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予定通りにいかないから旅は自由になれる。異国の女子高生ふたりの鉄道旅に教わる「心の余白」の作り方【書評】

  • 2026.3.7

【漫画】本編を読む

旅はいつだって思いがけないことの連続だ。綿密に計画を立てたつもりでも、天候が急変して予定を変更せざるを得なくなることもあれば、何らかのトラブルにより、目的地とは全く別の場所で思いがけず長い時間を過ごすこともある。旅を楽しむためには、予想外の出来事を受け入れ、流れに身を任せて楽しむ柔軟な姿勢が大切なのだ。

『旅はオールパス』(少年FLY:企画、高橋 美鈴(Friendly Land):原案、iimAn(Friendly Land):漫画/KADOKAWA)は、そんな旅の魅力や非日常のワクワク感を可愛らしいタッチで描いたコミックである。

台湾人と日本人の両親を持つ林小鈴(リン・シャオリン)は、鉄道の旅をこよなく愛する高校生。春休みに甲府へのひとり旅をしていた彼女は、駅で困っていた北欧出身の留学生・エレオノーラと偶然出会う。ふたりはひょんなことから、富士山を見にいく旅をともにすることに。

本作の見どころは、時間がゆったりと流れていく旅先特有の空気感が、シャオリンとエレオノーラのやりとりを通して丁寧に描かれているところだ。自由気ままに旅を楽しむ女子高校生ふたりの姿は開放感に溢れており、読者はまるで一緒に旅をしているかのような心地よさを味わえる。

また、訪れた地域のご当地グルメをしっかり押さえているのも見逃せないポイントだ。山梨県名物の信玄餅やほうとうを堪能するふたりの姿からは、その土地ならではの魅力が自然と伝わってくる。

ひとり旅も楽しいが、誰かと一緒の旅も良い。きれいなものを見て、美味しいものを食べて、「すごいね」「また来たいね」と何気ない感想を言い合える時間が、旅をより豊かなものにしてくれる。本作をきっかけに、あえて予定を立てない気ままな旅に出かけたくなる読者も多いだろう。旅好きな人はもちろん、知らない土地や文化に触れるのが好きな人や、忙しい日常に少し疲れている人にもぜひ手に取ってほしい作品だ。

文=ネゴト / 糸野旬

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