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たった1匹が3年後には2万匹に…紙を食べる害虫で大ピンチ!学芸員が発見した弱点は?

  • 2026.2.22

私たちの貴重な財産が失われるかもしれない…。
目をそむけるわけにはいかない。博物館が今、大ピンチです。

札幌市厚別区にある北海道博物館。
普段は立ち入ることができない、博物館の裏側を見学する人気の「バックヤードツアー」で、高橋佳久学芸員から衝撃の報告がありました。

「うちの博物館でとても厄介な虫がいて…、紙を食べる虫です」

貴重な古文書や紙の資料を食いあらす害虫が、館内で見つかったというのです。

見学者が「生きがいいね これ…」と害虫をみつめます。

Sitakke

高橋学芸員によると、資料の文字情報や絵も消えてしまうため文化財の大きな毀損につながる、とのこと。

博物館を害虫から守る。
体長10ミリメートルの虫と戦う、学芸員の奮闘を深堀りします。

漢字では「紙魚」は最悪の厄介者…

北海道博物館は、約3000点の資料を展示している道内最大規模の総合博物館です。

資料の保管を担当する、学芸員の高橋さんをいま悩ませているのが…銀色のように見える細長い虫。

「最近館内で増えてしまっている、ニュウハクシミという昆虫の仲間です」

「ニュウハクシミ」んp体長は最大で10ミリメートルほど、手の指の爪くらいの小ささです。
漢字では「紙の魚」と書くこの虫は、博物館にとって最悪の厄介者だと言います。

「館内で文化財を食べてしまうような害虫、おもに紙資料ですね。和紙、洋紙問わず、どちらも食べてしまう」

爆発的な繁殖力も…

Sitakke

この虫の大好物は紙。
古い書物や壁紙、写真など貴重な資料を食い荒らすことから「文化財害虫」と呼ばれています。 さらに…

「繁殖能力がとても強く、メスだけで数を増やすことができることがわかっています」

メスが交尾せずに繁殖することができるため、わずか1匹の虫が1年後には130匹、3年後には2万匹と、爆発的に増えるとされています。

外来種のニュウハクシミは2022年、国内で初確認。

2025年には19の都道府県の博物館や美術館で見つかるなど、生息域が急速に拡大していて、研究機関が注意を呼びかけています。

北海道博物館でも、2022年に初めて確認され、館内に100個以上の捕虫トラップを仕掛けていますが撲滅には至っていません。

科学賞も受賞したアイデアで害虫から守る!

Sitakke

貴重な道民の財産を守りたい。高橋さんはある装置を開発しました。

「ニュウハクシミはツルツルしたところを登れないので。下から登ろうとするとロッククライミングのように、反り立っているんですよね。資料にシミがアクセスできないようにしています」

住宅用の断熱材に、ペットボトルの底を4つ取り付けただけのシンプルなもの。

高橋さんは長年の研究で、ニュウハクシミがガラスやプラスチックなど、表面がツルツルしたものが苦手なことを突き止め、この装置を開発しました。

これを台にして、床と紙資料を離して保管することで、虫が上がって来られず食害を防ぐ仕組みです。
市販の安い材料で作ることで、全国の博物館でも取り入れやすくしました。

高橋さんは、この装置の開発で、若手研究者に贈られる科学賞を受賞。
害虫と戦う全国の施設で役立ててほしいと願っています。

「文書資料や紙資料というのはやはり1点ものですから、その時代、その地域にあった歴史、そういったものが奪われてしまう可能性につながってしまいます。それを防ぐことは学芸員としてきちんとやっていく価値が十分にあるのではないかと思っています」

ニュウハクシミ撃退作戦

ニュウハクシミは、もともと日本にいない外来種ですが、海外の博物館と資料のやり取りをしたときに、段ボール箱に紛れ込んで国内に侵入したとみられています。

1匹見つかると、根絶させるのは難しい10ミリメートルの虫。

身長178センチメートルの高橋学芸員がいま考えている撃退作戦は3つです。

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わな
市販の虫取りわなと同じく、毒餌でおびき寄せる仕組みです。
東京の研究機関が、2025年から特製の虫取りわなを全国の博物館などに配布するなど対策を打っていますが、この虫がホイホイと引っかかるかはまだ研究段階です。

二酸化炭素
外部から持ち込まれた資料を密閉容器に入れて、炭酸ガス=二酸化炭素を注入し殺虫する、水際で防ぐ方法です。
ただ小さな虫なので、どこに潜んでいるか分からないのが問題を難しくしています。

冷やす
ニュウハクシミは気温が10℃以下になると死滅することが分かっています。
これは冬の北海道ではすぐにできそうな取り組みですが、高橋さんによると「館内を冷やして、再び温度を上げると結露してカビの原因になる」ため博物館での実現は難しいそうです。

多くの博物館は予算が厳しく、学芸員の熱意で支えられている部分が多いのが実情です。
施設や、財産の保存のあり方を考える必要がありそうです。

文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい

※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2026年2月11日)の情報に基づきます。

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