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阪神・淡路大震災から31年 災害時は偽・誤情報に注意 元刑事が説く「フェイクニュース」の正しい“見分け方”

  • 2026.1.17
災害時はフェイクニュースに注意(画像はイメージ)
災害時はフェイクニュースに注意(画像はイメージ)

1995年1月17日に「阪神・淡路大震災」が発生してからきょうで31年を迎えました。2025年後半から震度5弱以上の地震が日本各地で相次いでおり、鳥取や島根をはじめ、東北から関東、九州に至るまで、地震は特定の地域に限らず発生しています。

こうした状況の中で、地震そのものの被害に備えたり、新聞やテレビなどの報道を小まめに確認したりするのはもちろん大事ですが、それとは別に注意しておきたいことがあります。それは、偽情報や誤情報などのいわゆる「フェイクニュース」です。

災害時には、不安や焦りから、もっともらしい情報が疑われないまま拡散されやすくなります。その結果、避難行動や行政対応に混乱を招く「情報災害」が、実際の被害をさらに拡大させるケースも少なくありません。これまで刑事として、事件や事故の現場で、真偽不明の情報がどれほど人の判断を狂わせるのかを数多く見てきた筆者が、災害時に広がるフェイクニュースの特徴と、その見分け方について解説します。

ニセ映像の特徴と拡散の実態

2025年12月8日の深夜、青森県東方沖を震源とする地震が発生し、同県八戸市では震度6強を観測しました。揺れの恐怖に包まれる中、SNS上では「津波が3メートル」「家屋が倒壊」といった映像が次々と投稿されました。

ところが、その多くは生成AIによる偽動画や過去災害映像の流用だったのです。さらに、総務省消防庁をかたる虚偽メールが自治体に送られ、「女川原発が損傷し炉心溶融の危機」と記されていました。消防庁は「そのようなメールは送っていない」と否定し、注意を呼びかけました。

TikTokやYouTubeでは“現場の様子”を装う動画が多数出回りました。動画を見ると地震が発生した時間帯が深夜のはずなのに昼間のように明るく、影の方向が不自然で、電線や窓枠がゆがんでいました。中には生成AIツールのウォーターマーク(透かし)が残っていたものもありました。

このような短尺で感情を揺さぶる編集が施された動画が出回ると、検証前に多くの人に共有されてしまいます。ニュース番組風のテロップや公的機関風のロゴが貼られると、視覚的な“権威”に引き寄せられ、善意の共有が逆に偽情報の露出を増やす結果となります。

フェイクはなぜ作られ、拡散するのか

フェイクニュースが広がる背景には、「作り手の動機」「受け手の心理」「技術的仕組み」が三位一体で作用しています。

作り手は広告収入やフォロワー獲得を狙い、センセーショナルな映像でアクセスを稼ぎます。政治的意図、社会的意図を持つ者は政府や自治体への不信をあおり、世論を操作しようとします。義援金詐欺やフィッシングの“導線”としてニセ映像を利用するケースもあり、社会不安を増幅させること自体を目的にする悪意も存在します。「バズりたい」「技術を誇示したい」という承認欲求や遊戯性、風刺作品が文脈を外れて拡散されることもフェイクニュースの供給を増やす要因です。

一方、拡散する人の心理には「危険を知らせたい」という善意があります。その善意が未確認情報の共有を正当化してしまうのです。「誰よりも早く特別な情報を持っている」ということを示したい承認欲求や、「公式は真実を隠している」と考える陰謀論的思考も、疑念より拡散を優先させます。

そしてSNSは、反応を生む投稿を上位に押し上げます。恐怖や怒りを誘うコンテンツは最も強い反応を引き出すため、露出が増えやすいです。生成AIの普及によって誰でも本物“らしさ”を演出できるようになり、真偽判定はますます難しくなっています。こうした3つの要素が絡み合い、災害時のフェイクニュースは爆発的に広がるのです。

フェイクを見抜くためのコツ

捜査の現場では、もっともらしい証言ほど慎重に検証し、必ず裏付けを取ります。これは現代の情報社会でも全く同じです。強い映像や強い言葉に出合ったら、一歩引いて一次情報を確認しましょう。気象庁や自治体、防災担当の発表と照合し、映像や文言の時刻、場所、被害規模が一致しているかを確認することも大切です。具体的には次のように確認してください。

・過去災害の映像が再利用されていないか静止画化して検索する・テロップのフォントや配置が、ニュース風テンプレである可能性を疑う・投稿者の履歴を確認する

こうした基本動作だけでも精度は高まります。

また、次のような見た目の違和感も重要です。

・深夜発災なのに昼のように明るい光量・影の方向がバラバラ・電線や手すりの不自然な繰り返し・顔や指のゆがみ・看板の地名が実在しない・群衆の声が均一で環境音が途切れる。

ウォーターマークやAI生成のラベルは確度の高い手がかりです。こうした動画や画像をSNS上で見たときに違和感を覚えたら、すぐに拡散するのではなく検証するというのが“情報防災”の初動です。

刑事時代、筆者は「らしさ」に惑わされないことを徹底しました。もっともらしい証言ほど裏付けが必要なのは、災害時も同じです。強い映像や言葉を前にしたときは、一歩引いて一次情報や見た目の整合性、投稿履歴を照合しましょう。これだけでもフェイクニュースにだまされない確率は高まります。ぜひ意識してみてください。

治安戦略アナリスト・危機管理スペシャリスト 小比類巻文隆

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