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大塚 愛さん(43)変わらない”裏方”と言う気持ち「昔から歌手と言われるのが苦手で」

  • 2025.12.28

可愛らしいお顔に小柄で華奢なお姿、「さくらんぼ」のイメージも相まってか、世間では女性らしい印象が強い大塚さん。インタビューさせていただくと、ご自分のことを冷静に俯瞰されている理論派で、アーティストとして芯の強さを感じる自立した女性そのもの。そのギャップがとても素敵でした。デビュー前から変わらないポリシーなど、色々なお話を伺いました。(第1回/全3回)

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デビュー当時にYouTubeがあったら、間違いなくユーチューバーになっていたと思う!

STORY編集部(以下同)ーー大塚さんと言えば名作「さくらんぼ」。デビュー前から60曲以上を作られていたという大塚さんですが、当時から創作意力がすごかったんですね。

趣味の一環って感じで遊びながら作っていました。作曲は「よし曲作りましょう」っていう時間が苦手で、何かの待ち時間とか隙間時間でないと出来ないんです。周りからしたら「今やらないで〜」っていう時にこそやりたくなっちゃうタイプ(笑)。他にも、やりたい映像企画を自分で立てて、動画を回して番組を作ったりもしていて。その時代にYouTubeがあったら、間違いなくユーチューバーになっていたと思う!

そもそも事務所にデモテープを送った時、自分が歌うつもりでは作っていなくて。声量がすごいとか、声質がいいとか、歌手としての強みが自分にはないと感じていましたし、めちゃくちゃ顔が可愛いわけでもない。でも、曲はたくさん作ったから、作り手として採ってもらえたらいいなと。でも、事務所としては大塚 愛としてデビューさせたいってなって…それなら「大塚 愛」っていう自分を出した歌い方ではなくて、曲ごとに合わせた声をつくり、合わせた歌い方をしたい、と自分から提案をしました。デビュー前の新人なのにすごいですよね(笑)。昔から思ったことは言わないと気が済まないタイプで。事務所に入った後も、若さゆえの勘違いで迷惑をかけてしまったこともあります。周りの方々が素晴らしかったから、たくさんフォローしていただいてここまでやってこられました。

「私を見てほしい」って気持ちはなくて、あくまでも作品が主役で私は脇役

ーーデビューした時から変わらないポリシーや想いはありますか?

変わらない部分は、作品ファーストというところですね。あくまでも作品が主役で私は脇役。作品がいかに良い状況で届けられるか、良いように皆さんに伝わるかが全てで、そこは昔も今も変わらないです。昔から「歌手」っていうカテゴリーにされるのがすごく苦手で。「歌手」は歌も声も素晴らしい方のことだと思うので、自分がそこに入るのは申し訳なくて。私は作品を作る人間で、ある意味裏方。でも、表に出て顔を見せるんだったら、一番ベストな状況で出ようっていう気持ちでやっています。

そもそも、私を主軸に曲を作っているわけではなくて、曲を作った時に「大塚 愛」でも歌えるんだったら自分で歌うけど、大塚 愛では合わない、どうにもできないなっていう曲の場合は提供するっていう感じで。「大塚 愛」も使用するものの1つという位置づけなんです。

曲作りはその時の自分を全部投入してゼロから作り上げているので、完成までの密度が濃すぎて。完成してリリースしたら、もう「人の手に渡る」「手放す」というイメージです。昔作った曲を今になって自分で歌うというのは「自分の曲」というよりも、自立している曲を「歌わせていただきます」っていう感覚です。「さくらんぼ」なんて曲自体が若いし、若いときしか歌えないと思っていたので、まさかこの歳になってまで歌うとは思っていなくて…むしろ「今歌って大丈夫?許されますか?」みたいな気持ち(笑)。

絵を描き始めたのは「終活」を意識しだしてから

ーー歌手活動だけでなく、個展を開催されたり絵本や小説を書かれたりとマルチにご活躍されていらっしゃいます。

誤解なきようにいうと、私は決して才能があるわけではなくて。楽曲制作中に天から閃きが降ってくるとか、声がずば抜けて素晴らしいとか、自分は「これだ」っていうものがないんです。「何をやってもパッとしない、一番の武器がない」っていうマイナスを抱えているけど、それをマイナスのままにしておいても仕方がないから、マルチ評価でなんとか出来るものを見出そうと思って。楽曲も色々なパターンをやってみて、他のアーティストにはないものを探してみたり、突出したものがないからこそ色んなものに興味を持って面白いことを探してきた感じです。

絵に関しては、正直、個展まで大きな話になるとは思っていなくて自分でもびっくり。終活というか、年齢を重ねて、自分がいつまで歌い続けていけるのか、いつまで受け入れてもらえるのか分からないなって思った時に、おばあちゃんになっても続けられるものを始めておこうかと思ったんです。でも、実際絵を描き始めたらものすごい体力が必要で…最初の段階では絵を床に置いて書くんですけど、ずーっと同じ姿勢で下を見たまま2・3時間とか平気で経つので、体もバキバキだし、腕も腰も痛いし。大きい作品だと回転させながら書いたりするので、でっかい絵をいちいち回すのも重労働で。これ、おばあちゃんになったら無理じゃないか…みたいな(笑)。

私はドラマが好きでよく見るんですけど、私の中では「映像」や「絵」がメインで、「音」や「音楽」は付属のものというか、サブという感覚なんです。今までは「サブ」(音楽)の方をメインでやってきたけど、今度は「主」(絵)の方をやってみている、という感じなので、私の中では音楽も絵画の取り組みも、全く別のものではなくて自然と繋がっていますね。

大塚 愛さんprofile

1982年生まれ。大阪府出身。4歳から18歳までピアノを習い、ピアノレッスンの一環で15歳から作詞作曲を始める。2002年にavexに「さくらんぼ」を含む自作のデモを送ったことで事務所の目に留まり、翌2003年「桃ノ花ビラ」でデビュー。続く「さくらんぼ」でブレイクを果たす。女性シンガーソングライターとして多数のヒット曲を手掛けるほか、楽曲提供や絵本作家、イラストレーションなどマルチな才能を発揮している。2019年から油絵を始め、今年、自身初となる個展も開催された。

衣装は全て本人私物

撮影/中田陽子 ヘア・メイク/塚本久美 取材/渡邊景子

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