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憧れと現実は大違い!? 深夜稼働のデザイン事務所で踏ん張る女子の、切実で愛おしい仕事奮闘記【書評】

  • 2026.3.14
©ねむようこ/祥伝社 FEEL COMICS」
©ねむようこ/祥伝社 FEEL COMICS」

【漫画】本編を読む

思い描いていた仕事を今の職場で実現できないと悟ったとき、すぐにでも辞めたいと思うのが自然な考え方だろう。しかし、一度、職場の人間関係に愛着を持ってしまったならば、慣れ親しんだ場所が離れがたくなる気持ちもわかる気がする。

2013年に本田翼主演でドラマ化もされた『午前3時の無法地帯』(ねむようこ/祥伝社)は、イラストレーターを目指していた新卒の女の子・ももこが、ひょんなことから就職したのは一風変わったデザイン事務所で、クセの強い先輩たちに囲まれながらも目の前の仕事に向き合っていく物語だ。

デザインの専門学校を卒業した主人公のももこが就職した先は、タバコの煙が充満したパチンコ専門のデザイン事務所。夜中の3時になっても作業が終わらず、会社で寝泊まりして稼働を続けるブラックな仕事場で、同期の女の子は入社して早々に飛んでしまう。

イラストレーターになる夢を諦められないももこも、退職願を出すタイミングを模索する。しかし、次々と手渡される納期間近の仕事や、個性豊かな先輩たちからの無茶振りに対応するうちに、徐々に今の職場にも愛着を持つようになっていく。彼氏との関係が上手くいかずに泣いたり、職場で交わされる他愛のないやりとりに笑ったり。人間味あふれるももこの喜怒哀楽が、自然な濃度で詰め込まれているのが本作の特徴だ。

情緒豊かなモノローグや先輩たちとの何気ない会話からも、揺れ動く彼女の心情がつぶさに伝わってくる。心の内で「辞めたい」と連呼しながらも、やりがいのある瞬間は確かに存在している。温かく見守ってくれる周りの人々の優しさに触れるたび、ももこが辞めるか続けるか葛藤するのも無理はないと、ついつい共感してしまう。

実際、現実でも憧れの仕事につけずに、今の職場で悶々とした時間を過ごしている人も多いのではないだろうか。本作は働く人々の置きどころのない感情に寄り添いながらも、煩わしさを感じることが多い職場の人間関係に愛おしさを感じさせてくれる物語だ。

文=ネゴト / ばやし

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