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福岡大仏・東長寺参拝を10倍楽しむためのマメ知識 <地獄極楽巡りも>

  • 2026.1.9

福岡市内やその周辺に生活圏のある方なら、一度は見たことのある(もしくは知っている)『東長寺』の『福岡大仏』。

だけど、「大きい~!」という驚きだけで終わらせていませんか?

仏教検定1級の資格を持つ、私ツバキングが『東長寺』を深掘りして、さらなる魅力をお伝えします!

※大仏殿および本堂内は通常撮影不可ですが、取材で特別に撮影させていただきました。

「東長寺」なのに「東長密寺」と書かれているのはナゼ?

福岡市地下鉄・祇園駅から徒歩1分、JR・博多駅からでも徒歩10分という好立地、大博通り沿いに『東長寺』(福岡市博多区御供所町)はあります。

門前の碑には『東長密寺』とあるので、おや?と思う方がいるかもしれませんが……

東長寺 山門2
画像:Mr.tsubaking

こちらが真言宗(社会の時間に習いましたね)のお寺で、「密教」というグループに入る宗派であるためです。

あの空海(弘法大師)が806年頃に建立したお寺なんですよ。

ちなみに『東長寺』の裏手にあり、うどん・そばの発祥地としても有名な『承天寺』は禅宗のお寺なので、山門に『承天禅寺』と書かれているんですよ!

「福岡大仏」が10.8mになったワケ

山門をくぐって、右手にあるのが大仏殿。2階へ上がって拝観料(100円)を支払うと、「ドドーン!」と音が聞こえてきそうなほどの迫力で鎮座しているのが『福岡大仏』です。

木造座像としては、日本最大級の大きさなんだとか。

東長寺 福岡大仏2
画像:Mr.tsubaking

昭和63年から4年もの歳月をかけてつくられた高さ10.8mもの大仏ですが、なぜこれほど大きなものをつくろうと思い立ったのでしょう。

藤田紫雲名誉住職に話を聞いたところ、「この近くや博多駅の方にお勤めで、出勤前に朝参りをしていかれる方が結構いるんですよ。そういった方々に『大きい仏さんをつくってくれたら、頼りがいがあるよ』と言われて決めました」とのこと。そうして、知人の仏師に大きさの相談をしたそう。

「仏師さんが『10.8mにしましょう』とおっしゃったんです。理由を聞いたら、人間には108の煩悩があるとされているので、それに合わせて作りましょうと」。

木造の如来像で日本一の大きさを誇る『福岡大仏』は、こうして誕生することになりました。

制作の様子の写真も、迫力満点。必見ですよ!

東長寺 福岡大仏4
画像:Mr.tsubaking

釈迦如来像を選んだ住職の思い

『福岡大仏』と通称されていますが、正式には「釈迦如来坐像」。

ここで筆者は気になりました。

このお寺で大仏をつくるならば、真言宗の中心仏である「大日如来」か、その化身である「不動明王」をつくりたくなりそうだけど、なぜ「釈迦如来」なんだろうと。

その疑問を、名誉住職にぶつけてみました。

「博多駅にも近いですし、いろんな方が来られます。だから、宗派を問わずお参りしていただける仏さんがいいなと思ったんです。お釈迦さま(釈迦如来)は仏教の大元なので宗派に関係ないですからね」。

とても平和的な回答に、心があたたかくなります。そうした思いがつながって、今では宗教や国籍を問わず、多くの方が拝観に来るようになりました。地元の方や観光客でいつも賑わっています。

大仏のパンチパーマには名前があった

さて、「大仏」といえば奈良や鎌倉の大仏も似た姿をしていますね。

実はこの姿、仏像の中でも「如来」の特徴で、パンチパーマのようなヘアスタイルは「螺髪(らほつ)」といわれるもの。

また、簡素な服装にも理由があります。

「観音菩薩」などの菩薩像は悟りを開く前の姿であるため、首飾りなどのアクセサリーをつけていることが多いのですが、「如来」は悟りを開いた後の姿で煩悩(欲望)が消えているため、着飾る必要がないのです。

東長寺 福岡大仏3
画像:Mr.tsubaking

また、「如来像」の手をよく見ると、指の間の水かきが大きく出ているのがわかります。

これは、「人々を漏らさず救いたい」という思いを表現した「如来」の特徴です。

東長寺 福岡大仏5
画像:Mr.tsubaking

「如来」の姿の特徴は32種類(細かく分けると80種類)もあり、これらは「三十二相八十種好(さんじゅうにそうはちじっしゅこう)」と言われます。

中には、「舌が顔を覆い隠すくらい大きい」といった、像には表現されないものまで。

すでに拝観したことのある方でも、これらの知識を少しでも知った上で訪れると、新たな発見があるはずです!

地獄・極楽めぐりは突然始まった

『福岡大仏』の台座は「戒壇めぐり(地獄・極楽めぐり)」になっていることでも知られます。

台座の中に入ると、9枚の地獄絵がずらり。

東長寺 地獄極楽めぐり3
画像:Mr.tsubaking

どんな経緯でこうした仕掛けをつくったのかについても、名誉住職に話してもらいました。

「ある時、山笠の博多人形を作る人形師の方が訪ねて来られたんですよ。そして『和尚さん、地獄・極楽めぐりできませんか』とおっしゃったんです。その時、大仏は造っている途中だったんですけど、『じゃあ、大仏さんの下でやりましょう!』と言って、急遽つくりました」。

まさかの由来に驚かされるばかり。

筆者もこれまで何度も見ていますが、地獄絵を手がけたのが山笠も担当する人形師だったとは知りませんでした。改めて見てみると、細かい技が光っています。

東長寺 地獄極楽めぐり
画像:Mr.tsubaking

ちなみに、私たちは「地獄」と言われると、おそらく共通のイメージを持てますよね。

これにはルーツがあって、平安時代に活躍したお坊さん・源信が書いた『往生要集』という本が元になっています。

いわば、「極楽へ行くためのHow to本」なのですが、そこに描かれる地獄の様子が現代の私たちのイメージにまで通じているのです。

『往生要集』は現代語訳された本も出ていますので、読んでみるのも楽しいですよ!

ご本尊へのお参りも忘れずに!特別なご開帳日も

『東長寺』を訪れた際は、『福岡大仏』だけで済ませず「ご本尊」にも必ずお参りしましょう!

境内の中央にある大きな建物が本堂で、こちらの奥に安置されています。

東長寺 本堂2
画像:Mr.tsubaking

三体の仏が祀られており、左が「不動明王像」。

現在の像は2代目で、初代はなんと空海が彫った像だったそうです! 数十年前の火事で惜しくも消失してしまいましたが、剣だけは焼け残り、2代目に引き継がれています。

東長寺 不動明王
画像:Mr.tsubaking

また、中央の「千手観音像」と右の「弘法大師像」は厨子の扉が閉じられており、普段は姿を見ての拝観ができません。

しかし、年に数度の「ご開帳」が設定されています。

千手観音像は2月2日と3日・6月15日・10月20日、弘法大師像は3月21日・6月15日です。

「千手観音像」は国の重要文化財にも指定され、「弘法大師像」は空海が彫ったと伝わる貴重な像ですので、ご開帳日を狙ってお参りに行くのもいいですね。

空海が福岡にいたのは「天才すぎた」から

先ほど少し触れましたが、『東長寺』は「空海が“最初に”開いたお寺」としても知られます。

ただ、空海が開祖となった真言宗といえば、本山は和歌山県の高野山にあり、根本道場(修行場)も京都の東寺。福岡にはゆかりが薄いようにも感じますね。

そんな空海が、福岡にお寺を開いたワケは「天才すぎたから」なのです。

東長寺 本堂
画像:Mr.tsubaking

空海は、中国で発展していた密教を学ぶため、遣唐使の一員として唐に渡ります。密教はあまりにも奥が深いため、天皇は20年間の修学を命じていました。

それを、空海はたった2年で学びきってしまったのです!

天皇の命令に背き、とてつもなく早く帰って来た空海は都に入れてもらえず、この福岡の地に留め置かれました。しかし唐で密教の師匠に「早く日本で密教を広めてほしい」と言われていたため、福岡で活動を始めたのでした。

そんな空海の天才すぎる痕跡が境内の各所に見られますので、じっくり散策してみてください!

あまりに有名な『福岡大仏』の『東長寺』。こうして少しの予習をしてから行けば、初めての方もすでにお参りしたことがある方も、より実りのあるお参りになるはずです!(文/Mr.tsubaking)

<施設情報>
■東長寺
住所:福岡県福岡市博多区御供所町2-4
電話番号:092-291-4459
参拝時間:9:00~17:00(大仏殿は16:45まで)
駐車場:あり
HP:https://www.tochoji.net/
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