1. トップ
  2. ライフスタイル
  3. GardenStory (ガーデンストーリー)

GardenStory (ガーデンストーリー)

  • 2026.2.24
GardenStory (ガーデンストーリー)

春から初夏にかけて、バナナのような甘く芳醇な香りを漂わせる花が咲く「カラタネオガタマ(唐種招霊)」。縁起がよい木とされ、一年中みずみずしい緑を楽しめる常緑樹で、手入れも比較的簡単なことから、近年ではシンボルツリーや生け垣としても注目されています。この記事では、カラタネオガタマを初めて育てる方に向けて、基本情報から失敗しない育て方のポイント、人気の品種までを分かりやすく解説。甘い香りを漂わせる庭木をガーデンに取り入れてみませんか?

カラタネオガタマの基本情報

カラタネオガタマ
Skyprayer2005/Shutterstock.com

植物名:カラタネオガタマ
学名:Michelia figo
英名:Banana Shrub、Portwine Magnolia、Dwarf Chempakaなど
和名:カラタネオガタマ(唐種招霊)
その他の名前:トウオガタマ(唐招霊)
科名:モクレン科
属名:オガタマノキ属
原産地:中国
形態:常緑性中高木

カラタネオガタマはモクレン科オガタマノキ属の花木です。学名はMichelia figo(ミケリア・フィゴ)。原産地は中国で、寒さにやや弱く、地植えにするなら関東地方以南〜沖縄の霜が降りない地域がおすすめです。常緑性で、冬でもみずみずしい葉姿を保つのも魅力です。あまり手がかからず放任してもよく生育するので、古くから庭木として愛されてきました。縁起のよい木として神社などでもよく見かけることができます。

カラタネオガタマの花や葉の特徴

カラタネオガタマ
LIN MEI CHEN/Shutterstock.com

園芸分類:庭木
開花時期:4〜6月
樹高:3〜5m
耐寒性:やや弱い
耐暑性:普通
花色:黄、赤紫、複色など

カラタネオガタマの樹高は4〜5mに達しますが、毎年の剪定で樹高を低めにコントロールすることもできます。葉は長さ4〜8cmの楕円形で、常緑樹のため冬もみずみずしい葉を保ちます。開花期は4〜6月で、花色は黄色、クリーム色、ワインレッドなど。クリーム色の花弁の縁にほんのりと紫色がのる複色もあります。花径は2〜3cmで、肉厚な花弁が特徴です。花弁は6枚に見えますが、正確には外側の3枚が萼で、内側の3枚が花弁。花はそれほど目立ちませんが、開花するとバナナのような芳醇な強い香りを放ち、1〜3日で散りますが次々に開花していきます。開花後には実を結び、10〜11月に熟して中からオレンジ色の種子が現れます。

カラタネオガタマ
traction/Shutterstock.com

カラタネオガタマの名前の由来と花言葉

カラタネオガタマ
tamu1500/Shutterstock.com

カラタネオガタマを漢字で書くと、「唐種招霊」。中国から伝わった木のため、「唐種」のオガタマノキという意味です。この「招霊」は神道思想の「招霊(おきたま/おぎたま)」が転訛したもので、神様に捧げる木として「招霊」に由来します。日本神話では、天照大神が天岩戸に隠れてしまった際に、踊りの上手なアメノウズメノミコトが手に持って踊ったのが、オガタマノキの枝だとされています。オガタマノキは神社によく植栽され、サカキのように神木とされたり神前に供えられたりするほか、巫女舞に使われる神楽鈴の形もオガタマノキの実に由来するといわれています。

カラタネオガタマ
TRAN THI HAI YEN/Shutterstock.com

カラタネオガタマの花は、バナナのような甘い香りを持つことから英語では「banana shrub(バナナ・シュラブ)」とも呼ばれています。中国では「含笑花」と名付けられ、「甘い香りに誘われて笑顔がこぼれる」ことが由来になっているそうです。

カラタネオガタマの花言葉は「永遠の愛」「純真」などです。

カラタネオガタマの歴史

カラタネオガタマ
TRAN THI HAI YEN/Shutterstock.com

カラタネオガタマの原産地である中国南部や東南アジアでは、甘い香りを放つことから古くから愛されてきた樹木の一つで、庭園や寺院などに植栽されてきました。幸福や平和、純粋さのシンボルとして捉えられ、宗教儀式に用いられるなど大切な存在となっています。日本には江戸時代頃に伝わり、原産地からの影響もあってか縁起のよい木として親しまれてきました。

カラタネオガタマに似た樹木の種類

ここでは、カラタネオガタマに似た仲間の樹種についてピックアップしてご紹介します。

オガタマノキ

オガタマノキ
traction/Shutterstock.com

モクレン科オガタマノキ属の常緑樹で、原産地は日本(関東地方以西)からフィリピンにかけてで、暖地に自生しています。自然樹高は15mにも達しますが、剪定でコントロールすることも可能です。開花期は3月下旬〜4月上旬で花色は白、花のサイズは3㎝ほどです。カラタネオガタマよりも控えめに香ります。

風に揺れるオガタマノキの花。traction/Shutterstock.com

ギンコウボク

ギンコウボク
NOPPHARAT236/Shutterstock.com

モクレン科オガタマノキ属の常緑樹。原産地は中国南部、インドネシア、フィリピンなどの熱帯アジアで寒さに弱く、霜が降りる地域では庭植えには不向きです。自然樹高は5〜10mほど。開花期は4〜9月で、花弁8〜9枚の白い花を咲かせ、強く香ります。葉は15〜30cmほどの楕円形で、サイズが大きいのが特徴です。

ミヤマガンショウ(深山含笑)

ミヤマガンショウ
Tony Baggett/Shutterstock.com

モクレン科オガタマノキ属の常緑樹。原産地は中国で寒さに弱く、地植えにするなら関東地方以西に限ります。自然樹高は2〜4mほど。開花期は4〜5月で、芳香を放つ半八重の白い花を咲かせます。花のサイズは10cmほどです。

カラタネオガタマの代表的な品種

ポートワイン
‘ポートワイン’。Ralph Gillen/Shutterstock.com

ここでは、カラタネオガタマの園芸品種をご紹介します。

‘ポートワイン’

肉厚なクリーム色の花弁にシックな赤紫色がさす華やかな園芸品種で、高い人気があります。バナナのような甘い香りも強く漂います。花はやや小ぶり。

‘パープルクイーン’

深いワインレッド色がエレガントな園芸品種。花のサイズは2㎝ほどでやや小さめです。樹高は2〜8mほど。店頭にはあまり出回らないので、通販などを利用するのがおすすめです。

カラタネオガタマの栽培12カ月カレンダー

開花時期:4〜6月
植え付け・植え替え:3〜4月
肥料:2月下旬〜3月、6〜7月
剪定:6月中旬〜7月

カラタネオガタマの栽培環境

カラタネオガタマ
traction/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】日当たり、風通しのよい場所を好みます。半日陰でも育ちますが、あまりに日当たりがよくない場所では、花つきが悪くなってしまうので注意してください。

【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。

【置き場所】水はけ・水もちがよく、有機質に富んでふかふかとした土壌を好みます。樹高が高くなるので、枝葉を伸ばした時に邪魔にならないような場所をあらかじめ確保しておきましょう。成木になると移植を嫌うため、植える場所には吟味が必要です。冬の寒風が吹きつけない場所を選ぶとよいでしょう。

耐寒性・耐暑性

カラタネオガタマは寒さにやや弱く、地植えにするなら関東地方以南〜沖縄の霜が降りない地域がおすすめですが、関東の平野部でも強い霜や寒風を避けるなどの寒さ対策をすれば越冬できます。寒い地域では鉢植えにして、季節に応じて適した場所に移動しながら管理するとよいでしょう。

カラタネオガタマの育て方のポイント

用土

土
funnyangel/Shutterstock.com

【地植え】

植え付けの約2週間前に直径・深さ約50㎝の穴を掘ります。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで穴に戻しておきます。土に肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

市販の花木用培養土を利用すると手軽です。

水やり

水やり
Vladimir Gjorgiev/Shutterstock.com

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために枝葉全体にかけるのではなく、株元の土を狙って与えてください。

真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。

また、真冬は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。

【地植え】

植え付け後にしっかり根付いたら、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつも湿った状態にしていると根腐れの原因になるので、与えすぎに注意。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。特に開花期や真夏は水を欲しがるので、水切れしないように注意しましょう。

肥料

肥料
Pawel Beres/Shutterstock.com

【地植え・鉢植えともに】

植え付け時には、元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。

越年後は、毎年生育が旺盛になる前の2月下旬〜3月と、開花後の6〜7月に有機質肥料を施し、木の勢いを保ちます。

注意する病害虫

【病気】

カラタネオガタマに発生しやすい病気は、すす病などです。

すす病は、一年を通して葉や枝などに発生します。葉に発生すると表面につやがなくなり、病状が進むと黒いすすが全体を覆って見た目が悪いだけでなく、光合成がうまくできなくなり、樹勢が衰えてしまいます。カイガラムシ、アブラムシ、コナジラミの排泄物が原因で発生するので、これらの害虫を寄せ付けないようにしましょう。込んでいる枝葉があれば、剪定して日当たり、風通しをよくして管理します。

【害虫】

カラタネオガタマに発生しやすい害虫は、カイガラムシやテッポウムシなどです。

カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫で、体長は2〜10mmほど。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われて、薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。

テッポウムシは、ゴマダラカミキリの幼虫です。成虫が幹などに産卵し、木の内部に入って食害します。幼虫は1〜2年にわたって木の内部を食害し、木は徐々に樹勢が弱り、枯死することも。木の周囲にオガクズが落ちていたら、内部にテッポウムシがいることが疑われます。発見次第、侵入したと見られる穴に薬剤を注入して駆除しましょう。

カラタネオガタマの詳しい育て方

苗木の選び方

葉の色艶がよく、株元がしっかりしてぐらついていないものを選ぶとよいでしょう。

植え付け・植え替え

土づくり
Monkey Business Images/Shutterstock.com

カラタネオガタマの植え付けの適期は3〜4月です。植え付け適期以外にも苗木は出回っているので、花苗店などで入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。ただし、真夏と真冬は避けたほうが無難です。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、根鉢を軽く崩して植え付けます。最後にたっぷりと水を与えましょう。苗木が若いうちは、支柱を立てて誘引し、強風などによる倒伏を防ぎます。しっかり根付いたら支柱を取り外しても構いません。

庭植えの場合、環境に合って健全に育っていれば、植え替えの必要はありません。

【鉢植え】

鉢で栽培する場合は、入手した苗木よりも1〜2回り大きな鉢を準備します。鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから花木用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗木を鉢の中に仮置きし高さを決めたら、根鉢を軽くほぐし、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3㎝下を目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。苗木が若いうちは、強風などによる倒伏を防ぐために支柱を立てて誘引しておきます。しっかり根付いたら支柱を取り外しても構いません。

鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、2〜3年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出してあまり根鉢をくずさずに、新しい培養土を使って植え直しましょう。

剪定

剪定
mihalec/Shutterstock.com

カラタネオガタマの剪定適期は花後すぐの6月中旬〜7月です。一般家庭では、樹高2〜3mまでにおさえる剪定を行うと扱いやすいでしょう。カラタネオガタマは比較的樹形が自然に整うので、それほど剪定には手がかりません。地際から出てくるひこばえは付け根から切り取り、枯れ枝や木の内側に向かって伸びている「逆さ枝」、垂直に立ち上がっている「立ち枝」、勢いよく長く伸びている「徒長枝」なども分岐部まで遡って切り取りましょう。また、込みあいすぎている部分があれば、日当たり、風通しがよくなるように、透かし剪定をします。

増やし方

種まきポット
Kunlanan Yarist/Shutterstock.com

カラタネオガタマは、挿し木と種まきで増やすことができます。

【挿し木】

挿し木とは、枝を切り取って土に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し木ができないものもありますが、カラタネオガタマは挿し木で増やすことが可能です。ただし、カラタネオガタマは活着率が悪く、挿し木で簡単に増やせるというわけではないので、発根剤を使用するとともに、多めに挿しておくとよいでしょう。

カラタネオガタマの挿し木の適期は、6〜7月か9月頃です。その年にのびた新しい枝を10㎝ほどの長さで切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を切り取ります。3号くらいの鉢を用意してゴロ土を入れ、新しい培養土を入れて十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して表土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて管理します。その後は日当たりのよい場所に置いて育苗し、大きく育ったら植えたい場所に定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。

【種まき】

カラタネオガタマは10〜11月に果実をつけます。熟した頃に採取して種を取り出し、流水できれいに洗い流してそのまま種まきしましょう。

黒ポットに新しい培養土を入れて十分に水で湿らせます。カラタネオガタマの種を黒ポットに数粒まいて軽く土をかぶせ、明るい日陰で管理します。カラカラに乾燥しないように水の管理に注意し、発芽後は日当たりのよい場所に置きましょう。本葉が2〜3枚ついたら勢いのある苗を1本のみ残し、ほかは間引いて育苗します。ポットに根が回るまでに成長したら、少し大きな鉢に植え替えて育苗します。鉢増ししながら育成し、苗木として十分な大きさに育ったら植えたい場所に定植しましょう。

庭園や鉢植えとしても人気! 甘くさわやかな香りも楽しもう

カラタネオガタマ
HoyaEuny/Shutterstock.com

春に開花し、バナナのような甘い香りを放つカラタネオガタマ。寒さにはやや弱いものの、関東以西の暖地では庭植えも可能です。香り高い可憐な花を咲かせるカラタネオガタマを、ぜひ庭やベランダに取り入れてみてください。

Credit
文 / 3and garden
GardenStory (ガーデンストーリー)

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!

元記事で読む
の記事をもっとみる