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寿命の長さに影響する「子供の人数」が明らかに

  • 2026.3.10
Credit: canva

「子どもの数は何人くらいが理想なのか?」

これは昔から家庭の事情や価値観によって答えが分かれる問いです。

ところが最近、このテーマに科学的なヒントを与える研究が発表されました。

フィンランド・ヘルシンキ大学などの研究チームは、約1万5000人の女性双子を長期追跡したデータを分析し、子どもの人数と出産のタイミングが女性の寿命や生物学的老化と関連する可能性を示しました。

その結果、興味深い傾向が浮かび上がります。

子どもが極端に多い場合や、まったくいない場合には老化がやや早く進む傾向があり、2〜3人程度の出産が最も長寿と関連していたのです。

研究の詳細は2026年1月8日付で科学雑誌『Nature Communications』に掲載されています。

目次

  • 「繁殖」と「寿命」はエネルギーの配分で決まる?
  • DNAで測った「生物学的年齢」でも同じ傾向

「繁殖」と「寿命」はエネルギーの配分で決まる?

研究チームは、フィンランドで行われている大規模な双子研究のデータを利用しました。

対象は1880年から1957年の間に生まれた女性双子1万4836人で、1970年代から現在まで人生の経過が追跡されています。

双子研究が使われたのは、遺伝的な影響をできるだけ減らして、生活や人生選択の影響を見やすくするためです。

研究ではまず、

・子どもの人数

・出産した年齢

という2つの情報を組み合わせ、参加者をいくつかのグループに分類しました。

その結果、平均的な人数(約2〜3人)の子どもを持つ女性が、最も寿命が長い傾向を示しました。

さらに出産時期も重要で、24〜38歳ごろに出産した女性のグループが最も良好な老化パターンを示しました。

逆に、

・子どもが非常に多い女性(平均約6〜7人)

・子どもを持たない女性

では、死亡リスクが高くなる傾向が見られました。

研究者たちは、この結果が進化生物学の理論と一致すると説明しています。

研究を行った生物学者のミカエラ・フッカネン氏は次のように述べています。

「生物は時間やエネルギーといった資源が限られています。繁殖に多くのエネルギーを使えば、その分だけ身体の維持や修復に使える資源が減る可能性があります」

DNAで測った「生物学的年齢」でも同じ傾向

今回の研究の特徴は、単に寿命を比較しただけではない点です。

チームはさらに、1000人以上の女性の血液を分析し、DNAに関する指標を用いて、生物学的老化を測定しました。

これは細胞レベルでどれくらい老化が進んでいるかを推定したものです。

その結果、寿命データと同じ傾向が確認されました。

子どもが非常に多い女性と、子どもがいない女性では、生物学的年齢が実年齢よりもやや高い傾向が見られたのです。

研究者はこう指摘します。

「実年齢より生物学的年齢が高い人は、死亡リスクが高くなります。今回の結果は、人生の選択が長期的な生物学的影響を残す可能性を示しています」

ただし、研究者たちは重要な点を強調しています。

今回の結果は因果関係を証明したものではなく、あくまで統計的な関連にすぎません。

たとえば、子どもを持たない女性で老化が速い傾向が見られた理由は、この理論では完全には説明できません。

既存の病気や生活習慣など、研究で測定されていない要因が影響している可能性もあります。

子どもの人数と寿命の関係は、長く研究者の関心を集めてきたテーマです。

今回の研究は、双子研究とDNAレベルの老化測定を組み合わせることで、繁殖と寿命の関係をより包括的に示した研究と言えるでしょう。

とはいえ、研究者自身が強調しているように、これはあくまで集団レベルの統計的な傾向です。

「何人子どもを持つべきか」という答えを示す研究ではありません。

それでも今回の結果は、私たちの人生の選択が、想像以上に長い時間をかけて身体に影響を残す可能性を示しています。

参考文献

Number and timing of children linked to biological aging
https://www.helsinki.fi/en/news/public-health/number-and-timing-children-linked-biological-aging

The Number of Kids You Have May Affect Your Lifespan, Study Finds
https://www.sciencealert.com/the-number-of-kids-you-have-may-affect-your-lifespan-study-finds

元論文

Epigenetic aging and lifespan reflect reproductive history in the Finnish Twin Cohort
https://doi.org/10.1038/s41467-025-67798-y

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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