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約10年の休業から“バラエティ女王”に…若槻千夏(41)が大躍進のワケ「ママタレの席を回避」「集団戦から、個人戦へ」

  • 2026.2.19
バラエティ番組に出演する若槻千夏さん(「若槻千夏」公式Instagramより)。

一番組あたりの出演者が減っている。かつては「ひな壇」に数多くのタレントが並ぶ番組があったが、今やほとんど見かけない。きっかけはコロナ禍だったとされる。感染対策で出演者が絞られたが、それでも番組は成立したため「もうこれでいい」と判断された。制作費が削られるなか、出演者数がもとに戻る気配はない。

限られたテレビ出演枠を奪い合う椅子取りゲームは、いっそう苛烈さを増しているように見える。

そんな状況で、むしろ活躍の場を広げたタレントがいる。若槻千夏だ。グラビアアイドルとしてデビューした彼女は、すぐにバラエティ番組でも人気を博した。2006年に芸能活動を休止。その後、ファッションブランドの立ち上げや結婚・出産などを経て、2015年に本格復帰した。そんな彼女の姿を、近年多くの番組で見かける。

なぜ今、改めて若槻が求められるのか。私たちは彼女の仕事に何を見ているのか。そこには、「限られた枠を奪い合う椅子取りゲーム」が関連しているように思える。


現在の活躍を支える独自の仕事術

話題になった成人式写真。父親の顔より大きな髪型の若槻千夏さん(「若槻千夏」公式Instagramより)。

改めて、若槻の現在のテレビ出演状況を確認しよう。『ラヴィット!』(TBS系)、『トークィーンズ』(フジテレビ系)にレギュラー出演。『上田と女が吠える夜』(日本テレビ系)にもほぼ毎回のように出ている。『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(フジテレビ系)や『チコちゃんに叱られる!』(NHK総合)にもよく出演している印象がある。昨年からは自身がMCを務める『若槻千夏のうるさい心理テスト』(テレビ朝日系)もはじまった。

こう並べると、民放各局からNHKまで、MCからワイプ中心の出演まで、幅広い仕事ぶりが際立つ。明石家さんまや有吉弘行のような大物MC芸人と絡む一方、MCとしていわゆるZ世代のインフルエンサーとトークする場面もある。『ラヴィット!』のゲームでヒール役として立ち回り、『上田と女が吠える夜』で子育てエピソードを語り笑わせたりもする。

オールマイティカードのような若槻千夏。その多彩な活躍を支えているのが、独自の「仕事術」だ。たとえば、彼女はオリジナルの「タレント名鑑」を作成しているという。

「個人的にタレント名鑑作ってるんですよ。共演した人について、こういう人かなって思ったことを、ちょっとずつメモっていくんですよ。ネットの情報とかゴシップ情報とか噂話はNGで、現場で感じたことだけを書いていく」(『あちこちオードリー』テレビ東京系、2019年9月23日)

この共演者はどこまで冗談が通じるのか。このMCとはどのように絡めばよいのか。実体験をもとに自作したデータベースを参照し、判断しているのだという。その年にテレビによく出ている女性タレントを年齢別で一覧にまとめ、各人がどんな枠で呼ばれているかを整理した上で、自分の立ち位置の戦略を立てることもあるらしい。

そのような仕事術が、現在の活躍を支えているのだろう。事務所に所属せずフリーで活動する中で、ブランドの立ち上げや運営で培ったビジネスの視点を、自身のタレントとしての商品価値の設計にも活かしているのかもしれない。

テレビに出続けるための考えた秘策とは?

バラエティ番組に出演する若槻千夏さん(「若槻千夏」公式Instagramより)。

復帰直後の打ち手も象徴的だ。若槻は当時すでに子育て中だったが、いわゆる「ママタレ」として戻る道は選ばなかった。「料理が誰かよりうまいってわけじゃないし、時短でなにかしたことない」という彼女にとって、その道は「すぐバレる」判断したからだ(『おかべろ』関西テレビ、2021年8月7日)。背景には、「今は視聴者が嘘を嫌う」という分析もあったかもしれない(『しゃべくり007』日本テレビ、2016年2月29日)。

加えて、次のような理由も語られている。

「私(テレビに)出続けたいんですよ、ってなったときに、何が私に必要かっていったら、年齢がバレないようにするっていうこと。年齢がバレないようにどこまで行けるかっていう」(『あちこちオードリー』テレビ東京系、2021年5月5日)

ライフステージや年齢による枠にはめられてしまうと、中長期的に見た時にテレビに出続けるのが難しくなる。そのため、ママタレの席を避けた。若槻は、自分に何ができるのかを冷静に分析しつつ、息の長い芸能生活という自身の希望とすり合わせる。できないことは捨て、今後を見据えていますべき領域を絞り込む。

どんな座組にも対応できるオールマイティさ

2026年の元旦に投稿された赤い着物姿の若槻千夏さん。「嘘がなくまっすぐなエンタメを目指します」とコメント。(「若槻千夏」公式Instagramより)。

さらに踏み込んで考えてみよう。

バラエティ番組は、空気の読み合いだとよく言われる。言語化されていない感情の流れを察知し、暗黙の期待を推測する。集団の調和を重んじ、そこに個人を適応させていく。いわば摩擦回避の技術。もちろん、若槻はそんな空気読みの妙手でもある。

一方、若槻は「空気」だけでなく「構造」も読む。誰がどこに座れるかを決める、目に見えない設計図のような構造。それを読み解き、自分の打ち手を戦略的に選ぶ。空気のなかで求められる「キャラ」をつくるより、構造のなかで活きる「能力」を見定め、磨いているようにも見える。

若槻のオールマイティなポジションも、戦略的に選ばれたものだと思われる。冒頭の「出演者減少コロナ禍きっかけ説」も、実は若槻が語っていた話だ。若槻いわく、出演者の減少は単なる人数の変化ではない。テレビに映るタレントの構成そのものを変えた。

「昔は必ずママタレントがいてとか、若い子がいてだったけど、いまもうママタレントと若い子、ギュッとされてますから」(同前)

そうした環境変化の分析の結果として選び取られたのが、どんな座組にも対応できるオールマイティなポジションだったのだろう。もちろん、それは誰でも座れる席ではない。彼女にはそれを可能にする「能力」があった。大沢あかねは証言する。

「若槻さんとかって、あんまりママとかって出してない。でも、すごいじゃない。あの人が復帰して、バラエティを席巻して、私はもうダメだと思ったの。ママの方向で、そっちで行かないと。あんな人がいたら、もう無理じゃないですか」(『ボクらの時代』フジテレビ系、2022年12月11日)

集団戦ではなく、個人戦で生き抜くために

バラエティ番組に出演する若槻千夏さん(「若槻千夏」公式Instagramより)。

自分のポジションを自分で設計する。そのような若槻の仕事ぶりは、「みんな」から「わたし」へという社会の変化とも重なっているように見える。集団戦ではなく個人戦。集団の規範が中心の社会から、個人の選択が重視される社会へ。「限られた枠を奪い合う椅子取りゲーム」は、テレビの中だけでなく私たちの社会の現実でもある。会社の昇進枠も、予算の配分も、SNSのフォロワーも。椅子の数はいつも限られている。

そのような状況にあって、テレビをめぐる構造を分析し、そのなかを自身の能力で生き抜くフリーのタレント・若槻は、現代を生きる社会人にとってロールモデルのような存在なのかもしれない。しかも、その種の能力が抜群に高いモデルとして。彼女は言う。

「そりゃあ、分析してかないと生き残れないですよ。若かったら、旬だったらマネージャーさんとか偉い人がポンッて(仕事を)入れてくれますけど、もう30代後半になったら自分との戦いですから」(『あちこちオードリー』テレビ東京系、2021年5月5日)

世の中に馴染んでいないものを買う理由

若槻千夏さんと、長年交流のあるタレントのベッキーさん(「若槻千夏」公式Instagramより)。

ただ、それは若槻の一面にすぎない。彼女の言葉をもう少し注意深く聞いていくと、自分の椅子を勝ち取ろうとする姿だけではない側面も見えてくる。

若槻は自身がファッションブランドを立ち上げるだけあり、服飾にはこだわりがあるようだ。服を買うときは、「ある程度パンチがある、世の中にあんまり馴染んでいないものを買うようにしている」らしい。なぜか。

「じゃないと、そういうおもしろい商品が世の中から無くなっちゃう気がする」(『有吉ジャポン』TBS系、2017年12月8日)

また、ベッキーによれば、芸能活動を辞めようとしていた彼女を引き止めたのが若槻だったと明かしている。

「『私(若槻)は正直ベッキーさんは、また前のところに戻って欲しいし、戻んなきゃいけない』みたいな。『こういう仕事をもっとやってほしい』みたいにすごい語られて。こんなに思ってくれる人がいるんだったら、ちょっともう1回バラエティやりたいって。なんか引っ張り上げてくれたんですよ」(『あちこちオードリー』テレビ東京系、2021年9月8日)

今後のタレントとしてのヴィジョンは…

若槻千夏さんが生み出した人気キャラクター・クマタンのぬいぐるみ (「若槻千夏」公式Instagramより)。

さらに、今後のタレントとしての夢を聞かれた若槻は、「スポンサーになりたい」と語った。

「番組とかラジオとかやりたいんですよ、自分の好きな芸能人の。テレビに戻ってきて、芸能人ってすごいと思うんですよ。いまYouTube流行ったり、配信系が流行ってるじゃないですか。でも私テレビって絶対にみんなこの感じで、昔のキラキラな感じでずっとやってほしいんですよ。諦めてほしくないっていうか、誰にも」(『有吉クイズ』テレビ朝日系、2025年2月2日)

業界の多様性を維持するために売れ筋ではない商品を買う。自分とポジションが重なるタレントの引退を引き止める。テレビ自体を盛り上げるために出資したいと考える。「みんな」が諦めなくて済む構造を志向する若槻の姿がここにある。椅子取りゲームの椅子は固定された資源ではない。椅子を増やす、維持する、修理する。ゲームが過酷なのは、椅子の数が決まっているからではなく、決まっていると信じ込まされているからかもしれない。

考えてみれば、テレビでの若槻の立ち回り自体、その延長線上にあるのだろう。特定の枠に収まらないポジションを選んだ若槻は、他の出演者や話題をつなぐハブとして機能している。彼女の能力の多くは、他の出演者を活かすことに注がれている。

冷静な分析者であり戦略家でありながら、テレビにはどこか無条件の愛着を見せる。合理的に振る舞いながら、合理性では説明できないものを垣間見せる。そのねじれが、若槻千夏という存在をもっともよく体現しているのかもしれない。

社会で「わたし」がいかに生き残るかは、もちろん個々人にとって重要な問いだ。若槻は仕事のなかで、その問いに答えを出し続けている。しかし私たちは、椅子を増やせる局面があれば、実際のところ増やそうと思うだろうか。私たちは、「みんな」という言葉にどこまで耐えられるだろうか。それもまた、彼女の仕事が私たちに投げかけている問いなのかもしれない。

文=飲用てれび

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