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「すべては破壊と再生」List::Xの異端児・Runa MiuraとTenjuがD.LEAGUEで掴んだ“光”とサカナクションから得たもの

  • 2026.3.7

プロダンスリーグ・D.LEAGUEで、チームとして2年目のレギュラーシーズンを戦うList::X。異なるバックグラウンドを持つメンバーが集い、今季はROUND.4以降から勝利を重ねている。その中心にいるのがRuna MiuraとTenjuだ。直感で踊るRunaと、論理的に組み立てるTenju。対照的なスタイルを持つふたりは、組織と個人の在り方をどのように捉えているのか。勝敗よりもまず表現ありきだという、今のList::Xを語ってもらった。

バラバラな人間同士の結束

――まずはお互いの印象を教えてください。

Runa Miura(以下、Runa):List::Xが発足した頃と比べると、Ten(Tenju)さんへのイメージは結構変わったと思います。オーラを放っているので、最初は喋るたびに緊張してましたけどね。共通の趣味もあって、今ではめっちゃリスペクト。ポーカー仲間でもあります(笑)。

Tenju:Runaの印象はチームメイトになる前、最初に出会った6年前くらいから変わってないですね。常に変化を求めていて、既存の価値観に囚われない。ただチームメイトとして関わり、個人的に彼を知れたことで見え方は変わりました。組織で動く面白さって、そういうところだと思います。

――Runaさんはコンテンポラリー、Tenjuさんはジャズとバックグラウンドが異なります。でも別の入り口から互いにヒップホップの高みを目指していますね。

Tenju:「ヒップホップ」はマイノリティの文化ですから、最初はわからなくて「それはヒップホップじゃない」と言われた経験も、お互いにありましたね。

僕は結構、持ち帰って論理的に考えて踊るタイプ。Runaは直感で感情のまま動く。彼のダンスを見ていると「今はそういうムードなんだね」と、影響がわかるのが面白い。常に学ぼうとする姿勢に心を踊らされます。

Runa:Tenさんは身体操作レベルが段違いで、超オールラウンダーなんです。ゲーム『大乱闘スマッシュブラザーズ』に例えると、マリオルイージ。僕はパンチとキックしかしないファルコンですね(笑)。あと大会「マイナビDANCEALIVE」で優勝したときのインタビューで「すべては破壊と再生」と話していたのも印象に残っています。常に過去の自分を壊して“今”を生きているなと。

――現在チームはBLOCK HYPEで5位。ROUND.4から勝利が続いていますが、ここまでの手応えはいかがですか?

Tenju:勝利は応援してくれているファンのみなさんが一番欲してる部分だと思うので、結果は嬉しいです。ただ個人的に数字は気にしてません。僕らが純粋に表現したい作品で感動してくれる人がいれば、結果は自ずと付いてくるはず。

今シーズンは、その方向性でチーム一丸となっています。あとは僕らが舞台で証明するだけですね。最後のラウンドまでもがいて、チャンピオンシップ(CS)まで行きたいです。

Runa:ひとりひとりの人間性が生きる作品、難易度が高いことをやっているので結果がつくのが難しいんですよ。D.LEAGUE全体から見ると少数派だけど、安牌は狙いたくない。

ただ、その自分たちが勝ち負けが付く現場にいることが、社会で窮屈さを感じる誰かの救いにもなると思ってます。ROUND.3まで負け続きでしたけど、そこにチームとしての勝利や僕個人のMVD(最優秀選手賞)獲得という光が差す瞬間もありました。今は苦しいなかでも灯が点いた状態なんじゃないかな。

――前シーズンからリーグに参画して、理解できたこともあったのでは?

Runa:チームへの参加打診をもらったときは「大衆なんてクソ食らえだ」と思ってました(笑)。でも今はもらったチャンスで自分がどこまで行けるのか見てみたいという気持ちですね。

Tenju:前シーズンは模索しながら、D.LEAGUEという舞台へのアプローチを考えて全員で制作してきました。今までのショーケース全部を愛してますが、特に記憶に残っているのは本来の自分たちをさらけ出せる作品。いいことも悪いことも経験した結果、結局はダンスを始めたときの「理想に近づきたい」や「今の100%を出す」というポイントに回帰しましたね。

――なるほど。

Tenju:もちろん組織なので、100%自分の好きなものだけを出すことは不可能。それにList::Xはメンバーの過去や経験、キャリア、夢、年齢が違いますし、男女混合でもある。バラバラの人間が同じ時間に集まって、好きなことを出し合うチームなんです。

誰ひとり否定せず、チーム全員で「なりたい自分たち」で勝負。だから引くときは引くし、出すときは出す。ダンサーというよりも人間同士で付き合ってますね。

サカナクション「怪獣」を演じたときの臨死体験

――Runaさんはサカナクションのツアー「SAKANAQUARIUM 2025 “怪獣”」でメインダンサーを務められました。それについても聞きたいです。

Runa:キャスティングの人から「サカナクションが怪獣のような踊りをする人を探している。Runa君しかいないと思う」と誘ってもらったんですよ。監督からもすぐOKが出たみたいで、そのまま出演が決まりました。怪獣になっていく過程のシーンなどをいろいろ演じて人生観が変わりました。

――その経験は、List::Xとして踊る感覚にも影響していますか?

Runa:そうですね。特に楽曲「グッドバイ」では、臨死体験に近い感覚というか。自分ひとりで踊っているのではなく、周囲の人や過去の経験を背負って身体が動いている感覚がありました。あの経験は、いまチームで踊るときの意識にも繋がっていると思います。

またボーカルの山口一郎さんは初対面で、いきなり「僕、昨日悪夢を見て……」と話し始めたのが印象的でした。よく喋る、不思議な人だなと。あとは笑顔でも、目の奥が笑っていないようなところが魅力的でしたね。

――今季からの2ブロック制についてはどうですか?

Runa:ありがたいです。去年は参加1年目でしたし、2週間に1回のラウンドが大変すぎました(笑)。

Tenju:準備も何もない状態で「これだけラウンドあります」、「ルールも大幅変更してます」みたいな(笑)。

Runa:そういう意味では2年目、超余裕ありますよ。

Tenju:2ブロック制で制作期間も増えたし、僕らとしては嬉しいです。

Runa:去年は忙しすぎて、他のチームの作品をゆっくり見られてなかったんですよ。できてもリハの合間に観るくらいで。今は自分たちもお客さんと同じ目線で体感できるし、やっぱり感動しますね。引き続き2リーグ制にしてほしいです。

――昨年末、横浜にチームのための新スタジオ「The Port by List」をオープンされましたね。居心地はいかがですか?

Runa:ホームとなるスタジオを構えられるのは嬉しいです。横浜も大学に通っていたので馴染みがある場所で、中華街にもよく来てました。どういう意義でスタジオを成り立たせるかを考えたり、建物に愛着が湧いたり。新しいステージに立ったなと。

Tenju:ホームスタジオを広く作っていただいて嬉しい。「余裕のある空間で踊ること」の大事さを改めて感じてます。完成するまではレンタルスタジオでリハを重ねてきましたが、練習も休憩も限られた狭い場所でしかできませんでした。

圧迫感で空気がギスギスするんですよ。マインドも固まるし。横浜は眺めがいいし、海もあるから心が澄む。そうなると心も頭も余裕が生まれてくるので作品作りにも絶対いい。人間関係にもいい。ダンスだけでなく、今はいろいろなものにスペースを作る努力をしてます。

――個人的に気になるチームがいれば教えてください。

Tenju:ストリートからオーバーグラウンドに立ってるって意味では、DYM MESSENGERSが境遇は近いなと思います。1年目で奇抜なことをバンバンやって、チームカラーができあがった今の状態で対決してみたいですね。「アクロバットとか小道具とかではなく、ダンスで勝負しません?」みたいな。それができそうなチーム。

Runa:DYMは友達も多いし、素敵なダンサーが集まってる印象です。ただ、いつも「今回どうするの?」と気になっているのは、CHANGE RAPTURES。チャンピオンシップ(CS)で車が出てきたときはヤバかった。概念を壊してきたなと。

踊るのはもちろんだけど、造形物を作るチームと化してて、それが好き。もしCSで決勝まで行ってたら、ヘリコプターが出てくるのかと思ってました(笑)。面白いですよね。ビル作って生活する作品とか見てみたい。

Tenju:うちらには絶対できないね。

すべては人間性がカギ

――Dリーガー個人で注目している人は?

Runa:KADOKAWA DREAMSKELOさん。どこまでが彼にとって人間の線引きなのかが、ぶっ飛んでる仲間として気になります。全裸でセッションしてみたいですね(笑)。

Tenju:FULLCAST RAISERZのリーダー・INFINITY TWIGGZは、同い年の友達なんです。リーグが始まったときは上位で、昨シーズンの最下位も味わってからの今期、チームとして波に乗ってるじゃないですか。彼がどうチームをまとめていくのかに注目しています。

――プライベートについても聞かせてください。ファッションのこだわりは?

Runa:昔は疎かったんですよね。服もダンスも人間性が出るじゃないですか。今は上はタイトで下は太いAラインが好きです。あとは挿し色も意識してますね。

Tenさんが僕のファッションの先生なんですよ。革靴の魅力を教えてくれたのもTenさん。あと今日のサングラスはROUND.3の賞金で買ったGUCCIのサングラスです。

Tenju:クリスマスイブ、男4人で横浜高島屋に足を踏み入れてしまったんですよ。たぶんRunaは自分自身を変えたと思うんです。だから中のGUCCIで「Runaはそろそろ自分に投資したほうがいいよ」とアドバイスしました。

Runa:先生に言われたら買うしかないじゃないですか(笑)。完全に乗せられましたけど、試着した瞬間からしっくり来てます。

Tenju:僕は自分の背丈やパーツを理解して、それに合うディテールを気にしてます。丈や幅とか。好みの質感としては、アメカジとファンキーの中間くらいが一番好きですね。カジュアルでもありつつ、きれいめな感じも入れたいなと。あとは色合い。昔は地味だったんですけどね。今日のポイントは「ALL MUST DANCE」で買った紫のコートです。

Runa:僕も買うものは、人間との繋がりを大事にしたいですね。今日のアウターもスタジオの鉄さんのところで買いましたし、インナーは僕を初めて遠征で呼んでくれたダンサーさんがやっている「麻中之蓬」っていうブランド。着る度に思い出しますね。「あそこで出たあの技」みたいに「あれに感動した、あの服」みたいなのをずっと纏いたい。

――最後に恋人にしてほしいファッションを教えてください。

Runa:挑戦してほしいですね。ずっとだと疲れてしまうので、たまにでいいんですけど刺激や栄養がほしい。男女の前に人間同士ですからね。「そのバッグどこの? 俺もそのエッセンスがほしい」みたいな、リスペクトし合える関係が理想です。

Tenju:自分自身が好きなものを好きなように着てるので、相手にも好きなものを着てほしいと思います。服にも人間性が出るから「自分の隣にいたら合わないだろうな」という人に恋をしないはずなので。

Profile/Tenju
TEAM[radio beacon]に所属し、クラシカルな90sヒップホップ・スタイルを基盤に、遊び心を加えた新しい解釈でダンスを展開。ソロではDANCE@LIVEなど多くのバトルシーンで輝かしい成績を残しており、Dance@live 2021および2022でファイナリスト、Tokyo Dance Delightでは特別賞を受賞している。近年は日本国内にとどまらず、海外のSHOWやワークショップ、ジャッジとしても活動し、精力的に活躍中。彼の繊細なボディーワークと独自のグルーヴで観る者を魅了し続け、アンダーグラウンドからメインストリームに至るまで、幅広いシーンでその存在感を示している。

Instagram:@tenju_gog

Profile/Runa Miura
CONTEMPORARYとHIPHOPが織り混ざった、一度見たら忘れられない強烈なバイブスと驚異の身体表現を魅せる表現者。創造の表現は見るものを幻想世界へ引きずり込む。サカナクション SAKANAQUARIUM 2025 怪獣メインダンサーや「2025fresh!?×UNION」優勝、「postdancism」優勝など、オーバーアンダーグラウンド問わず世界を巻き込んでいる

Instagram:@runa.miura.ss

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