1. トップ
  2. 19年前の朝ドラに“元・天才子役”「再放送なのにハマった」素晴らしい“感情表現で誕生”した名場面【NHK連続テレビ小説】

19年前の朝ドラに“元・天才子役”「再放送なのにハマった」素晴らしい“感情表現で誕生”した名場面【NHK連続テレビ小説】

  • 2026.3.23

2007年に放送されたNHK連続テレビ小説『どんど晴れ』。現在、NHK BSにて再放送中の本作は、比嘉愛未がヒロインを務めた朝ドラだ。舞台は、『あまちゃん』と同じく岩手県だが、斬新な切り口で描かれた『あまちゃん』とは対照的に、“古き良き”朝ドラらしい作品と言える。

※以下、本文には放送内容が含まれます。

第76作NHK連続テレビ小説『どんど晴れ』

朝ドラ『どんど晴れ』は、都会育ちのヒロイン・夏美が、伝統と格式を重んじる老舗旅館に嫁ぎ、立派な女将になるために奮闘する成長の物語。ヒロインはオーディションによって、2,156人の中から当時20歳(放送当時21歳)の比嘉が選ばれた。脚本は、NHK大河ドラマ『天地人』などでも知られる小松江里子が担当している。

undefined
比嘉愛未(C)SANKEI

『どんど晴れ』のあらすじを紹介しよう。神奈川県の横浜で、ケーキ店を営む両親と弟と暮らしている浅倉夏美は、パティシエを目指していた。ある日、近くのホテルで働く加賀美柾樹(内田朝陽)と出会った夏美は、柾樹と惹かれ合い、交際を経て婚約する。

柾樹は、岩手県・盛岡の実家の老舗旅館“加賀美屋”の大女将で、祖母の加賀美カツノ(草笛光子)が体調を崩したことを知る。彼はホテルマンの仕事を続けていくつもりだったが、カツノは柾樹が加賀美屋を継ぐことを望み、柾樹も悩んだ末にそれを受け入れる。柾樹の母は早くに他界し、父は家を出てしまったため、柾樹にとってカツノは母親のような存在だったのだ。
柾樹についていくことを決意した夏美は、パティシエの夢を捨て、加賀美屋で“女将修行”をすることに。そんな夏美を母・房子(森昌子)は温かく見守るが、父・啓吾(大杉漣)は許せずに勘当を言い渡す。

父との確執に苦悩する夏美だったが、加賀美屋でも彼女の女将修行を快く思わない者が多く、夏美は孤軍奮闘を強いられる。ホテルの仕事の引継ぎが長引いている柾樹が、なかなか盛岡に帰ってこられないからであった。
柾樹は加賀美家の長男の息子だが、長男は出奔、柾樹も横浜で働いているので、次男の息子・伸一(東幹久)が加賀美屋の支配人を務めていた。柾樹の叔母で女将の環(宮本信子)は、息子の伸一が加賀美屋を継ぐものと思っていたため、大女将の意向に納得できない。何とかして、夏美が女将になるのを阻止したいと目論む環。

そんな状況の中、夏美には次から次へと試練が襲いかかるが、頑張り屋で、思いやりの心を持つ彼女は、一生懸命に修行をこなしていく。

朝ドラヒロインを好演した比嘉愛未

家族の確執、周囲からの妬み、跡継ぎ争いなど、昔から描かれている“朝ドラ的キーワード”が満載の『どんど晴れ』。恋愛においても、柾樹の昔の彼女や、彼を好きな幼なじみ、さらに夏美に片想いする男性と、その男性を好きな夏美の親友などが登場し、かなりドロドロ。複雑な人間模様が綴られ、毎エピソード目が離せない。

柾樹の亡き母は、女将の仕事が大変すぎて早世。柾樹は、父に捨てられたことで心に傷を抱え、従兄の伸一とは衝突。柾樹の母が亡くなった後に女将に就任した環は、旅館では大女将としての、家では姑としての、カツノの目が厳しく、気が休まらない。伸一の妻・恵美子(雛形あきこ)が女将になりたがらないことで、環と恵美子の“嫁・姑問題”も描かれる。

問題だらけの加賀美家と、敵だらけの加賀美屋で、夏美はつらい日々を過ごしていく。その上、旅館の宿泊客のトラブルまで起き、とうとう夏美は女将修行を断念して、横浜に帰らざるを得なくなる。だが帰っても、啓吾は家に入れてくれず……。
ヒロインが苦労の連続を味わうのは、まさに“古き良き”朝ドラのお約束。でも、夏美には天性の明るさと根性があるので、1つ1つ解決していき、乗り越えていく。比嘉は輝くような眩しい笑顔で夏美を好演し、応援せずにはいられない気持ちになる。

SNSにも「王道の朝ドラだった」「夏美が一生懸命に女将修行する姿にグッと来る」「再放送なのにハマった朝ドラ」といったコメントが見られた。また、「比嘉愛未さんが美しすぎて観ずにはいられない朝ドラ」といった声も。『どんど晴れ』での、結婚式での比嘉の白無垢姿は、朝ドラ屈指の美しさとして、視聴者の間で語り継がれている。

中学生だった神木隆之介も出演

undefined
比嘉愛未(C)SANKEI

夏美の弟・智也を演じているのは、朝ドラ『らんまん』で主演を務めた神木隆之介。『どんど晴れ』に出演した当時、中学生だった神木は、とても可愛らしく、等身大で智也を体現していた。天才子役出身俳優として知られる神木は、本作でも感情表現が素晴らしく、特に姉・夏美の結婚式での感極まる表情には引き付けられた。

夏美の父・啓吾は頑固者だが、心の底では夏美を大事に想い、娘の頑張りも認めている。そんな愛情深い啓吾を、今は亡き大杉が演じているのを見られるのも、『どんど晴れ』をおすすめしたい理由の1つだ。

加賀美屋の女将・環を演じる宮本は、前出の『あまちゃん』での天野夏役も印象的だったが、環は夏とは180度違うイメージだ。朝ドラの常連俳優の宮本は、岩手が舞台の朝ドラに2本出演したことになる。また、『あまちゃん』で夏の夫・忠兵衛を演じた故・蟹江敬三の息子・蟹江一平が『どんど晴れ』で、環の次男・浩司を演じているのも興味深い。

朝ドラ『ばけばけ』との共通点も

『どんど晴れ』は、岩手山や、小岩井農場の一本桜などが映し出される。美しい情景に心が洗われ、思わずロケ地巡りをしたくなる。岩手県出身の宮沢賢治に関する逸話も登場したり、遠野地方で夏美が体験する不思議な出来事も描かれる。中でも、座敷童や河童、“風の又三郎”に遭遇するエピソードは楽しい。妖怪を扱っている点では、朝ドラ『ばけばけ』と共通しているとも言えるだろう。

カツノは、初めて夏美と会った時、座敷童の面影が見えたのだが、座敷童がいる家は幸運が訪れると言われており、夏美は加賀美屋にとって座敷童のような存在となっていく。誰の心も開かせ、周囲を明るくする夏美。

“どんどはれ”は、遠野地方などで昔話を語る際に、締めくくりに使われる結びの言葉で、“めでたし、めでたし”の意味に解釈されているという。さまざまな苦労を乗り越えた夏美の物語が“どんどはれ”となる最終回まで、ぜひ朝ドラ『どんど晴れ』を楽しんで観てほしい。


ライター:清水久美子(Kumiko Shimizu)
海外ドラマ・映画・音楽について取材・執筆。日本のドラマ・韓国ドラマも守備範囲。朝ドラは長年見続けています。声優をリスペクトしており、吹替やアニメ作品もできる限りチェック。特撮出身俳優のその後を見守り、松坂桃李さんはデビュー時に取材して以来、応援し続けています。
X:@KumikoShimizuWP