって参加者を追跡し、病院の入院記録をもとに精神疾患の発症を調べました。

その結果、追跡中に確認されたのは、気分障害1万8220件、不安やストレスに関わる障害1万8547件でした。

年齢、性別、喫煙、飲酒、睡眠、運動、紅茶の摂取、持病など、結果を左右しそうな要因もできるだけ統計的に調整したうえで分析すると、コーヒー摂取量と精神疾患リスクの関係はJ字型を示しました。

つまり、まったく飲まない場合ではリスクがやや高く、飲みすぎる場合はリスクがより高く、その中間に最も低いところがあるという形です。

その「ちょうどいい量」がどこなのか、そしてなぜ飲みすぎると逆方向に振れるのかを、次で詳しく見ていきます。

最も低リスクだったのは2〜3杯、ただし多すぎると逆方向に

解析の中心結果は明快です。

1日2〜3杯のコーヒーを飲む人で、気分障害とストレス障害のリスクが最も低く見えました。

一方で、摂取量が増えすぎるとこの傾向は弱まります。

研究チームは、適度なコーヒーの摂取で良い結果が出る理由も探りました。

注目されたのは炎症マーカーです。

慢性的な炎症はうつ病などとの関係が指摘されており、研究では炎症に関わる指標が、コーヒーとメンタルヘルスのつながりを一部説明する可能性が示されました。

適量のコーヒーに含まれる成分が、体内の炎症を抑える方向に働いているのかもしれません。

しかし、5杯以上になると保護的な関連が消え、特に気分障害ではリスク上昇が見られました。

なぜ飲みすぎると逆効果になるのでしょうか。

研究者たちは、その理由の一つとしてカフェインの刺激作用を挙げています。

適量のカフェインは覚醒や集中力を高める働きがありますが、大量に摂取すると不安や緊張を高めたり、睡眠の質を下げたりする可能性があります。

こうした影響が長期的にはメンタルヘルスにとってマイナスに働く可能性があると考えられています。

また今回の今回の研究では、より詳細な点も明らかになりました。

まず適量のコーヒーと気分障害リスク低下の関連は、女性より男性で目立ちました。

さらに、研究チームが注目していたカフェイン代謝の遺伝的な違いは、結果を左右しませんでした。

カフェインを速く分解する体質の人でも、遅く分解する体質の人でも、最適とみられる摂取量は大きく変わらなかったのです。

ただし、この研究には限界もあります。

まず、これは観察研究なので、「コーヒーが精神疾患を防いだ」とまでは言えません。

心の状態が少しずつ悪くなってきた人が、結果としてコーヒーを控えるようになった可能性もあります。

また、コーヒーの量は自己申告であり、カップの大きさや濃さも人によって違います。

さらに、対象者の多くは英国在住の白人で、ほかの地域や文化でも同じ傾向が成り立つかは今後の検証が必要です。

それでも今回の研究は、コーヒーは量さえ間違えなければ、心の健康と良い影響を及ぼす可能性を示すことができました。

心の健康を保ちたいなら、1日2~3杯を意識してみると良いのかもしれません。

参考文献

Two to three cups of coffee a day may protect your mental health
https://www.psypost.org/two-to-three-cups-of-coffee-a-day-may-protect-your-mental-health/

元論文

Daily coffee drinking and mental health outcomes: Sex differences and the role of caffeine metabolism genotypes
https://doi.org/10.1016/j.jad.2025.120992

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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