1. トップ
  2. 映画『木挽町のあだ討ち』は「記憶を消してまっさらな状態で観返したい」!?感想コメントでひも解く“ミステリーとしてのおもしろさ”

映画『木挽町のあだ討ち』は「記憶を消してまっさらな状態で観返したい」!?感想コメントでひも解く“ミステリーとしてのおもしろさ”

  • 2026.2.26

直木賞、山本周五郎賞をW受賞した傑作時代小説を映画化した『木挽町のあだ討ち』(2月27日公開)。時は江戸時代、大勢が見守る前で見事、父の仇を討った一人の若者。この仇討ちは瞬く間に語り草となるが、そこには誰も知ることのなかった“もう一つの物語”が隠されていた!時代劇の名匠、源孝志が監督&脚本を務め、柄本佑、渡辺謙、長尾謙杜(なにわ男子)、北村一輝ら豪華キャスト陣が集結。仇討ちという血生臭い事件すら芸術的に映しだす映像美とその顛末を追うミステリー、温かい人情ドラマもはらんだ極上のエンタテインメントがここに誕生した。

【写真を見る】長尾謙杜、北村一輝の熱演!雪が舞うなかでの仇討ちが残酷ながらも美しい…

仇討ちの真相が徐々に解き明かされ、その先にはまさかの逆転劇が待っている。MOVIE WALKER PRESSでは、ミステリーとしても秀逸な本作の試写会を実施。配布されたアンケートには、「感動して観終わったあとも涙が止まらない」(20代・女性)や「仇討ちが最初に観た時と観終わった時で印象が変わる」(20代・男性)、「一世一代をかけた大芝居、楽しませていただきました」(20代・女性)、「江戸の粋な人情をスクリーンを通して体験した」(30代・女性)といった驚きと感動、興奮に満ちた感想が寄せられている。本稿では、これら参加者からの印象的なコメントをピックアップしながら、『木挽町のあだ討ち』の見どころを解説していく。

時代劇であることを忘れ、上質なミステリーとして楽しめる『木挽町のあだ討ち』 [c]2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会 [c]2023 永井紗耶子/新潮社
時代劇であることを忘れ、上質なミステリーとして楽しめる『木挽町のあだ討ち』 [c]2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会 [c]2023 永井紗耶子/新潮社

「終始展開が読めない」…時代劇だけど完全にミステリー!まさかの逆転劇に興奮の声が続々

文化7年(1810年)1月16日。江戸・木挽町の芝居小屋「森田座」では、ちょうど「仮名手本忠臣蔵」が大入満員での千穐楽を迎えていた。演目が終わり、赤穂浪士による仇討ちに興奮冷めやらぬ観客たち。しんしんと雪が降り積もるなか、ぞろぞろと芝居小屋を出ていく人々を待っていたのは、いままさに目の前で行われようとする仇討ちだった。美濃遠山藩士の伊納菊之助(長尾)が、父・清左衛門(山口馬木也)を殺害し逃亡していた男、作兵衛(北村)とついに対面。激闘の末に見事、その首を討ち取ったのである。この若き美男子が果たした忠義と勇猛さは人々の心を打ち、「木挽町の仇討ち」として江戸中を駆け巡っていく。

父親の仇を討ち果たすというつらい宿命を背負った若者、伊納菊之助 [c]2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会 [c]2023 永井紗耶子/新潮社
父親の仇を討ち果たすというつらい宿命を背負った若者、伊納菊之助 [c]2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会 [c]2023 永井紗耶子/新潮社

それから一年半後、加瀬総一郎(柄本)という田舎侍が江戸を訪れる。菊之助や作兵衛を知る総一郎にとって、この仇討ちにはどうにも腑に落ちぬ点があり、それを解明しようというのだ。客の呼び込みをしている木戸芸者の一八(瀬戸康史)と出会い、菊之助が森田座のやっかいになっていたことを知ると、立師の相良与三郎(滝藤賢一)、女形で衣裳方の芳澤ほたる(高橋和也)、小道具方の久蔵(正名僕蔵)らへの聞き込みを行っていく。しだいに菊之助の素顔と仇討ちへの想いが明らかになるが、この事件にはまだなにか隠されている気がする。そこに、菊之助の母・たえ(沢口靖子)と古い縁がある立作者の篠田金治(渡辺)が出張先から森田座に帰還する。

菊之助と作兵衛の消息を追って江戸に現れた総一郎 [c]2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会 [c]2023 永井紗耶子/新潮社
菊之助と作兵衛の消息を追って江戸に現れた総一郎 [c]2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会 [c]2023 永井紗耶子/新潮社

江戸時代が舞台の時代劇と聞けば、どこか敷居が高く感じるかもしれないが、本作で描かれるのは「木挽町の仇討ち」にまつわるミステリー。物語が進むにつれて仇討ちに隠された秘密が明かされていく様は痛快で、「まさかそんな裏側が!」という衝撃に思わず膝を打つはずだ。試写会参加者からも、本作の構成や演出に唸ったという声が数多く寄せられていた。

「とにかくおもしろい!終始展開が読めなくて、できるなら記憶を消してまっさらな状態で観返したい」(30代・女性)

「時代設定上、突飛なアイデアは使えないと思ったが、芝居小屋を舞台にすることでその懸念がクリアされていた」(40代・男性)

「原作を読んであらすじも知っていたのに、映画になったことで改めて楽しめた。映画ならではのアレンジも効いていて、まさにエンタメ娯楽大作」(20代・男性)

「空いたピースが埋まっていく楽しさ」…まさに江戸版「刑事コロンボ」で「古畑任三郎」なミステリーとしてのおもしろさ

仇討ち事件の顛末を調べる加瀬総一郎は、本作における狂言回しであり探偵役。森田座の関係者一人一人への聞き込みを行いながら、気になる異変を見つけ、油断した相手の隙を突くことで新たな手がかりも入手していく。このような展開からも本作は、江戸版「刑事コロンボ」であり「古畑任三郎」といっても過言ではない。感想コメントを見ても、ミステリーものとしてのおもしろさを大勢が絶賛していた。

「登場人物それぞれが断片的にしか真相を語らず、ストーリーが進むにつれて空いたピースが埋まっていく楽しさ」(40代・女性)

「一緒に推理しているような気持ちになりました。謎が解けた時が気持ちいい」(20代・女性)

「刑事コロンボを思わせる総一郎の言い回しがお見事!」(20代・女性)

「ミステリーに重要な“誰が”、“なぜ”、“どうやって”の構成が巧みでした」(20代・女性)

「少しずつ、これはさっきの伏線だと気づけるところがいい」(40代・女性)

飄々とした掴みどころのなさは江戸版「刑事コロンボ」で「古畑任三郎」!柄本佑演じる加瀬総一郎の名探偵ぶり [c]2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会 [c]2023 永井紗耶子/新潮社
飄々とした掴みどころのなさは江戸版「刑事コロンボ」で「古畑任三郎」!柄本佑演じる加瀬総一郎の名探偵ぶり [c]2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会 [c]2023 永井紗耶子/新潮社

「仇討ち事件の裏に優しい人たちの人情があった」…豪華実力派キャストの結集と涙なしでは見られない人情ドラマ

飄々とした掴みどころのなさが観る者を惹きつける総一郎役の柄本佑をはじめ、圧倒的存在感の渡辺謙、『室町無頼』(25)でのアクションも印象的だった長尾謙杜、数多くの悪役を演じてきたことが今回の役にも生きている北村一輝。さらに、瀬戸康史、滝藤賢一、高橋和也、正名僕蔵、山口馬木也と実力派キャストが結集。彼らが演じる一癖も二癖もある登場人物も本作の見どころで、特に印象に残ったキャラクターとその理由も紹介したい。

まずは主人公の総一郎から。これぞ探偵!とも言うべき、人好きのする人物でありながら、淡々と会話をしていたらいきなり核心を突いた言動を見せるなど底の深さが好評で、以下のような感想が上がっている。

「天性の人たらしなのか、調査のために演じていたのか。ミステリアスなところがおもしろい」(40代・女性)

「飄々としているようでその実、刃物のような鋭さで推理していく」(40代・男性)

「軽妙な語り口で人の懐にスッと入るが、油断できない鋭さもある」(30代・女性)

「柄本さんならではのなにを考えているかわからない感が役にハマっていた」(20代・女性)

一八と出会った総一郎は森田座の人々への聞き込みを行う [c]2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会 [c]2023 永井紗耶子/新潮社
一八と出会った総一郎は森田座の人々への聞き込みを行う [c]2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会 [c]2023 永井紗耶子/新潮社

菊之助は素直で真っ直ぐな人物であり、それだけに父親の仇とはいえ人を殺すことにためらいが見られる。「守らなければと思わせる純粋さと幼さ。一方で、仇討ちの場面での凛とした強い姿の両方を演じ切っていた」(20代・女性)、「殺陣の美しさ」(20代・女性)などの言葉からも、演じる長尾がその葛藤を丁寧に表現していたことが伝わり、殺陣のアクションでも観客を魅了していた。

仇といえど、人を殺すことにためらいを覚える心優しい菊之助 [c]2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会 [c]2023 永井紗耶子/新潮社
仇といえど、人を殺すことにためらいを覚える心優しい菊之助 [c]2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会 [c]2023 永井紗耶子/新潮社

金治には渡辺の熱演もあり、「人情に篤く、グッとくるものがあった」(30代・女性)との声が見られた。森田座の名物立作者であり、総一郎すらも気圧されてしまう風格は渡辺が演じてこそ醸しだされたものだろう。

森田座の立作者、篠田金治 [c]2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会 [c]2023 永井紗耶子/新潮社
森田座の立作者、篠田金治 [c]2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会 [c]2023 永井紗耶子/新潮社

森田座の面々には、「全員がとてもすてき。江戸っ子ならではの粋なはからい」(40代・女性)という感想が。遊女の子である木戸芸者の一八(瀬戸)、訳あって武士の世界から離脱した相良与三郎(滝藤)、焼き場で働くなど数奇な運命をたどってきた女形の芳澤ほたる(高橋)、我が子を失った過去を持つ寡黙な小道具方の久蔵(正名)とそれぞれがつらい過去を持ちながら懸命に生きてきた。それだけに、故郷を離れ途方に暮れる菊之助を放ってはおけなかった。森田座の人々が織りなす温かい人情ドラマには、「感動した!」と大勢が心を揺さぶられている。

「江戸の世界と森田座で繰り広げられる狂言に没入し、人々の優しさと温かさ、生きる想いに勇気をもらいました」(20代・女性)

「理不尽なことが多い世の中だけど、人を救うのもまた人だと思わされた」(20代・女性)

「誰かのために必死になり、涙を流す姿に心を動かされました」(20代・女性)

「仇討ちという殺伐とした事件の裏に優しい人たちの人情があった」(50代・男性)

「一つ一つの嘘が人を守るためについていることに魅力を感じた」(40代・男性)

森田座の人々が織りなす人情ドラマが観客の心を打つ [c]2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会 [c]2023 永井紗耶子/新潮社
森田座の人々が織りなす人情ドラマが観客の心を打つ [c]2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会 [c]2023 永井紗耶子/新潮社

「お芝居がとても本格的」「衣装や美術に見惚れてしまう」…歌舞伎などスクリーン映えする圧巻の映像美

芝居小屋を中心に物語が展開されるということで劇中には歌舞伎の演目も登場し、舞台装置や衣装、小道具にも目を引かれる。また、冒頭の仇討ちのシーンでは、雪が舞うなかで菊之助と作兵衛が互いに血を流しながらの大立ち回りを披露しており、その白と赤の対比もとにかく美しい。こうした映像美は劇場のスクリーンでこそ映えるものばかりだ。

「物語のなかのお芝居がとても本格的でした。美術品のクオリティも高い」(20代・女性)

「雪に赤い衣装が映え、とても美しい」(60代・女性)

「手の込んだ衣装や美術に見惚れてしまった」(20代・女性)

「雪が舞うなか、真っ赤な着物と色とりどりの傘、血の赤と舞台が整っていた」(40代・男性)

「食事や風俗など江戸時代の生活感がよく出ていた」(20代・男性)

スタジオにセットが組まれた臨場感ある歌舞伎のシーンにも注目! [c]2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会 [c]2023 永井紗耶子/新潮社
スタジオにセットが組まれた臨場感ある歌舞伎のシーンにも注目! [c]2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会 [c]2023 永井紗耶子/新潮社

特に芝居小屋は、300人もの観客が座って観劇できる劇場を東映京都撮影所内のスタジオに完全再現したとのこと。『国宝』(25)で歌舞伎への注目度も高まっているが、本作においても、舞台上での演者たちの風格やそれを見つめる観客の様子など、当時の臨場感や熱気が体感できるはずだ。

【写真を見る】長尾謙杜、北村一輝の熱演!雪が舞うなかでの仇討ちが残酷ながらも美しい… [c]2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会 [c]2023 永井紗耶子/新潮社
【写真を見る】長尾謙杜、北村一輝の熱演!雪が舞うなかでの仇討ちが残酷ながらも美しい… [c]2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会 [c]2023 永井紗耶子/新潮社

このほかにも、「美しい時代劇ミステリー」(20代・女性)や「コミカルさとミステリー、人の優しさが詰まった作品」(20代・女性)、「いままで観たことのない時代劇」(30代・女性)、「おもしろい!そして泣ける」(40代・女性)といった感想が寄せられている。

時代劇ということをいつの間にか忘れて、一つの真実を追い求めるミステリー、心温まる人間ドラマに大勢が夢中になっていた。はたして、江戸中を揺るがした仇討ち事件の真相とは?作り込まれた世界観とあわせて、『木挽町のあだ討ち』を没入感ある劇場で楽しんでほしい。

構成・文/平尾嘉浩

元記事で読む
の記事をもっとみる