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【熟年離婚】定年退職後、妻から離婚届を突きつけられた…「財産渡さない」は通用する?弁護士に聞く“財産分与”の仕組み

  • 2025.12.28
熟年離婚の際に財産分与は拒否できる?(画像はイメージ)
熟年離婚の際に財産分与は拒否できる?(画像はイメージ)

離婚する際や離婚後、夫婦が婚姻中に共同で築いた財産を公平に分け合うために「財産分与」という制度が設けられています。

ところで、夫が定年退職後、妻から離婚を切り出されるケースがあります。もし夫が財産分与に納得できない場合、拒否することは可能なのでしょうか。財産分与の仕組や、事前に準備すべき対策などについて、弁護士の永島徹さんに聞きました。

原則として「財産分与」は拒否できない

Q.離婚することになった場合、財産分与はどのような形で行われますか。離婚を切り出した側が不利になることはあるのでしょうか。

永島さん「まず財産分与という制度ですが、これは端的に説明すると『婚姻期間中に夫婦間で形成した共有財産を精算する制度』ということになります。財産分与請求権は、法律上の権利として発生しているものですから、夫婦それぞれが財産分与の請求を行うことは可能です。

離婚を切り出した側が不利になるのかどうかという点ですが、財産分与については、離婚をどちらが切り出したかということとは関係なく、基本的には共有だった財産は双方が協議をしながら2人分に分けるということになります。そのため、どちらが切り出したから不利になる、金額が少なくなる、といったことはないですね」

Q.もし妻から離婚を切り出された夫が「財産を一切分与しない」と告げたとします。この発言は法的に有効なのでしょうか。また、妻に財産を分与しないと夫が法的責任を問われる可能性があるのでしょうか。

永島さん「先ほどお話ししたように、財産分与請求権は法律上の権利として発生しているものであり、どちらかが1人で金額や内容を決められるわけではないのです。そのため、『夫側が財産を渡さないと言っている』という状況になったとしても、そのような発言は、法律上有効ではないと言えるでしょう。法律上で財産分与を請求する権利というものがある以上、財産分与を実施する法的責任が発生することになりますね。

もしも当事者間での協議が成立しない場合、家庭裁判所に調停の申し立てをして手続きを進める形になると思います」

Q.熟年離婚については、主にどのようなトラブルが多いのでしょうか。また、熟年離婚に備えて夫婦それぞれが事前に準備すべきことはあるのでしょうか。

永島さん「熟年離婚という形になると、やはり若い夫婦と比べて人生のステージが異なる段階にきているということから、また違った悩みやトラブルを抱えることになりますね。例えば定年退職などで発生した退職金をどういう形で扱うのかといった話や、年金の受給との関係で、年金分割がより重要な意味を持つことになります。また、再雇用や年金の受給開始時期の問題で、収入額に変動が生じることから、どの時点の収入を基準に婚姻費用を決めるのかなどの問題もありますね。

あとは住宅ローンを払い終えた人も多いので、不動産に関するトラブルも少なくないと思います。傾向としては、やはり婚姻期間が長くなってくることによって、一般的には、その分形成される共有財産の金額が大きくなり、財産分与の金額も大きくなりやすいという点ですね。

事前準備として有効なのは、どの世代の財産分与にも同じことが言えると思いますが、『夫婦の共有財産』としての裏付けができる証拠をそろえておくということでしょう。仮に協議ができずに調停申し立てをする運びになったとしても、証拠が残されていればスムーズに手続きが進むと思います」

* * *

財産分与は、協議で合意に至らなかった場合、離婚前は「離婚調停」を申し立てることになります。離婚後でも財産分与の申請は可能ですが、申し立ては離婚後2年以内と定められているため、手続きはスムーズに行えるようにしましょう。

オトナンサー編集部

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