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「叶わぬ恋」と思っていた憧れの人と同居することに! 片思い拗らせ男子と訳ありアラサー男性が紡ぐ優しくて温かい物語【書評】

  • 2026.3.2

【漫画】本編を読む

『1LDKとふたり』(和間そばえ/KADOKAWA)は、訳ありアラサー男性と彼に片思いをしている青年が、ひょんなことから同居するところから始まる物語だ。

飲食店で働く青年・司は、常連客の男性・幸人に、2年以上もの間、密かに思いを寄せていた。しかし幸人はいつも彼女を連れて店を訪れており、司にとってその恋は、遠くから眺めることしかできない、文字通りの「叶わないもの」であった。

ところがある時、物語は思いがけないかたちで動き出す。周囲の期待に応えようと無理を重ねてきた幸人が、退職をきっかけに仕事も恋人も、そして住む場所さえも失ってしまうのだ。途方に暮れる憧れの人を前に司は、どこにも行くところがないのであれば、自分の家に来ないかと思わず声をかける。こうして、ふたりの同居生活が幕を開け、司の「日常」は劇的な変化を迎えることとなった。

幸人はしっかりしている人物と思われがちだが、実際はそうではない。だから周りからの期待と自分とのギャップに心を擦り減らしていた彼にとって、自分自身を見てくれる司の存在は大きな救いとなったはずだ。司がかける言葉や差し出す温かい食事、そして何気ない会話のひとつひとつは、疲弊していた幸人の癒やしとなっていく。

一方で、司の視点から描かれる葛藤が胸を打つ。幸人と過ごす日常の断片にこの上ない幸せを噛み締めながらも、司は自身の恋心を懸命に押し殺さなければならない。弱っている相手につけ込んでいるのではないかという後ろめたさと、いつかこの生活が終わるのではないかという予感。「友達」という枠をはみ出せないまま、誰よりも幸人を思う司の献身的な姿が心に深く突き刺さる。

どこかに「自分の居場所」を求めているすべての人に寄り添ってくれる本作。司と幸人が紡ぐ、不器用で優しい物語の行く末を、最後まで温かく見守りたい。

文=つぼ子

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