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ミニチュアの世界に見ほれる「尾張徳川家の雛まつり」2026年の注目品を一挙紹介!国宝だらけの「金沢文庫本」も必見

  • 2026.2.24

御三家筆頭の尾張徳川家に伝えられた刀剣、茶道具、能道具、絵画、婚礼調度などさまざまな大名道具を収蔵する徳川美術館(名古屋市東区)で、3月3日の雛まつりの時期に合わせて毎年開催される特別展「尾張徳川家の雛まつり」がスタートしている。今年は、企画展 金沢文庫・蓬左文庫交流展「金沢文庫本-流離う本の物語-」を同時開催。ほぼ門外不出とされている名品・国宝の数々を鑑賞できる、またとない機会だ。それぞれの見どころを取材してきた。

徳川美術館で、名古屋の春を告げる恒例の「尾張徳川家の雛まつり」を開催中!
徳川美術館で、名古屋の春を告げる恒例の「尾張徳川家の雛まつり」を開催中!

尾張徳川家三世代の雛段飾りがすごい!

徳川美術館の創始者である尾張徳川家19代義親の夫人、20代義知の夫人、21代義宣の夫人の三世代にわたる、明治・大正・昭和にかけての雛人形・雛道具を展示。昭和の雛飾りの持ち主であり、現当主・22代義崇の母である21代義宣夫人が自ら監修し、尾張徳川家で実際に飾られていた様子を幅7メートル、6段に及ぶ雛段に再現している。

明治から昭和にかけての雛人形。写真左から右にかけて、新しい時代のものが並ぶ
明治から昭和にかけての雛人形。写真左から右にかけて、新しい時代のものが並ぶ

雛人形に加えて愛用している人形や道具も一緒に飾るのが、江戸時代からのならわしだった。

雛人形以外の人形も飾られ、華やか!
雛人形以外の人形も飾られ、華やか!

矩姫の有職雛にみる雅な装束に注目!

尾張徳川家14代慶勝の夫人、矩姫(かねひめ)は、高さ30センチほどの大きな雛人形を5対、10センチほどの小さな雛人形を5対、所有していた。これらはすべて有職雛と呼ばれるもので、平安時代から続く公家の装束・礼式を忠実に再現。細かな造形や細工はもちろん、ファッションやデザインといった側面からも興味深い。

雄雛は束帯(そくたい)、雌雛は十二単(じゅうにひとえ)。最も格式の高い礼装だ
雄雛は束帯(そくたい)、雌雛は十二単(じゅうにひとえ)。最も格式の高い礼装だ
雄雛は直衣(のうし)、雌雛は袿(うちき)。公家の日常着にあたる
雄雛は直衣(のうし)、雌雛は袿(うちき)。公家の日常着にあたる

サイズ以外は全く同じ!?雛道具と婚礼調度を比較展示

尾張徳川家11代斉温の夫人、福君(さちぎみ)の婚礼調度は現存するなかで日本最大規模を誇り、それらを忠実に写したミニチュアの雛道具がセットで伝来。金を贅沢に使った梨子地に菊の折枝を配したことから、それぞれ「菊折枝蒔絵調度」「菊折枝蒔絵雛道具」と呼ばれる。

菊折枝蒔絵の雛道具と婚礼調度から、貝桶と合貝をピックアップして並べて展示
菊折枝蒔絵の雛道具と婚礼調度から、貝桶と合貝をピックアップして並べて展示

諸道具には、福君の実家である近衛家の抱牡丹紋と徳川家の葵紋が確認できる。婚礼行列の先頭を飾り、婚家に到着すると最初に受け渡されるほど重要な道具だった貝桶にも、両家の家紋がちりばめられている。

婚礼調度の貝桶のアップ。写真左中央に葵紋、右下に抱牡丹紋が確認できる
婚礼調度の貝桶のアップ。写真左中央に葵紋、右下に抱牡丹紋が確認できる

人間サイズの婚礼調度と、人形サイズの雛道具を見比べれば、その精巧な出来栄えに驚くばかりだ。貝桶の中に納められた合貝はいずれも素材はハマグリ。シジミなどで代用することはなく、小さなハマグリを用いて作られている。

貝桶の中には、貝合わせの遊びに使う合貝が入っている
貝桶の中には、貝合わせの遊びに使う合貝が入っている
雛道具の合貝にもきちんとハマグリを使い、内側に絵が描かれている
雛道具の合貝にもきちんとハマグリを使い、内側に絵が描かれている

最も小さい仕立ての道具・人形でも驚きの精巧さ

雛道具にみる精巧さは、男性にとってもコレクションしたくなるほど見事なものだったようだ。今回の特別展で一番小さい仕立て道具である「牡丹唐草蒔絵雛道具」は、もとは11代将軍徳川家斉が日頃愛玩したものだという。

雛道具といってもサイズはさまざま。「牡丹唐草蒔絵雛道具」の小ささは特に際立っていた
雛道具といってもサイズはさまざま。「牡丹唐草蒔絵雛道具」の小ささは特に際立っていた

一つひとつの文様はもちろん、内部の装飾まで忠実に再現。書物はページをめくって読めるようになっている。

手の爪ほどのサイズの茶碗・茶台
手の爪ほどのサイズの茶碗・茶台
乗物。内装まで丁寧に作りこまれている
乗物。内装まで丁寧に作りこまれている
「古今集」から「新古今集」まで8つの勅撰和歌集をミニチュアに。ミニチュアの書箱に納められている
「古今集」から「新古今集」まで8つの勅撰和歌集をミニチュアに。ミニチュアの書箱に納められている

矩姫の所用と伝わる「芥子雛」には、10センチに満たないようなサイズにもかかわらず衣装の刺しゅうや人形の表情まで見事に表現。

矩姫所用の「芥子雛」
矩姫所用の「芥子雛」
一つひとつの人形に、表情がある
一つひとつの人形に、表情がある

同じく矩姫の所用と伝わる雛道具「松竹梅唐草蒔絵雛道具」では、箪笥に収納された衣の刺しゅうや源氏物語の文字や絵まで見事に再現されている。美しく完璧な造形は、ミニチュア好きにとってもたまらない!

「松竹梅唐草蒔絵雛道具」の振袖。細かな刺しゅうが美しい
「松竹梅唐草蒔絵雛道具」の振袖。細かな刺しゅうが美しい
小さくともちゃんと読むことができ、源氏物語の名場面を楽しむことができる
小さくともちゃんと読むことができ、源氏物語の名場面を楽しむことができる

豊島家の雛人形を初公開!

春の風物詩として定着した「尾張徳川家の雛まつり」。39回目となる今回、尾張の旧家・豊島家ゆかりの雛人形が初めて公開された。徳川美術館に雛人形を寄贈した豊島知子さんの実家は、紅葉屋の屋号で知られた名古屋の豪商・富田家。ふっくらとした愛らしい木彫彩色人形で、復古やまと絵派の流れを汲む森村宜稲によって彩色されている。

子どものような顔立ちに、柔らかく明るい彩色が施された豊島家の雛人形
子どものような顔立ちに、柔らかく明るい彩色が施された豊島家の雛人形

「尾張徳川家の雛まつり」は、写真撮影OK。お気に入りの雛人形や雛道具を撮影し、SNSに投稿できる。その精巧さを、ぜひ自分の目で確かめてほしい。

■特別展「尾張徳川家の雛まつり」開催概要

会期:2026年2月7日~4月5日(日)

会場:徳川美術館 本館展示室

料金:一般1600円、高大生800円、小中生500円

開館時間:10時~17時(最終入館16時30分)

休館日:月曜日、2月23日(祝)は開館、翌2月24日(火)は休館

追加料金なしで鑑賞!「金沢文庫」の門外不出の国宝が名古屋に

徳川美術館と館内でつながっている名古屋市蓬左文庫展示室では、企画展 金沢文庫・蓬左文庫交流展「金沢文庫本-流離う本の物語-」を同時開催。特別展「尾張徳川家の雛まつり」と共通観覧で、追加料金なく鑑賞できるのでぜひ足を運んでみては。

名古屋市蓬左文庫は、徳川美術館と同じく徳川園内にある
名古屋市蓬左文庫は、徳川美術館と同じく徳川園内にある

金沢文庫は、鎌倉幕府の執権北条氏の一族として栄華を極めた金沢北条氏・北条実時によって750年ほど前に創設された。ここに収められた蔵書群は、のちに「金沢文庫本」と呼ばれ、金沢北条氏の菩提寺である称名寺の管理下に。一部は徳川家康の元へと渡り、「駿河御譲本」として尾張藩初代藩主の義直に受け継がれた多くは現在、名古屋市蓬左文庫に納められている。

名古屋市蓬左文庫。尾張徳川家の旧蔵書を中心に和漢の優れた古典籍を所蔵する
名古屋市蓬左文庫。尾張徳川家の旧蔵書を中心に和漢の優れた古典籍を所蔵する

こういった縁から、神奈川県立金沢文庫との交流展として今回の企画展が実現。国宝である金沢北条氏四代の肖像画(通称:四将像)がすべて名古屋にやってくる。北条実時像、北条顕時像、金沢貞顕像、金沢貞将像が金沢文庫外で一堂に会する機会はほとんどなく、見逃せない!前期は金沢貞顕像と金沢貞将像が、後期は北条実時像と北条顕時像が複製展示になるため、前後期とも制覇してぜひ本物を拝みたい。

国宝 北条実時像 鎌倉時代 称名寺蔵(神奈川県立金沢文庫保管)
国宝 北条実時像 鎌倉時代 称名寺蔵(神奈川県立金沢文庫保管)

ほかにも貴重な国宝、重要文化財が目白押し!54帖フルセットとしては現存最古の「河内本源氏物語」、世界最古の農業書「斉民要術(せいみんようじゅつ)」など、名古屋市蓬左文庫が所蔵する「金沢文庫本」も展示され、見どころ満載だ。

重要文化財 斉民要術 鎌倉時代 名古屋市蓬左文庫蔵
重要文化財 斉民要術 鎌倉時代 名古屋市蓬左文庫蔵

■企画展 金沢文庫・蓬左文庫交流展「金沢文庫本-流離う本の物語-」開催概要

会期:前期2026年2月7日~3月8日(日)、後期3月10日(火)~4月5日(日)

※冊・巻・頁替えあり

会場:徳川美術館 名古屋市蓬左文庫展示室

料金:徳川美術館と共通

開館時間:10時~17時(最終入館16時30分)

休館日:月曜日、2月23日(祝)は開館、翌2月24日(火)は休館

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