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ヒット曲を連発するも歌手活動休止【庄野真代さん・71歳】「まぁ、いいか」は、人にも自分にもやさしくなれる、魔法の言葉

  • 2026.1.28

ヒット曲を連発するも歌手活動休止【庄野真代さん・71歳】「まぁ、いいか」は、人にも自分にもやさしくなれる、魔法の言葉

40代で大学入学、50代でNPO法人の設立、60代からのチアリーディング挑戦––––。軽やかなスタンスで次々と新しい扉を開けてきた歌手の庄野真代さん。そんな庄野さんに、前へ進む勇気をくれる「言葉」とは?

PROFILE
庄野真代さん 歌手

しょうの・まよ●1954年大阪府生まれ。76年に歌手としてデビュー。
2000年、音楽活動と並行して法政大学人間環境学部に入学し、英国留学を経て、06年に早稲田大学大学院アジア太平洋研究科を修了。
同年にNPO法人「国境なき楽団」(現・市民活動団体「国境なき楽団PLUS」)を設立。
「子ども食堂 しもきたキッチン」主宰。

傷つくこともあるけれど“素の私”で生きていきたい

「飛んでイスタンブール」などのヒット曲を連発し、多忙な日々を送っていた1980年。歌手の庄野真代さんは音楽活動を休止し、2年間の世界一周の旅へ出た。多くの人が驚いた大胆な決断。しかし庄野さんにとっては、自然な流れだったという。

「『そうだ、旅人をやってみよう!』と思いついて出発した。ただそれだけなんです。たとえるなら、エステに行ってみよう、くらいの感覚でしょうか(笑)。だから皆さんが思われるような、“人生の決断”というわけではなかったんです。私はやりたいことを思いついたら、まず自分にGOを出すタイプ。一歩足を踏み出してから、『じゃあ、このGOを成功させるためには?』と考えるんです。もし、これは無理だな、自分に合っていないなと思ったら、足を引っ込めればいい。計画性はゼロだけど(笑)、その気質のおかげで、いろいろなことにチャレンジできたのかもしれませんね」

40代で大学入学、50代でNPO法人の設立、60代からのチアリーディング挑戦––––。軽やかなスタンスで次々と新しい扉を開けてきた庄野さんだが、歩む場所が変わっても、心の軸にはいつもある言葉があった。

「どこで聞いたのかは忘れてしまったのだけど、『素敵とは、“素手”で“敵”に向かうことだ』とおっしゃっていた方がいて。それを聞いて感動したんです。武器を持たず鎧もつけず、ありのままの自分で人と向き合う。私もそんなふうに“素敵”に生きていけたらって」

【素敵に生きる】

ここでの「素敵」とは、「素手で敵に向かう」こと。本来の語源とは異なるものの、飾らない心で生きることこそが本当の強さだという思いが込められている。「嘘をついたり、見栄をはったりせずありのままの自分でいたいものですね」

素手で向き合えば傷つくこともある。ときには行き詰まったり予想外の事態が起きたりすることも。

「そんなときにつぶやくのが、『まぁ、いいか』。口にすると不思議と気持ちが切り替わり、『こういう人もいるよね』『そんな考えもあるんだね』と思えるんです。以前は『仕方がない』と思っていたけれど、そこにあったのは諦めの気持ち。だから不満が残るんですよね。でも『まぁ、いいか』は、前向きなリセットを促してくれる気がして。ネガティブな感情も、しゅっと一瞬でなくなっちゃう!」

「まぁ、いいか」精神を身につけたのは、還暦を過ぎた頃。「子育て中にこの言葉を知りたかった!」と、庄野さんは苦笑いを浮かべる。

「子どもが小さい頃は、いつもカリカリして、鬼の形相で雷を落としていましたから(笑)。あの頃『まぁ、いいか』と思えていたら、もっとラクになれたんじゃないかな」

今は、この言葉を自分自身への許しとしても役立てているという。

「失敗しても『まぁ、いいか、次があるさ』と思えたら、きっとまた次の一歩が踏み出せる。『まぁ、いいか』は、人にも自分にもやさしくなれる、魔法の言葉なんです」

【まぁ、いいか】

物事が思いどおりに進まないとき、心をふっと軽くしてくれる魔法の言葉。「努力しても、結果が伴わないことは誰にでもあります。そんなときこそ、『まぁ、いいか』。自分を責めても落ち込むだけ。許すことで、また前へ進む力が生まれる気がします」

今も耳によみがえる祖母の「おおきに」の声

庄野さんには、最近よく思い出す光景がある。

「祖母は誰に対しても、どんな場面でも『おおきに』と言う人で。折に触れてその姿を思い出すんです。私自身、年を重ねるごとに周囲への感謝の気持ちが強くなっているからかもしれませんね」

感謝の思いを伝えるために、近頃はメールの返事ひとつでも、必ず『ありがとう』から書き始めているという。

「目に見えるもの、見えないもの、すべてにやさしくありたいと思うんです。『ありがとう』は、その初めの一歩。自分の言動が誰かを傷つけてしまうことがあるからこそ、この気持ちは忘れたくない。これからも、『ありがとう』を大切に伝え続けていこうと思います」

【ありがとう】

日々の暮らしの中で出会う人、起きる出来事、さらには“見えない支え”にまで向けられる感謝の気持ち。「2018年に始めた『子ども食堂 しもきたキッチン』。その活動の中で、無償で支えてくださる方々の存在に触れ、改めて感謝を伝える大切さを実感しました」

※この記事は「ゆうゆう」2026年2月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

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