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”多様性”という言葉がいらない世界へ。Z世代クリエイターが目指すインクルーシブファッションの未来

  • 2026.2.16
かとうみな●2004年、愛知県生まれ。知的障がいのある弟、児童発達支援教室で働く母の影響で障がいを身近に感じて育つ。高校3年時に起業体験に参加し、SAFEIDの活動を開始。2025年5月、法人設立。「Next Fashion Designer of Tokyo 2025」インクルーシブデザイン部門特別選抜賞受賞。 Cédric Diradourian

障がい者と健常者の垣根なく、誰でも楽しめる服、誰でも楽しめる場を作りたい。それがSAFEID代表の加藤海凪さんの思いだ。現在は大学を休学し、インクルーシブなファッションの提案とともに、障がいのある人もない人も楽しめるフェスを運営している。

「障がい者の弟がいる」と、起業体験に参加したのがきっかけ

きっかけはほんの小さなことだった。「高3の夏休み、受験勉強からの逃避で、起業体験プログラムに参加したんです。そこで “身近な社会課題を考えてごらん”と言われ、そういえばうちに障がい者の弟がいる、と思いました」。好きなものと結びつけよう、とファッションでの課題解決を考えた。食べこぼしやよだれで衣類が汚れるが、よだれかけは恥ずかしい。そんな人に向け、おしゃれなよだれかけにできないかと考えた。プログラム後も周囲の力を借り、作業場の提供から、ミシン、車のシートの廃材布まで提供してもらい、第1作が完成した。

東京都主催、若手育成のためのファッションコンクール「Next Fashion Designer of Tokyo」受賞作。スタイは3Dプリンターを使ってエナメルで製作。 東京都産業労働局提供

この経験でコミュニティの力や自ら作り出す楽しさを知った加藤さんは、学生向けの起業支援塾「Makers University」やパナソニックによる若手起業家支援「100BANCH」、渋谷スクランブルスクエアの「QWSチャレンジ」などに参加。学生起業家との出会いが増えていった。「おもしろい人がたくさんいて、みんな本気で相談に乗ってくれるんですよ」

当初のデザインは自分が使いたいと思えず、改良を繰り返した。ジッパーを使ったデザインをしている学生との出会いがきっかけで、よだれかけ部分をジッパーで取り外せるようにした服が完成。これが「Next Fashion Designer of Tokyo 2025」の受賞作となった。

ファッションと音楽で作る“多様性”がいらない世界

2024年秋に「金城市場」で開催したフェス「!⇄!(INTER CHANGE) GROUP EXHIBITION VOL.1」。アートも音楽もファッションも盛りだくさんのフェスに。 Hearst Owned

同時に、フェス主催という夢もかなえた。「昔から家族でフジロックなどに行くのが恒例で、自分もいつかフェスをやりたいと思っていました」

ある日、東海圏でイベントを企画するメディアを見つけ、直談判。「フェスに行くと、障がい者の弟より父のほうがよっぽどとんちんかんなことをしているし、裸で踊っている人もいるけれど全部OKになる。そこには“多様性”なんて言葉はいらないんです。私もそんなフェスを作りたい、と話しました」。この想いに共感したメディアのオーナーとイベントの共同企画を実現。「人に頼るのが得意」と加藤さん。思いをまっすぐ語り、相手の言葉に素直に耳を傾け、軽やかに行動する様子が、周りを巻き込むのだろう。「ただ、事業拡大したいとは考えていないんです。ファッションもフェスも、イベントやポップアップをしながら少しずつ、いろんな人がフラットに楽しめる場を増やしていきたいですね」

ELLE ACTIVE!(エル アクティブ)とは?

Hearst Owned

あらゆる人をエンパワーし、より良い変化を共に創るエルのプラットフォーム。サステナビリティ、ジェンダー、働き方など未来のための情報とアクションを発信します。“あなたが見たい変化に、あなたがなる”ために。



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