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「父が嫌い、でも母は好き」なぜ?考えられる理由を専門家に聞く

  • 2026.2.5

母親のことは好きなのに、父親にはどうしても心を開けない。むしろ嫌い……。

父親と母親に対し、抱く感情が異なるのは珍しいことではなく、いくつかの心理的・環境的な理由があるようです。

なぜ「父は嫌い、母は好き」という感情が生まれるのでしょうか。その背景や対処法とは。心療内科を併設し、自身も父親として日々子どもと接している、なかざわ腎泌尿器科クリニック院長・中澤佑介先生監修のもと解説します。

父のことが嫌いになりやすいきっかけとは

まず最初にお伝えしたいのは、「父親が嫌い」という感情を抱くこと自体は、何もおかしなことではないということです。

私自身も父親として気を付けてはいますが、父親に対して苦手意識や嫌悪感を抱くようになるきっかけは、人によってさまざまです。

威圧的・支配的な態度が続いた

父親が家庭内で威圧的な態度をとっていた場合、子どもは恐怖や緊張を感じながら育つことになります。

大声で怒鳴る、自分の意見を押し通す、反論を許さないなど。こうした関わり方をされると、子どもは「父親=怖い存在」という認識を持ちやすくなります。

大人になってからも、その恐怖心が「嫌い」という感情として残ることがあります。

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無関心な態度や不在が多かった

物理的にも精神的にも「いない」父親に対して、愛着を感じにくいのは当然のことです。

仕事ばかりで家にいない、いても子どもに関心を示さない、会話がほとんどないなど。こうした環境で育つと、父親との間に情緒的なつながりが築かれません。

「嫌い」というより「よくわからない人」「他人のような存在」という感覚を持つ人も多いでしょう。そして、関わりが薄かったことへの寂しさや怒りが、嫌悪感として表れることがあります。

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母親に対する態度が悪かった

父親が母親に対して冷たい、見下している、暴言を吐くなど。こうした姿を見て育った子どもは、父親に強い嫌悪感を抱きやすくなります。

母親との関係が良好な場合、「大切な母を傷つける存在」として父親を敵視するようになることがあります。直接自分が被害を受けていなくても、母親が苦しんでいる姿を見ることは、子どもの心に深い傷を残します。

コミュニケーションの違いがある

父親世代の男性のなかには、感情を言葉にすることが苦手な人が少なくありません。愛情はあっても、それを表現する方法がわからない。結果として、子どもには「冷たい」「関心がない」と受け取られてしまうことがあります。

また、褒めるより批判する、共感するより正論を言うコミュニケーションスタイルも、子どもとの溝を深める原因になります。

「話してもわかってもらえない」という経験が積み重なると、次第に心を閉ざすようになるのです。

価値観の押しつけが多かった

「男はこうあるべき」「女はこうすべき」「この職業に就け」「この学校に行け」など。父親から価値観を押しつけられた経験は、強い反発心を生みます。

自分の意思を尊重してもらえなかった、自分らしさを否定されたという記憶は、大人になっても消えません。その怒りや悲しみが、父親への嫌悪感として残り続けることがあります。

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思春期の衝突がそのまま定着してしまった

思春期は親子関係が難しくなる時期です。この時期に大きな衝突が起き、その関係がそのまま修復されないまま大人になるケースも見られます。

思春期に感じた「わかってもらえない」「干渉される」という不満が、その後の関係性のベースになってしまうのです。

母のことは好きになりやすいのはなぜ? "味方"と感じやすい心理とは

一方で、母親に対しては好意的な感情を持ちやすいのはなぜでしょうか。そこには、いくつかの心理的な要因があります。

日常的に関わりが多いため愛着が湧きやすい

多くの家庭では、子どもの日常生活により深く関わっているのは母親です。食事の準備、学校の送り迎え、体調が悪いときの看病、悩みを聞いてくれる存在など。こうした日々の関わりの積み重ねが、愛着や信頼感を育みます。

単純に「一緒に過ごした時間が長い」ということが、関係性に大きな影響を与えるのです。

共感してくれる存在だった

母親は、子どもの感情に寄り添う役割を担うことが多い傾向にあります。「大変だったね」「つらかったね」と共感してもらえた経験は、「この人は自分の味方だ」という感覚を生み出します。

一方、父親は問題解決型のコミュニケーションをとりがちで、「そんなことで泣くな」「こうすればいい」といった反応になることがあります。

共感を求めている子どもにとって、これは「わかってもらえない」という体験になります。

家庭における「緩衝材」としての役割も

父親が厳しい家庭では、母親が緩衝材の役割を果たしていることがあります。

「お父さんは怒っているけれど、本当はあなたのことを心配しているの」「お父さんには私から言っておくね」など。こうした母親の存在が、子どもにとっての安全基地になるのです。

父親の厳しさから守ってくれた存在として、母親への信頼が深まる一方、父親への距離感はより広がることになります。

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同性・異性の違いも関係している

同性の親と異性の親で、関係性の築き方に違いが出やすいことがあります。とくに娘と父親の場合、思春期以降に距離が生まれやすい傾向が見られます。

また、息子と父親の場合も、競争意識やライバル関係が生じることがあり、それが「嫌い」という感情につながることがあります。

親子関係に差が出る家庭には"共通パターン"がある

父親と母親で関係性に大きな差が出る家庭には、いくつかの共通したパターンが見られます。

パターン1 父親が「外」、母親が「内」という役割分担

父親は仕事で家庭を経済的に支え、母親が家事・育児を担うなど。こうした伝統的な役割分担の家庭では、父親と子どもの接点が物理的に少なくなります。

父親は「稼いで家族を養っている」という自負がある一方、子どもにとっては「いつもいない人」「たまに帰ってきて口うるさいことを言う人」という印象になりがちです。

パターン2 母親が子どもの「味方」になりすぎる

母親が子どもに過度に寄り添い、父親を「共通の敵」のように位置づけてしまうケースがあります。

「お父さんには内緒ね」「お父さんは厳しいから」など。こうした言葉が、無意識のうちに父親を遠ざける効果を持つことがあります。

母親としては子どもを守っているつもりでも、結果として父子関係を難しくしていることがあるのです。

パターン3 父親がコミュニケーションを母親に任せている

「子どものことは母親に任せている」というスタンスの父親もいます。進路の相談も、悩み事も、すべて母親を通して行う。父親と直接話す機会がなければ、関係性は育ちようがありません。

子どもからすれば、「自分に関心がないんだ」と感じてしまうのも無理はありません。

パターン4 両親の仲が悪い

両親の仲が悪い場合、子どもはどちらかの「味方」につきやすくなります。

母親が父親の愚痴をこぼしていたり、父親から傷つけられている様子を見ていたりすると、子どもは母親の側につくことが多いです。

この場合、父親への嫌悪感は「母を守りたい」という感情から来ていることがあります。

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パターン5 父親自身が親との関係に問題を抱えている

父親自身が健全な親子関係を経験していない場合、子どもとどう接していいかわからないことがあります。

愛情表現の仕方がわからない、距離の取り方がわからないなど。その不器用さが、子どもには「冷たい」「怖い」と映ることがあります。

父親とどう向き合う? "無理をしない距離感"を見つけるコツ

「父親が嫌い」という感情を抱えながら、どのように向き合えばいいのでしょうか。

「好きにならなければ」を手放す

まず、「親なんだから好きにならなければ」という思い込みを手放しましょう。好きになれないことに罪悪感を覚える必要はありません。

血縁関係と感情は別物です。愛情を強制することはできませんし、する必要もありません。「好きではないけれど、適切な距離を保って付き合う」という選択肢もあるのです。

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「嫌い」の理由を整理する

漠然と「嫌い」と感じているなら、その理由を具体的に書き出してみましょう。

何がきっかけだったのか、どんな言動が嫌だったのか、今でも許せないことは何かなど。言語化することで、感情を客観視できるようになります。

過去の出来事への怒りなのか、現在の関わり方への不満なのかによって、対処法も変わってきます。

期待値を下げる

「わかってほしい」「認めてほしい」「変わってほしい」など。父親への期待が大きいほど、裏切られたときの失望も大きくなります。

残念ながら、大人になった親が大きく変わることは稀です。「この人はこういう人なんだ」と割り切ることで、心の負担が軽くなることがあります。

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物理的・心理的な境界線を設ける

必要以上に関わらない、二人きりになる場面を避ける、連絡の頻度を減らすなど。自分を守るために、適切な境界線を設けることは健全な対処法です。

「冷たい」と思われることへの恐れがあるかもしれませんが、自分の心の健康を優先することは、わがままではありません。

父親と直接うまくやれないなら、母親を介して関わるという方法もあります。必要な連絡は母親を通す、家族の集まりでは母親のそばにいるなど。

それで家族としての最低限の関係が維持できるなら、それも一つの形です。

「許す」「和解する」がゴールではない

お伝えしたいのは、父親を許すことや、関係を修復することがゴールではないということです。

「許せるようになりたい」と思う方もいるかもしれませんが、許すかどうかはあなたが決めることであり、許さなければならないというルールはありません。距離を置いたまま一生を過ごす人もいますし、それが悪いことではありません。

大切なのは、父親との関係によってあなたの人生が過度に左右されないようにすること。自分の感情を認め、自分を守る方法を見つけ、自分の人生を歩んでいくことです。

父親との関係が原因で強いストレスを感じている、日常生活に支障が出ている場合は、カウンセラーや心理士に相談するのもよいでしょう。

第三者に話を聞いてもらうことで気持ちが整理されることもありますし、自分では意識していなかった感情のパターンに気づけることもあります。

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監修者プロフィール

なかざわ腎泌尿器科クリニック 院長 中澤佑介

金沢医科大学医学部医学科卒業。「患者さんに近い立場で専門的医療を提供したい」という思いで2021年、なかざわ腎泌尿器科クリニックを開設。2024年9月、JR金沢駅前に金沢駅前内科・糖尿病クリニックを開設。2026年4月、金沢市玉鉾に心療内科・ペインクリニックを開設予定。

<Text:外薗 拓 Edit:編集部>

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