1. トップ
  2. レシピ
  3. 憧れの名旅館で、真冬の冷えた心身に効く名湯に癒される

憧れの名旅館で、真冬の冷えた心身に効く名湯に癒される

  • 2026.1.30

【雲仙温泉・旅亭 半水盧】ミシュランも認める“食”と“泊”の実力

建築家・森辰男と作庭家・牧井貞二は、建物が自然と一体となる景観を追求した。
建築家・森辰男と作庭家・牧井貞二は、建物が自然と一体となる景観を追求した。

長崎・雲仙天草国立公園の山あいに位置する「旅亭 半水盧(はんずいりょ)」は、温泉ラバーが憧れてやまない温泉旅館。湯の花が舞う雲仙温泉の湯は、活火山の雲仙岳が生み出す単純酸性温泉(低張性弱酸性高温泉)で、角質を分解して肌をすべすべにする美肌の湯。加えて殺菌作用もあり、ニキビなど肌のトラブルにも効果が期待できる。

大浴場「東の湯」で、大宝律令が成立した701年に開湯したと言われる名湯・雲仙温泉の湯を満喫。
大浴場「東の湯」で、大宝律令が成立した701年に開湯したと言われる名湯・雲仙温泉の湯を満喫。

5000坪の敷地に客室はわずか14棟。すべてが“離れ”仕様で、宮大工の伝統的な技法を用いた数寄屋造りを基本とし、それぞれに趣の異なるデザインと庭園の眺めを有する。300㎡もの広さを持つ2棟の特別室は、専用の露天風呂や内湯、サウナを完備。それ以外の客室も250㎡とゆったりとした間取りで、窓の外に四季折々の表情を見せる庭園が広がり、苔むす石畳や池泉、風にそよぐ木々など、まるで水墨画の世界にスリップしたかのようだ。名湯を堪能するなら、大浴場「東の湯」がおすすめだろう。名湯をたっぷりと湛えた内湯でじっくりと温まり、ひんやりとした外気を感じながらの露天風呂は心までもとろけそうだ。

数寄屋造り・平屋建ての特別室「寿苑」。京町屋の敷石を思わせるアプローチや群鶴蒔絵の漆工芸が雅な趣を演出する。
数寄屋造り・平屋建ての特別室「寿苑」。京町屋の敷石を思わせるアプローチや群鶴蒔絵の漆工芸が雅な趣を演出する。

食事は、フグ、松茸、長崎牛など、地元の山海の幸をふんだんに用いた月替わりの本懐石。諫早の宮下農園、雲仙の田中農園や田中鮮魚店など、旬を知り尽くした生産者や店から仕入れた食材を、料理人の匠の技で滋味あふれる一皿一皿に仕上げていく。2025年には2年連続で1ミシュランキーを獲得するなど、湯、建築、庭、食が高いレベルで融合した稀有な宿だ。

長崎の名産の鱧を使ったお椀。九州の山海の幸を中心に選りすぐりの食材を使った懐石のコースを提供。
長崎の名産の鱧を使ったお椀。九州の山海の幸を中心に選りすぐりの食材を使った懐石のコースを提供。

旅亭 半水盧

長崎県雲仙市小浜町雲仙380-1

Tel./0957-73-2111

料金/1室1泊158,400円~(2食付・2名1室利用)※2026年1月現在

https://hanzuiryo-unzen.jp/

【城崎温泉・西村屋本館】外湯巡りの拠点にもベスト。江戸時代から愛され続ける温泉宿

平田館のほかに昭和初期の本館や1949年築の離れなど総客室は29室。本館2階の朝食ダイニング「泉霊」は登録有形文化財になっている。
平田館のほかに昭和初期の本館や1949年築の離れなど総客室は29室。本館2階の朝食ダイニング「泉霊」は登録有形文化財になっている。

城崎温泉を代表する名宿といえば「西村屋本館」だろう。江戸・安政年間の創業より165年の歴史を誇る老舗旅館は、数寄屋建築の名匠・平田雅哉による別館「平田館」をはじめ、和の様式美に満ちた客室や丹精込めた日本庭園など、すべてが日本情緒にあふれている。一方で、時代に合わせてベッドルームを備えた客室を追加するなど、快適性やユニバーサルデザインへの配慮にも余念がない。

数奇屋建築の巨匠、平田雅哉が1960年に手がけた「平田館」。当時としては斬新な材料を使ったモダン数寄屋だ。
数奇屋建築の巨匠、平田雅哉が1960年に手がけた「平田館」。当時としては斬新な材料を使ったモダン数寄屋だ。

館内には、檜の香りが立ち込める「吉の湯」、異国情緒漂う中国風の「福の湯」、平田館の庭園に面した「尚の湯」という趣の異なる三つの内湯と露天風呂があり、古今和歌集にも詠まれた開湯1300年の歴史を持つ温泉を堪能できる。わずかに塩分を含むナトリウム・カルシウム-塩化物泉は、神経痛、皮膚疾患、貧血などに優しく作用する。7つの外湯を巡る“外湯文化”が根づく城崎だが、街の中心にある西村屋本館は、その拠点としても最適で、浴衣に身を包み、下駄を鳴らしながら温泉街のそぞろ歩きが満喫できる。

平田館の1階にあり、四季折々の風景を楽しめる中庭を望む「尚の湯」。
平田館の1階にあり、四季折々の風景を楽しめる中庭を望む「尚の湯」。

食事は、地元の旬の恵みをふんだんに取り入れた会席料理。春は香住港水揚げの紅ズワイガニや筍、夏はアワビ、鮎、但馬牛がイチ押し。最近流行りの食事処ではなく、部屋でいただく伝統的な旅館スタイルで、くつろぎながら食事ができる。スタッフの所作は控えめだが温かく、一朝一夕では作り上げられない、時代を超えたおもてなしの心が息づいている。

地元のブランド牛・但馬牛とウニを使ったすき鍋。
地元のブランド牛・但馬牛とウニを使ったすき鍋。

西村屋本館

兵庫県豊岡市城崎町湯島469

Tel./0796-32-4895(予約専用)

料金/1人1泊60,930円〜(2食付・2名1室利用)※2026年1月現在

https://www.nishimuraya.ne.jp/honkan/

【修善寺温泉・あさば】竹林の静寂に包まれた創業530年の名宿

220㎡の広さを持つ贅沢な特別室「はなれ 天鼓」をはじめ、和の設えの中に洋のセンスを忍ばせた客室。
220㎡の広さを持つ贅沢な特別室「はなれ 天鼓」をはじめ、和の設えの中に洋のセンスを忍ばせた客室。

伊豆・修善寺の竹林に抱かれるように佇む「あさば」には、静謐という言葉がよく似合う。創業は1484年。浅羽弥九郎幸忠が開いた宿坊に端を発し、以来五百余年、代々受け継がれてきた老舗旅館だ。一方で1988年に日本で初めてルレ・エ・シャトーに加盟し、日本旅館の美学を守りつつ、世界に通じる快適性も追究。現代のライフスタイルに合わせて、和室にベッドやイス、テーブルを導入するなど、新たな伝統を作るために細やかな工夫を重ねている。

加賀・大聖寺藩主の前田利鬯から寄進され、明治後期に東京より移築した能舞台「月桂殿」。
加賀・大聖寺藩主の前田利鬯から寄進され、明治後期に東京より移築した能舞台「月桂殿」。

全12室の客室は、自然の光や風を取り込む設計で、窓を開ければ竹林のささやきや池の水音が聞こえてくる。歴史に彩られたあさばならではの趣はそのままに、室内は常に美しく、衛生的に保たれ、居心地は極めて快適。老舗旅館にありがちな古さは微塵も感じさせない。李禹煥や宮島達男といった現代アーティストの作品が各所に配され、伝統とアートが見事に融合している。600坪の池に浮かぶように設えられた見事な能舞台「月桂殿」では、季節ごとに能や狂言、新内(しんない)、舞踊などが披露され、伝統と自然の共演を思う存分に体感できる。

池を渡る風が心地よい野天風呂。無色透明で肌に優しい修善寺温泉の源泉をかけ流しで楽しめる。
池を渡る風が心地よい野天風呂。無色透明で肌に優しい修善寺温泉の源泉をかけ流しで楽しめる。

温泉は、高野槙の香りが漂う内湯と、竹林に囲まれた野天風呂のほか、12室のすべてに部屋風呂を用意。源泉かけ流しのアルカリ性単純温泉は、肌にやさしく、湯上がりはしっとり。神経痛や冷え性にも効能があるという。食事は、地元・伊豆の旬の食材を活かした懐石料理。器や間合いにまで美意識が行き届き、一皿一皿が最良のタイミングで供される。朝食の美しさも格別で、至福のひとときで名宿の滞在を締めくくる。

モダンなインテリアを配したパブリックスペース。池越しに能舞台を望む。
モダンなインテリアを配したパブリックスペース。池越しに能舞台を望む。

あさば

静岡県伊豆市修善寺3450-1

Tel./0558-72-7000

料金/1室1泊96,950円~(2食付・2名1室利用)※2026年1月現在

https://www.asaba-ryokan.com/

Text: Yuka Kumano

Read More

元記事で読む
の記事をもっとみる