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【香川】建築好きが行くべき、フォトジェニックな名建築10

  • 2026.3.7
©SUO

大小の島々が浮かぶ穏やかな海。「多島美」と形容される景観が人々を魅了する瀬戸内海は、古くから交通の大動脈であり、文化の伝播にも大きな役割を果たしてきた。そんな瀬戸内の中心にある香川県は、近年では瀬戸内芸術祭を開催するなど、この地域の文化を牽引してきた。もちろん、名建築も多い。丹下健三が手掛けたモダニズム建築の傑作や直島の美術館群から、SANAAによる最新のアリーナまで。時間をかけて島めぐりをしつつ、建築とアートの旅に出かけてみては?

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香川県庁舎 東館/高松市

丹下健三の代表作の1つとして知られる香川県庁舎東館。竣工は1958年。木造建築を思わせる柱と梁の組み合わせや、通りからスムーズにアクセスできるピロティ、さらに、そこからつながる南庭など県民に開かれた空間を積極的に取り入れた構成が高く評価されている。

Shuji.N / Hearst Owned

館内にも見どころは多く、丹下健三の研究室がデザインを手掛けた家具が今も残るロビーでは、香川県出身の芸術家、猪熊弦一郎による壁画《和敬清寂》が存在感を放つ。ガラス窓からは南庭とピロティが見えるが、丹下は屋外の風景との一体感を味わえるように窓枠の高さを調整。床面には、小豆島で産出された花崗岩を使用した。

東館1階のギャラリーでは、県庁舎東館にまつわる写真や資料などが展示されているので、訪れた際は、こちらもチェックしたい。

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香川県庁舎 東館
住所/香川県高松市番町4-1-10

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ウミトタ/豊島

「ミナ ペルホネン」のデザイナー、皆川明がディレクションした一棟貸しの宿。日本家屋をリノベーションするにあたって設計を手掛けたのは、皆川と以前から親交のあった「シンプリシティ」の緒方慎一郎だ。

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2人が対話を重ねてつくり上げた空間の中には、自然と向き合いながら豊かな時間を過ごすための工夫がこらされている。床を一段下げたリビングエリアでは、ソファやクッションの張り地に「ミナ ペルホネン」のファブリックを採用。モリソン小林によるアートワークが施された照明が壁面に影をゆらめかせ、窓際にはバイオエタノール暖炉を備えたライブラリースペースが用意されている。

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1日の終わりには、広いウッドデッキでのんびり海を眺めたい。

ウミトタ
住所/香川県小豆郡土庄町豊島家浦423-2

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地中美術館/直島

Photo FUJITSUKA Mitsumasa

安藤忠雄が設計した地中美術館は、「自然と人間との関係を考える場所」として、2004年に開業。瀬戸内の美しい景観を損なわないように、建物の大半が地下に埋設されている。館内には、クロード・モネの《睡蓮》シリーズを自然光のみで鑑賞することができる部屋や、ウォルター・デ・マリアの意向によって設えられたアートスペース、光そのものをアートとして提示するジェームズ・タレルの代表作を鑑賞できる空間も。

地下でありながら自然光が降り注ぐ地中美術館では、光の加減によって1日、そして四季を通じて、作品と建築が表情を変える。美術館自体がサイトスペシフィックな芸術作品と言えそうだ。

地中美術館
住所/香川県香川郡直島町3449-1

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直島新美術館/直島

Photo GION

数ある直島の美術館の中で、初めて館名に「直島」を冠した直島新美術館は2025年、ベネッセアートサイト直島内における安藤忠雄設計による10番目のアート施設として開館した。丘の稜線をゆるやかにつなぐような大きな屋根が特徴的だ。地下2階、地上1階建て。トップライトから自然光が入る階段室は、地上から地下まで直線状に続いており、階段の両側に4つのギャラリーが配置されている。

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Photo GION

日本も含めたアジア地域のアーティストの代表作やコミッション・ワークを中心に展示・収蔵。2026年5月10日まで開催されている『開館記念展示―原点から未来へ』では、日本、中国、韓国、インドネシア、タイ、フィリピンなどアジア地域出身の著名アーティストから新進気鋭まで12組による新作や代表作を、ギャラリーのほか、カフェテリアでも展示する。

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Photo GION

直島新美術館
住所/香川県香川郡直島町3299−73

photo by Yoshiro Masuda

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館/丸亀市

猪熊弦一郎による巨大な壁画と原色のオブジェが目を引くゲートプラザが印象的な美術館。設計を担当したのは、国内外で多くの美術館を手掛けてきた谷口吉生だ。

設計にあたって、猪熊から谷口に出された要望は、「周辺の街と一体化させること」、「おおらかな空間をつくること」、「子どもたちの感性が育つ場所にすること」。その後も2人は対話を重ね、作品と展示空間の関係に始まり、グラフィックのデザインから家具の選択まで意見が交わされた。

photo by Yoshiro Masuda

自然光をふんだんに取り込んだ館内は、1階から3階までの3層構造。1階にはミュージアムショップ、2階では常設展として猪熊作品を紹介するほか企画展にも使われる。3階に上がると天井高約7mを誇る展示室が広がり、ここでは企画展が行われる。このフロアには屋外広場もあり、水が流れる滝なども設置されているので、あわせて鑑賞したい。

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
住所/香川県丸亀市浜町80-1

(公社)香川県観光協会

あなぶきアリーナ”香川”/高松市

2025年にオープンした、SANAA設計による中四国最大級のアリーナ。最大1万人を収容できる「メインアリーナ」と「サブアリーナ」「武道施設」で構成される。アリーナの観客席上部には壁が設けられていない。そのため、ロビーや通路として機能する「交流エリア」と競技フロア、観客席がつながっており、施設内全体で一体感を味わうことができる。

ゆるやかな曲線でつながれた、瀬戸内海に浮かぶ島々を思わせる各施設は、周辺の景観を損なわないように高さが抑えられており、海や街の風景と調和する。

(公社)香川県観光協会

あなぶきアリーナ香川は、ユネスコが世界の優れた建築を表彰するベルサイユ賞「世界で最も美しいアリーナ2025」の最優秀賞を受賞した


あなぶきアリーナ"香川"
住所/香川県高松市サンポート6-11

©SUO

やしまーる/高松市

2022年にオープンしたやしまーるは、屋島山上、地上300mから瀬戸内海の島々や市街地を見渡す交流拠点施設。建築事務所SUOを主宰する周防貴之が設計を担当した。

©SUO

施設内を通る回廊は全長約200mで、屋島の地形に見られる起伏に沿うようにデザインされている。ガラス張りの壁面と相まって、周囲の自然と溶け合う姿が印象的だ。回廊と同じように蛇行する屋根には、高松市の特産である庵治石を使用した。

©SUO

施設内には、 源平合戦をテーマとしたパノラマアート作品の展示室や多目的ホール、ベンチを置いた展望スペースも。それぞれの空間を仕切る壁がなく、両側がガラスに覆われているので屋内にいても、瀬戸内の風景を感じ続けることができる。

やしまーる
住所/香川県高松市屋島東町1784-6

Hearst Owned

豊島美術館/豊島

Photo Noboru Morikawa

瀬戸内海を望む豊島唐櫃(からと)の小高い丘に立つ豊島美術館は、西沢立衛が、アーティスト、内藤礼の作品のために設計した美術館。その形は、一滴の水が地上に最初に落ちた瞬間を想起させる。美術館の広さは約40×60m。最高部の高さが4.5mの背の低いコンクリート・シェル構造で、建物には柱が1本もない。

《母型》と名付けられた作品は、1日を通して至るところから水が湧き出す「泉」。2カ所にある開口部から入り込んでくる光や風、鳥の声、ときには雨や雪や虫たちとも共鳴し、いつまでも表情を変え続ける。


Hearst Owned

Photo Noboru Morikawa

敷地内の植栽は全て豊島内に自生する雑草群で構成されており、棚田の風景を眺めながら美術館へとつながる遊歩道を巡ることで、豊島の美しい風景を、その歴史と共に感じることができる。

豊島美術館
住所/香川県小豆郡土庄町豊島唐櫃609

(公社)香川県観光協会

栗林公園/高松市

約75ヘクタール(東京ドームの大きさに換算すると、16個分)と、国の特別名勝に指定されている文化財庭園で最大の広さを誇る栗林(りつりん)公園。園内には6つの池、13の築山があり、江戸時代初期の大名庭園として優れた地割り石組みを有する南庭と、明治以降に近代的な公園として整備された北庭に分かれている。

<写真>庭園を設けた高松藩の大名が江戸時代に使用していた掬月亭。

(公社)香川県観光協会

現在はお茶屋として営業している掬月亭(きくげつてい)は、1600年代初頭に建てられた茅葺き屋根の建物。茶室は南池の近くにあり、四方から入ることができるように建てられた四方正面の造りが特徴的だ。池に一番近い部屋、「掬月の間」の畳から、ある角度で水を眺めると、水面に浮かんでいるような感覚を味わうことができる。

その他の部屋からも、ていねいに整備された庭園の景観を眺められるのに加え、天井の低さと壁の少なさから、風通しがよく、夏でも涼しく過ごしやすい点にも注目したい。

<写真>掬月亭内部の様子。

(公社)香川県観光協会

栗林公園
住所/香川県高松市栗林町1-20-16

(公社)香川県観光協会

四国村ミウゼアム/高松市

高松市北東部に位置する高地、屋島山麓の広大な敷地に広がる野外博物館。その核になっているのは、四国の4県から移築・復原された33棟の建物だ。江戸時代から大正時代の住宅や作業小屋、寄合い所、芝居小屋、米倉、醤油醸造所は、いずれも人が住み、使ってきたもの。

来場者を迎えるのは、川添善行が設計した四国村エントランス「おやねさん」(写真)。建物西側を覆う「木のステンドグラス」には、2011年の東日本大震災の際に津波で流された南三陸町の民家の古材が使用されている。

HEARST

写真は、1800年代後半に建てられた「冨木田家砂糖しめ小屋」。砂糖製造の最初のプロセスであるサトキビの搾汁作業が、ここで行われていた。円錐形の小屋で現存するのは全国でも四国村ミウゼアムにある2件のみだ。

園内には、この他にも安藤忠雄が設計した「四国村ギャラリー」や、古民家を改築したうどん店「ざいごうどん 本家 わら家」など見どころが多い。

HEARST

<写真>小豆島の小部地区が所有していた江戸時代の歌舞伎舞台。

四国村ミウゼアム
住所/香川県高松市屋島中町91

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