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【後悔】「お父さん、恋を諦めさせてごめん」遺品の手紙が教えてくれた、父が40年間隠し通した『無償の愛』

  • 2025.12.31

今回は、知人のA子さん(50代)にお聞きしたエピソードをご紹介します。
長年、男手ひとつで育ててくれたお父さんを亡くしたA子さん。
遺品整理をしていたところ、見知らぬ女性との長年にわたる手紙のやりとりを見つけます。
知らなかった、父の想いとは──。

画像: 【後悔】「お父さん、恋を諦めさせてごめん」遺品の手紙が教えてくれた、父が40年間隠し通した『無償の愛』

父の遺品整理で、見つけたラブレター

もう40年も前のこと、中学生だった私は、早くに母を亡くしました。
母のことが大好きだった私は、突然の別れを受け入れられず、世界が色を失ってしまったかのように感じたことを覚えています。

それからというもの、男手ひとつで私を育ててくれた父。
不器用で口数は少ない人でしたが、いつも私のことを最優先に考えてくれていました。
母がいなくても、困ることなく育ててくれたことに、とても感謝しています。

そんな父も、つい先日、亡くなりました。

「ついに両親とも、いなくなってしまった」
葬儀を終え、ぼんやりと遺品整理をしていたときのことです。

引き出しの奥から、何十年分もの年賀状や、手紙の束が出てきました。
差出人は、見覚えのない女性の名前。
読んでみると、恋文というわけではなく、季節の挨拶や日々の出来事などを綴った、穏やかなやり取りでした。

でも私は、直感的に思ったのです。
父は、この人のことが好きだったのではないかしら。

そしておそらく、相手の女性も──。

あの日の記憶

ふと思い出したのは、母が亡くなってから数年経った頃のこと。

ある日、父が女性を家に連れてきたことがありました。
そのことに、私は大変なショックを受けたのです。

「新しいお母さんなんていらない! お父さんの裏切り者! お母さんがかわいそうじゃない!」
反抗期も相まって、泣き叫びながら、激しく父を責め立てた記憶があります。

父は何も言い返さず、「ごめんな、父さんが悪かった」と私に謝りました。
その後すぐ、女性とは別れたようでしたが、あのときの父の悲しそうな顔は、今でも覚えています。

もしかしたら、あのときから父は、自分の恋を諦めてしまったのかもしれません。
娘の私を傷つけないために。

当時の私は、父の気持ちを想像する余裕など、ありませんでした。
自分だけが傷つけられたように思っていて、本当に子どもだったのです。

封じられていた、父の想い

手紙の女性はD子さんといって、すでに結婚されているようでした。

迷った末、私はD子さんに、父が亡くなったことを知らせる手紙を出すと、すぐに返信がありました。
お線香をあげにきてくださったD子さんは、柔らかい物腰の、品のある方でした。

そんな彼女に、私は思い切って聞いてみたのです。
「失礼でしたらすみません。父は……あなたのことが好きだったのではないでしょうか」

D子さんは、はっとした顔をしたかと思うと、静かに涙を流しました。
「一度も想いを伝えてくださいませんでした。だから私たちは、ただのお友達よ」

ハンカチで涙を拭って、少し寂しそうに笑うと、D子さんは続けました。
「お父さんが一番大切にしていたのは、あなたよ。いつも、嬉しそうにあなたの話をしていたわ。あなたの存在が、お父さんの人生を幸せなものにしていたのよ」

恋を諦めさせて、ごめん

私は、どれほど深く父に愛されていたのでしょう。

幼かったあの頃の自分に戻れるなら、思いきり父に甘えて、抱きしめて、言いたい。

「お父さん、ありがとう」
「大好きだよ」
「お父さんも、幸せになっていいんだよ」
「また恋をしても、いいんだよ」

最後まで、私だけの父親であろうとしたお父さん。
恋を諦めさせて、本当にごめんなさい。
次に会うときは、いっぱいのごめんとありがとうを伝えたい。
それまでは、お父さんの深く優しい愛情を抱えて、精一杯生きていこうと思います。

【体験者:50代女性・専業主婦、回答時期:2025年12月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:大城サラ
イベント・集客・運営コンサル、ライター事業のフリーランスとして活動後、事業会社を設立。現在も会社経営者兼ライターとして活動中。事業を起こし、経営に取り組む経験から女性リーダーの悩みに寄り添ったり、恋愛や結婚に悩める多くの女性の相談に乗ってきたため、読者が前向きになれるような記事を届けることがモットー。

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