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【物忘れにきく】1日2~3分の音読で脳が活性化する? 太宰治、宮沢賢治、小泉八雲などの名文学を毎日音読やってみた【書評】

  • 2026.3.7
毎日音読366日 川島隆太 / 自由国民社
毎日音読366日 川島隆太 / 自由国民社

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「用事があって立ち上がったのに何の用事か忘れてしまった」「最近見たドラマの話をしたいのに俳優の名前が出てこない」…など、年を重ねるごとに増えていく物忘れ。「脳を鍛える大人のDSトレーニング」などで知られる医学博士の川島隆太氏によると、体力や筋力と同じように、脳の働きが年齢とともに低下するのは避けられないそうだ。ただ、脳をよく使う人とそうでない人では、その働きに違いが出るという。

そんな川島氏が監修を務めるのが、毎日の音読で脳機能の低下を防ぐという『毎日音読366日』(自由国民社)である。試しに毎日読んでみたところ、1週間という短期間でも、脳が活発に動き出すのが肌感覚でわかった。

1日2〜3分の「毎日音読」で脳を活性化

本書によると、より脳を活性化するには、下記の5つのポイントを押さえて音読するといいそうだ。

【毎日音読のすすめ】

1.1日2〜3分が目安。同じ文章を少なくとも2回読む

2.できるだけ早く読む。2回目は1回目より早く

3.午前中、朝食の後の音読がおすすめ

4.声を出すことが大切で、声の大小は関係なし

5.毎日続けること

目次を開くと366本の作品タイトルが並び、そこに1月1日から12月31日までの日程が振られている。毎日欠かさず1本読めるように作品が振り分けられているのだ。その時期にあわせた作品がチョイスされており、たとえば、4月には『桜の森の満開の下』など春に関連した作品もあって気分が上がる。

ラインナップは、太宰治の『富嶽百景』や宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』など、一度は聞いたことがあるような日本文学が中心。グリムやアンデルセンといった外国の童話もあれば、源氏物語などの古典、『怪談牡丹燈籠』などの怪談噺もあってバリエーション豊富。朝ドラで話題の小泉八雲の作品まであり、興味をそそられた。

やや難しめの文章を早口で読むことで達成感を

文字はかなり大きめで、最初は「こんなに!?」と思ったが、老眼でもすらすらと読みやすく、これなら早く読むこともできそうだ。早口で音読するには、舌から口の周りまで、それなりに大きく動かす必要がある。次々と文字を追うので目を使うし、頭も使う。

宮沢賢治の『雨ニモマケズ』なんて、カタカナだけの一文があったりして決して読みやすいとは言えず、たどたどしい読み方になってしまった。けれども、1回、2回…と繰り返すうちに文章の流れをつかみ、読みながら次の展開を予測できるようになった。

こんなに難しい文章を早く読むなんて「自分には無理…」と思っていたが、徐々に上手に読めるようになり、そうなると楽しさも出てくる。すらすらと読めるようになった時の達成感はなんともいえず、「私の脳、まだ大丈夫かも」という自信が湧いてきた。

毎朝2〜3分という時間もちょうどいい。これを30分続けたら疲れるかもしれないが、2〜3分なら読後にすっきりとした爽快感さえ抱く。これならば毎日の健康習慣として続けられそう。ふだん人と接する機会が少ない人ほど、声を発することでストレス解消になるかもしれない。

短文の繰り返し音読で、知的な欲求が満たされる

掲載作品は名作ぞろいなので、一度読んでみたかった作品に多数出会えたのも思わぬ収穫だった。また、「短い文章を何度も続けて」「音読する」ことが普段はほぼないので、いつもの読書とは違った読後感を得られるような気がしている。

黙読と違うのは、細かい表現も一字一句飛ばさずにしっかりと読めていることだ。これによって、作者特有の文章のリズム感を色濃く感じられる。また、繰り返し読むことで物語への理解が深まり、作中で描写された風景が脳内に鮮やかに広がるし、物語にあわせて感情も動く。これぞまさに読書の醍醐味で、知的な欲求が満たされていくのがわかる。

短文で読みやすいため、読書が苦手な人でも、文学の楽しみを気軽に感じられるのではないだろうか。

脳の働きを保ち、ポジティブな自分を取り戻そう

1週間の毎日音読で、物忘れが完全になくなることはさすがにまだないが、音読による心地よい刺激を受け、ポジティブな気持ちに体が突き動かされる感覚を久しぶりに感じている。目で文章を追い、口や舌を動かし、頭で考えて、感情が芽生え、そうするうちに脳の働きは保たれるのではないだろうか。366本の作品を読み終えた頃には、今よりさらにフットワークが軽くなった自分がそこにいるような気がする。

年齢を重ねると覚えが悪く、できることが少なくなって、いろんなことを諦めがちだ。けれど、本書にある通り、脳の働きを保つことはできるのだ。今の自分に自信を失っている人こそ、本書が、前向きな自分を取り戻すための良き相棒となってくれるだろう。

文=吉田あき

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