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『M‐1』から1ヵ月、「カナメストーン」が止まらない! “究極の内輪ノリ”なのに誰も1人にしない人間力

  • 2026.1.25
カナメストーンのメンバーの(左から)山口誠・零士 ※「カナメストーン・零士」エックス width=
カナメストーンのメンバーの(左から)山口誠・零士 ※「カナメストーン・零士」エックス

“史上最高の大会”との声もある『M‐1グランプリ2025』。1万組以上の漫才師の死闘を制したニュースター・たくろうや、歴代2位となる審査員平均点をたたき出したエバース。猛者たちの活躍に胸が熱くなった一夜から約1ヵ月が経ち、決勝進出メンバーのなかでも今気になりすぎるコンビ「カナメストーン」に注目。もともと、東京のライブシーンでは実力者として知られていたが、ラストイヤーに敗者復活戦を経てもぎ取った決勝の舞台でついに世に“見つかった”2人。早くもじわじわとメディア出演が増えてきている。“今”という時代に求められるカナメストーンの魅力について語っていきたい。

【写真】ハタチのカナメストーン あの頃は眼球ではなく○○にキス

■みんな、こんな相手が欲しかった 仲良しすぎる日常が眩しい

「中学からの同級生、零士と山口で、カナメストーンです!」という自己紹介の通り、2人は鹿島中学校の同級生。ハイトーンボイスと太陽のような笑顔がまぶしい零士と、「ナニッ」「モチロン」「ウソダロッ」など独特な“用語”を操る山口誠、この2人が見せ、聞かせてくれるものはどれもいわゆる“部室ノリ”である。ラジオもYouTubeも、常にお互いがお互いの言動で爆笑している。そして我々視聴者も、いつの間にか鹿嶋市立鹿島中学校サッカー部の部室にいるような、カナメストーンのメンバーに巻き込まれたような感覚に陥っていく。カナメストーンを見ている時、孤独な人はこの世から消えるだろう。

ここですごいなと思うのが、最新の投稿でも数年前の投稿でも2人がまったく変わっていないことだ。人間、夫婦でも同僚でも友人でも、ずっと一緒にいれば何かしら不満はつのるもの。しかしこの2人、一軒家で16年間同居していながら、とにかくお互いのことが大好きなんだということが伝わってくる。

1月に公開された動画で、山口が零士のためにチャーハンを作るというものがある。2人の家はとても清潔とはいいがたい状態であり、調理道具も不十分(プロテインシェーカーでエビを解凍したり)。山口の調理工程はまさに“男の料理”といった感じ。しかし、零士はそんな山口を撮影しながら常に褒める。とにかく褒める。そして一口食べ、ものすごく美味がる。そして感謝するのだ。

このチャーハン動画の最後に、零士からお礼になにをしてほしいか問われた山口は「またホットケーキを作ってほしい」と頼む。2年程前の動画に、零士が山口のためにホットケーキを作るものがあるのだが、こちらでは料理初心者の零士の不慣れな手際をとにかく山口が褒め、感謝し続けている。どうやらこの2人、どちらかがバランスを保つため我慢しているとかではなくて、ただただ常に感謝を伝えあい、相手をリスペクトしながらもイジり、お互いがお互いのために日々を彩っている。芸人の関係性を恋愛に見立てるのはあまり好きではないが、1人の相手と長く良好な同居生活を営んでいるという点において、すべてのカップルや夫婦はカナメストーンの関係性を参考にするといいと思う。仲良しレベルが高すぎるので真似するのは難しいが。

■武器・漫才。無駄なボケこそ美しい

カナメストーンの武器といえばやはり、15年間磨き続けた漫才だ。2025年『M‐1』敗者復活戦で披露された「娘を守れ」、そして決勝の舞台で披露された「ダーツの旅」は、どちらも結構ホラー展開だしグロテスクである。そこに、初見でも「絶対に親友だ…」と分かる2人の空気感や、審査員のフットボールアワー後藤輝基が「日本中のイルカがこっち向いてると思う」と例えた零士の高音でポップなツッコミが加わることで、ホラーな展開から“怖さ”を徹底的に排除する。ホラーの恐怖抜き。なんだそれは。しかしそれがカナメストーンが15年かけてたどり着いた漫才である。

そんな唯一無二の視点、展開ももちろん面白いが、注目すべきはその周りにちりばめられた多数のボケ。山口のピンポイントすぎるモノマネ、零士の「○○するんだよ! カナメストーンのメンバーだったら!」というネタ入り、そしてネタ終盤に振り回されすぎて不機嫌になってしまった零士の“機嫌を直す”ためのボケ。年々競技化し、いかに無駄を排除し研ぎ澄まされたボケを入れ込むかという戦いになりつつあった『M‐1』での漫才には、必要ないかもしれない。でも2人は自分たちが楽しいと思うものを変えず、ライブでの反応を日々見極め、『M‐1』に求められるスタイルではなかったとしても、結果的に東京でのライブシーンをまるごと『M‐1』に認めさせてしまったのだ。

■カナメストーンは令和にこそ求められる2人だ!

殺伐とした現代社会に生きる誰もがいつしか思い出の奥にしまい込んだ青春、それを現在進行形で謳歌するカナメストーン。彼らにしかできない漫才という武器を多数持ち、『M‐1』で知名度も手に入れ、まさに今年はついに売れる年だ。ネタ番組はもちろんドッキリでもトークでも食レポでも、実は芸人界屈指のオシャレコンビなのでファッション仕事もこなせるはずの2人。すぐにスターになりそうだが、あえて弱点を探すなら、「ピンの仕事が心配」なことだろうか。

仕事場ではもちろん、家でも、飲みに行ってもいつも一緒な2人。コンビで出演したラジオ『川島明のねごと』(TBSラジオ)では、本人がピンでの仕事への心配を吐露。2人そろって「多分、お互いの現場についていきます」として、パーソナリティの麒麟・川島を困惑させていた。とはいえこの2人、一緒にいないところが想像できないので、今後の働き方が非常に気になるところだ。

お笑い界の「相方とは仲が悪い方がかっこいい」という流れはここ数年に完全に終了した感があり、むしろプロモーション的に仲の良いところを過剰に見せるコンビも少なくないが、カナメストーンの仲の良さは他のコンビとは一線を画す本物感がある。これは確実に今の世の中に求められているものであり、近い将来にも2人がバズり、若者が半角カタカナで話し始める気がしてならない。(文・小島萌寧)

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