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バス運転手をレンタル移籍 北海道の「稼ぎどき」に観光と生活を一緒に守る切り札に

  • 2026.1.26

路線バスの減便や廃止の背景に…

深刻な運転手不足に悩むバス会社が、全国初のアイディアで運転手をスカウティング。地域の住民も喜んでいます。

2025年、路線バスの減便や廃止が過去最大規模で進んだ道内。特に札幌圏のバス各社は、2回のダイヤ改正で路線を大幅に整理しました。
2026年4月のダイヤ改正でもさらに整理を進めることが予想されます。

理由は、深刻な運転手の不足です。

2023年に行われた北見や小樽のバス運転体験会ではバス会社も運転手のスカウトに躍起ですが、解消には至っていません。

手慣れたハンドルさばきのワケは

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そんななか、道南バス苫小牧営業所には手慣れたハンドルさばきの男性が。
それもそのはず、現役の運転手です。

広島県のバス会社から室蘭の道南バスに冬だけ「レンタル移籍」でやってきたのです。

道南バス営業部の高本克彦部長は「当社は運転手不足なので期待している」と話します。

運転手確保の新たな一手に。バス会社の「スカウト作戦」を取材します。

広島からベテランの運転手

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道南バス 苫小牧営業所 濱田 浩明さんと横山 博己さん

苫小牧市で開かれたのは、道南バスの「入社式」。
濱田 浩明さん(49)と横山 博己さん(64)は2026年1月から3月までの間、広島県のバス会社から出向運転手として働きます。

濱田さんは、運転手歴10年以上のベテラン。横山さんも25年の運転経験があります。

2人は中国地方でツアー客などを乗せる貸切バスの運転を担当していますが、オフシーズンの冬、乗務はめっきり少なくなります。

一方、ニセコエリアを営業範囲に持つ道南バスにとって、冬はまさに「稼ぎどき」。
需要が見込まれる「貸切バス」に運転手を回して、収益を増やしたいところですが…。

道南バス営業部の高本克彦部長は「ちょっと運転手が足りない」と切実さを訴えます。

「生活の足」を失わないように

道南バスは、ニセコエリアの貸切バスだけではなく胆振・日高地方の「路線バス」の運行も担っています。
利用者の減少で 路線の維持が難しくなっていますが、鉄道を失った日高地方の住民にとって、バスは欠かせない「生活の足」です。

路線バスを運行しつつ、観光シーズンの貸切バスの需要にも対応したい。
冬だけでも多く運転手を確保できないか…。

出したアイディアが、「レンタル移籍」の運転手の受け入れでした。

2社をマッチングした商工中央金庫の髙橋武顕副参事役は
「北海道に運転手を呼び込むことで、結果的に北海道の観光需要の機会損失の防止につながる」と期待を込めます。

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道南バスは、受け入れた2人に冬の間、苫小牧や千歳など、比較的雪が少ない地域の「路線バス」の運転を任せます。
その間、ほかの運転手を、札幌と登別温泉を結ぶ観光バスや貸切バスなどの運行に回すことで、冬の観光客を取り込みたい考えです。

利用者の声は?

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この取り組みを路線バスの利用者は歓迎しています。

「いいことだと思う。車をやめた人には、バスは必要。便数を減らさないでほしい」

「利用はほとんど毎日。だからバスがないと困る。人材をどんどん入れて、来てくれるのであれば本当にいい」

自ら手を挙げた運転手も

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道南バスにレンタル移籍した濱田 浩明さん(49)が任されたのは慣れない土地での路線バスの運転。
これまでのような貸切バスではありませんが住民に頼られる運転手を目指しています。

「北海道に行かせてくれるなら行きますと手を挙げた。1個1個、確実に勉強しながら無事故で運行したい」と話します。

全国でも初の試み

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北海道運輸局によりますと、これまでにも「貸切バス」の運転手の確保を目的とした人材の交流はありましたが、今回のように「路線バス」の運転に特化した「レンタル移籍」は、全国でも初めての試みということです。

北海道バス協会によりますと、道内の加盟社に所属するバス運転手の数は、2024年9月の時点で5308人。
ピークの1993年から、34パーセントほど減っている状況です。

HBCテレビ「今日ドキッ!」のスタジオでは、ゲストコメンテーターの小橋さんに運転手不足についての意見を聞いてみました。
小橋さんは、バスガイドの経験があります。

「人の命を守りながらの責任ある業務に対して、会社次第かもしれませんが対価が必要だと思います」

「ただ、私の友人でも、夏の忙しい時期に島だけ行くとか、特化した運転手さんやガイドさんがいます。そういう形で、全国を俯瞰で見て、今回のような試みが大きく広がっていくのではないかと感じました」

ニーズに応じた運転手の活用を

幼稚園園長でHBCテレビ「今日ドキッ!」ゲストコメンテーターの薮淳一さんは「ニーズがあるのに運転手さん不足で応えられないというのは、バス会社にとってはもちろん、観光地にとっても損失だと思うので、興味深い取り組みだと思います」と話します。

「幼稚園は、園児を送迎するバスがあって、運転手さんは大型2種の免許を持っています。ただ、冬休みや夏休みはバスを運行しないので、運転手さんがひまなことも多いです。冬休みや夏休みの幼稚園バスの運転手さんを、うまく活用するということもできるかもしれません」

今回の例だと「慣れないところに行って冬道が不安」という声もありましたが、日陰のアイスバーンなど滑りそうなところを重点的に練習して、実務の研修も受けてから実際に運転するそうです。

今回の取り組みは、バスだけでなく公共交通全体で、前例のないことに取り組んで対策を打っていくということが大事だと感じました。

文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あま

※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年12月26日)の情報に基づきます。

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