1. トップ
  2. おでかけ
  3. 悠久の歴史に触れ、英気を養うご利益巡りの旅【三重県・熊野で世界遺産を巡る】

悠久の歴史に触れ、英気を養うご利益巡りの旅【三重県・熊野で世界遺産を巡る】

  • 2026.1.23

古くから神々が住まう聖地として崇められ、その参詣道「熊野古道」は世界遺産に。悠久の歴史と伝説に彩られる自然あふれる三重県熊野市で心身ともにパワーチャージ、ご利益巡りの旅に行ってきました!

「熊野古道」って一体、どこ⁉…から旅がスタート

「熊野古道」と聞いてすぐに、どこのことだかわかりますか? 熊野古道とは、紀伊半島南部にある熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)への信仰が広がった平安中期以降、その参詣道として多くの人々が通った道のこと。2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」という名称でユネスコ世界遺産にも登録されています。
熊野古道は三重県、和歌山県、奈良県にまたがっており、伊勢から紀伊半島を東回りする「伊勢路」と、京都や大阪から西回りする「紀伊路」に大きく分けられ、いくつかの参詣ルートがあります。紀伊路は上皇など身分の高い人が利用したルートに対し、三重県側からの伊勢路は伊勢参りから熊野三山へ向かう庶民の参詣道として、江戸時代から多くの人々に利用されてきたのだとか。伊勢から熊野までのルートでも全長約170kmも! おそらく今よりも格段に歩きにくい山道を、すべて歩きで詣でていたって本当にスゴイことです! 熊野は浄不浄、貴賎も問わず、女性も病気の人もすべて平等に受け入れてきた地としても有名。ご利益をいただけるパワースポットとして、伊勢参りと並び熊野詣は古くから浸透していたそう。

今回は三重県熊野市、伊勢路の一部を歩く旅へ!

東京からなら名古屋まで新幹線で。名古屋で特急「南紀」に乗り換え。

名古屋まで新幹線で向かい、特急「南紀」に乗り換え。三重県・熊野までは名古屋から特急で約3時間の旅。思っていたよりも遠い! ですが電車の中で仕事をしていたらあっという間。絶大なるパワーを感じる世界遺産への旅はワクワクが止まりません!

名古屋から約3時間で、満を持して熊野市駅に到着!

まずは地元の人気店「花のいわや亭」で昼食に「熊野三山定食」をいただいて腹ごしらえ。熊野近海魚のお造り、おいしかった!

【熊野のパワースポット1】神々が宿る熊野古道・松本峠を歩き、絶景を拝んでリフレッシュ

世界遺産・熊野古道 松本峠の入り口。

熊野古道・松本峠の語り部の西山さん。語り部歴13年、ユーモアあふれるトークで地元の魅力を伝えていくベテランさん。

かつて熊野詣でをする人は「先達」という人に道中案内をしてもらいながら詣でていたそう。今回の熊野古道歩きは、文化や史跡、熊野古道沿いの王子社、お地蔵さま、道に刻まれた歴史などを紹介しながら古道を案内してくれる「語り部」さんの案内で。
「今回歩く松本峠は、道のほとんどに石畳が残り、近くにはさまざまなパワーあふれる名所もたるのが魅力。峠の東屋からは絶景が楽しめるので、みなさん、張り切っていきましょう!」
 

レンタルした衣装を着て熊野古道を歩けば、雰囲気たっぷりの写真に。

山の形を削らずに、自然の地形を生かして石段が作られている。

高い木々に囲まれた石畳を有するこの道こそが、世界遺産・熊野古道。一歩足を踏み入れた瞬間から、どことなく厳かで神秘的かつ清らかな空気を感じる場所。〝道〟としての世界遺産は世界的にも珍しいのだとか。世界遺産としての歴史的・宗教的価値はもちろんのこと、雄大な紀伊半島の自然を全身で感じ、一歩また一歩と歩くたびに、自分の中に溜まったなにかが浄化されていくような実感が…。
「熊野の人たちは熊野の神様の魅力を全国行脚して広めたおかげで、全国に熊野神社は4776もあるんです! その総本山・熊野三山につながる道が熊野古道なんです。伊勢路は江戸時代に多くの庶民に親しまれた道ですが、石畳は大きい石ほど古いもの。その歴史と人々の想い、神々のパワーをぜひ感じてください」(語り部・西山さん)

見上げると、木々からキラキラとあふれる光が心地いい! 久々の山歩き、リフレッシュ感が半端ない!

松本峠にあるお地蔵様。大きなお地蔵様は妖怪に間違えられて、鉄砲で打たれたという伝説も。

松本峠・東屋からの、ずっと見ていたくなる絶景!

古道の石畳の山道を1時間ほど歩くと、東屋に到着。東屋からは七里御浜を臨む絶景が! 「西国三十三所名所図会」のさし絵にも描かれている、古くから人々に感動と癒やしを与えてきたすばらしい景色。雲の隙間から降り注ぐ陽の光がまた神々しく、絶景を眺めているだけで最高のリトリートに。

ここでも熊の目撃情報が…。熊野古道歩きもくれぐれも注意を払って。

松本峠を下る途中には桜(クマノザクラ)が植樹されており、数年後の春にはまたすばらしい桜景色が望めそう!

松本峠は標高135mほどの低山なので気温は平野部とあまり変わらないそう。できればリュックなどで両手があき、歩きやすい靴・服装が基本。山なので虫などから肌を守るために、夏でも露出は控えたほうがよさそう。
松本峠は2時間程度、軽いトレッキング感覚で歩きやすいので、山歩き初心者にもおすすめ。

【熊野のパワースポット2】鬼ケ城で自然が織りなす芸術に触れる

名勝・鬼ケ城も、世界遺産の一部。

ダイナミックな岩肌に沿って配された遊歩道をアトラクション感覚で楽しめる。

ミュージックビデオのロケにおすすめしたくなるような抜群ロケーション!

松本峠の古道を歩き、下ってきた先にある「鬼ケ城」。隆起と波の浸食により、自然の造作でできた岩肌や舞台のようなダイナミックなロケーションが見もの! 国の名勝・天然記念物でもあり世界遺産でもある「鬼ケ城」も、松本峠のトレッキング後にセットでぜひ。
かつて桓武天皇(737~806)の頃、この地に隠れて熊野の海を荒らし廻り、鬼と恐れられた海賊を、天皇の命を受けた坂上田村麻呂が征伐したという伝説が残っている場所。岩肌に沿って遊歩道が配されているので、時間に余裕があれば海風&波の音を感じながら、歩くのがおすすめ。心ももやもやが晴れ、スッキリ浄化される感覚が味わえそう!

ちなみにこの夜は、「海ひかり」に宿泊。海&山の幸と銘酒を存分に堪能させてもらいました!

翌朝は熊野の干物を食べ放題の彩り豊かな健康朝食を! 干物を選び、自由に目の前のバーナーで焼くのも楽しい。

【熊野のパワースポット3】「川の世界遺産」の旅で心のうゆとりを手に入れる

昔ながらの製法で作られる川船「三反帆」。

まずは「三反帆」の歴史を解説。

三反帆を作り続けて数十年の舟大工の匠・谷上嘉一さん。歴史ある寺社に奉納する舟も制作しているのだとか。

三重県と和歌山県の県境を流れる熊野川は熊野本宮大社と熊野速玉大社を結ぶ「川の参詣道」として世界遺産に登録されているので、伝統的な「三反帆」でのクルーズは「川の世界遺産」を体験できるとても貴重なアクティビティ。
今回は熊野川沿いで伝統的な川舟を使い、その魅力を伝え続けている「熊野川体感塾」へ。もともと熊野川は、平安・鎌倉時代に熊野本宮大社を参拝した上皇たちが、舟で川を下ったことから「川の参詣道」とも言われていて、昭和30年代半ばまではこの一帯に住む人たちの生活物資の運送や交通として川舟が広く活用されてきたのだとか。その後、船での運搬はなくなり、川舟の文化は途絶えてしまったそうですが、その歴史・文化を伝えるために船大工の谷上さんが仲間とともに立ち上げたのが「熊野川体感塾」。
全長8.6m×幅1.6mの三反帆は、熊野川の激しい流れにも対応できるよう各所に工夫が施されて作られており、漁にでるときも安定感があり、浅い岸にもつけやすい作りに。さらに風を利用して三枚の帆で進むことができる仕様。川舟にはスギ、ヒノキ、ケヤキ、カシなど熊野川流域の森林から調達した木材で作られていて、1艘作るのに約2か月を有するのだとか。
現在ではこの地に「三反帆」の船大工は唯一ひとりの谷上さんはサラリーマンをしながら約40年、最初は独学で舟づくりを始め、船頭をして、その歴史を伝える役目を担っているそう。

網笠をかぶって、いざ出航!

現在の「三反帆」はモーターがついていますが、モーターを止め、風の力で悠々と静かに動く時間も楽しんで。

帆をたなびかせながら進む舟の上での時間はとても優雅。川のせせらぎ、鳥のさえずり…都会の喧騒から逃れ、予定を詰め込みすぎずにのんびり過ごす旅もたまには、いいものです♪ ふわふわと川に浮かびながら、しばし脳内リフレッシュ。大自然の中で、悠久の歴史に思いを馳せる時間を…。

【熊野のパワースポット4】熊野速玉大社で縁結び&家内安全を祈願

鮮やかな朱色の社殿が美しい!

「三反帆」で川下りした到着地から徒歩数分のところにある「熊野速玉大社」。こちらは熊野三山のひとつで世界遺産でもあり、深い信仰を集める霊場として知られる神社。境内には、朱色の堂々たる社殿とともに、国の天然記念物に指定される樹齢1,000年ともいわれる御神木・ナギの大樹もあり、長く深く人々に親しまれてきた歴史と神秘的なパワーをひしひしと感じられます。熊野神宝館には国宝が約1,000点以上も保管され、その一部が公開中。歴史好きにはたまらない空間に。
こちらには日本初の夫婦となった熊野速玉大神と熊野夫須美大神の夫婦神を祀られていることから、縁結びや家内安全にご利益が。こちらの熊野速玉大社は前世の罪を清めるともいわれており、熊野那智大社は現世の縁を結び、熊野本宮大社は来世を救う、とされており、熊野三山を巡ることで過去・現在・未来のすべての平穏無事を祈願できるのだそう。熊野速玉大社への参詣は、過去を清算しデトックスして、いい気を得るための好機に!

「熊野速玉大社」も世界遺産の一部。

あでやかな朱色の社殿は、視覚的にもパワーチャージできそう!

願いをしたためて…。

名物の「もうで餅」もぜひご賞味を。お餅であんを包み、玄米粉をかけたもの。 熊野の”素朴さ” ”暖かさ” 重厚さ” をイメージした和菓子だそう。

【熊野のパワースポット5】古くから伝わる伝統食・めはりずしでシンプルに胃を満たす!

日本最古のファーストフードともいわれる伝統食!

紀州・熊野地方に伝わる「めはりずし」は、握り飯を浅漬けの高菜の葉で包んだシンプルな伝統郷土料理。今回はランチに熊野市観光公社へうかがい、このめはりずしとさんまずしを自分で作っていただく体験をさせてもらいました。

自分で作ったおすしはおいしさもひとしお!

「めはりずし」とは、「目を見張るほど大きな口を開けて食べる」、「目を見張るほどおいしい」ことから「めはり」と名付けられているそうで、山での作業の合間におにぎり感覚で食べられていたもの。「さんまずし」は古くから神事やお祝いの席で食べられていたもので、日本で一番古い書物である日本書紀にも記載があることから、熊野地方がさんまずし発祥の地と言われているそう。
飽食の時代だからこそ、古くから親しまれているシンプルでヘルシーなお寿司は身に沁みるおいしさでした!

【熊野でパワーチャージ その6】日本最古の神社・花の窟神社で、強くしなやかな心と癒しをチャージ!

境内に入る前から厳かな雰囲気がひしひしと。

日本最古の神社のひとつと言われている。

花の窟神社は神々の母である伊弉冊尊(イザナミノミコト)が火神・軻遇突智尊(カグツチノミコト)を産み、灼かれて亡くなった後に葬られた御陵。こちらも「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として、世界遺産に登録されています。花の窟神社は日本書紀には「国産みの舞台」として登場し、日本最古の神社といわれており、古来から信仰の厚い聖地として崇められ、日本各地から参拝者が後を絶たない場所です。

御神体はなんと岩!

鳥居をくぐり、中へ…。こちらの神社には社殿がなく、御神体が高さ45mの岩(窟)なのが斬新! 岩の神社にうかがったのは人生初です! しかもご神体の岩に直接手で触れることができるのもスゴイところ。太古の自然崇拝の遺風が漂う神社への参詣で、並々ならぬパワーをいただけた気がします。こちらの神社では、安産、子育て、家庭円満、女性の健康、恋愛成就など、女性の神様なだけあり、女性にとってありがたいご利益がいただけるのだとか。

神事でかけられる全長170mにも及ぶ大綱。

年2回行われる例大祭では、神々に舞を奉納し、日本一長いといわれている約170mの大綱を岩窟上45mの高さの御神体から境内南隅の松の御神木に渡す儀式が。この「御綱掛け神事」は、太古の昔から行われており「三重県無形文化指定」されているそう。境内を見上げるとはるか上空で御神体から御神木に大綱が渡され、境内を縦断し固定されているのが確認できるのですが、古くから伝わる儀式にも壮大な歴史を感じ、綱ひとつとっても神々しすぎる!
悠久の歴史に触れ、時の流れがゆるやかな自然にあふれる山景色に癒されて、本来の自分を取り戻す……。熊野古道は人生の節目のリチャージにおすすめしたい旅先でした!

photo&text:noriko monji

元記事で読む
の記事をもっとみる