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【おでかけスポット】年末年始も開館する、レトロな名建築15

  • 2025.12.23
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年末年始の慌ただしさから少し離れ、時間が止まったかのようなレトロな名建築へ。年末年始(12月27日~1月5日)のタイミングに開館している全国の名建築を選りすぐって紹介。歴史と美しさが融合する空間で、2025年の終わりと2026年の始まりをゆっくりと迎えてみては?



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国立西洋美術館/東京都台東区

<写真>©国立西洋美術館

年内:12月27日(土)まで
年始:1月2日(金)から

日本における近代建築運動に貢献
1959年に完成した「国立西洋美術館」本館は建築家ル・コルビュジエによって設計された。坂倉準三、前川國男、吉阪隆正という日本を代表する建築家が関わり、日本の近代建築運動に大きな影響を与えた。2020年からの約1年半の休館中にはル・コルビュジエの本来の設計意図が正しく伝わるように、前庭を本館開館時の姿に可能な限り戻す前庭のリニューアル工事が行われた。

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<写真>©国立西洋美術館

本館中心に位置し、高い天井が印象的な”19世紀ホール”。この名前はル・コルビュジエが名付けた。三角形のトップライトから自然光が差し込むことで柔らかな空間が生まれる。

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<写真>©国立西洋美術館

国立西洋美術館
住所/東京都台東区上野公園7-7
tel. 050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間/9:30~17:30(金曜・土曜日~20:00、入館は閉館の30分前まで)
休館日/月曜(祝休日の場合は開館、翌平日休館)、年末年始(12月28日〜1月1日)※その他臨時開館・休館あり。公式サイトを要確認

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東京国立博物館/東京都台東区

年内:12月21日(日)まで
年始:1月1日(木・祝)13:00から

貴重な文化財だけでなく多様な建築にも注目

国内の博物館の中で、最も長い歴史を誇る「東京国立博物館」。12万点を超える膨大な所蔵品はもちろん、その建築自体の持つ価値にも目を向けたい。本館の設計は横浜のホテルニューグランドや銀座の和光(旧服部時計店)、2021年に解体された品川の原美術館を手掛けた、渡辺仁が担当した。

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本館エントランスの大階段は、大理石を使用した重厚感のある空間。2001年には重要文化財に指定された。

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緑青色の丸い屋根が特徴の「表慶館」は、後の大正天皇の御成婚を祝って1909年に開館した。設計はジョサイア・コンドルの弟子で宮内省の建築家・片山東熊。1978年には重要文化財に指定されている。

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アジアやエジプトの美術品や工芸品、考古遺物を展示する「東洋館」は、建築家の谷口吉郎による設計。広々とした縁側、梁、柱といった寝殿造りの意匠を、モダニズム建築に落とし込んでいる。また館内にある法隆寺宝物館は息子の谷口吉生が設計をしているため、併せて巡っておこう。

東京国立博物館
住所/東京都台東区上野公園13-9
Tel. 050-5541-8600
開館時間/9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで、毎週金・土曜、翌月曜が祝・休日の場合の日曜は~20:00)
休館日/月曜(ただし月曜が祝日または休日の場合は開館し、翌平日に休館)、年末年始、その他、臨時休館・臨時開館あり

三菱一号館美術館

三菱一号館美術館/東京都千代田区

年内:12月30日(火)まで
年始:1月2日(金)から

丸の内初のオフィスビル「三菱一号館」が瀟洒な美術館へ
丸の内でひときわ目を引く赤レンガの建築は、 1894年にイギリス人建築家ジョサイア・コンドルによって設計された三菱一号館を同じ地に可能な限り忠実に復元したものだ。アン女王の時代にイギリスで生まれた、クイーン・アン様式が用いられている。復元に際しては、階段手すりの石材など保存されていた部材を一部再利用している。

三菱一号館美術館

格子状の鉄骨階段は、デザインの美しさだけでなく実用性も兼ね備えている。当時(明治時代)はガス灯の照明が使用されていたため、ガスの供給がない昼間は暗くなってしまう。しかし、格子状のデザインにすると外光が入るため明るくなり、安全面で有効であった。このような現代にも通用するデザインが建物内に数多く残されている。

三菱一号館美術館

「Café1894」は、かつて銀行営業室として利用されていた場所を忠実に復元し、カフェへとよみがえらせた。展覧会にちなんだメニューも定期的に登場するので、建築や展示を楽しんだあとにぜひ訪れてみて!

三菱一号館美術館
住所/東京都千代田区丸の内2-6-2
tel. 050-5541-8600
開館時間/10:00~18:00(入館は30分前まで、祝日・振替休日除く金曜、第2水曜、展覧会会期中の最終週平日は21:00まで)
休館日/月曜(祝日・振替休日・展覧会会期中最終週の場合は開館)、年末、元旦、展示替え期間

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アンリ・シャルパンティエ 銀座メゾン/銀座

年内:12月31日(火)まで
年始:1月2日(日)から


銀座・柳通り、1930年に竣工し、都選定歴史的建造物にも指定されている「ヨネイビル」の1階に位置する「アンリ・シャルパンティエ 銀座メゾン」は、兵庫県芦屋市で誕生した50年続く洋菓子ブランド「アンリ・シャルパンティエ」のテーブルデザートを楽しむための喫茶店だ。パリのアパルトマンを彷彿とさせるファサードは、店に足を踏み入れる前から気持ちが高鳴る佇まい。

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店内では、本格的なテーブルデザートや季節の素材を使った店舗限定のデセールを楽しめるサロンスペースに加えて、店内厨房を併設する物販スペースでは、人気のフィナンシェやマドレーヌなどの焼き菓子、銀座限定の生ケーキなどを購入できる。

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「アンリ・シャルパンティエ 銀座メゾン」に訪れたらぜひオーダーしたいのが、「クレープ・シュゼット(¥ 2,750・ドリンク付)」。手焼きの薄いクレープ生地をオレンジ果汁とバター、リキュール等で煮込んだスイーツで、調理の仕上げとなるフランベは目の前で行われ、青い炎のパフォーマンスとともに、芳醇な香りも楽しめる。

アンリ・シャルパンティエ 銀座メゾン
東京都中央区銀座2-8-20 ヨネイビル1階

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名古屋市市政資料館/愛知県名古屋市

年内:12月28日(日)まで
年始:1月4日(日)から ※1月5日(月)は休館

1922年に名古屋控訴院・地方裁判所・区裁判所庁舎として建てられ、1984年には国の重要文化財に指定された。19世紀後半に流行したネオ・バロック様式を用いた、大規模なレンガ造りの建築が特徴で、2024年に放映されたNHK連続テレビ小説『虎に翼』のロケ地としても話題を集めた。

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中央階段を登り切った正面に、ステンドグラスがある。よく見ると、天秤には左右で色の異なる玉が描かれており、これは罪と罰を表している。

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さらに吹き抜けとなっている、階段室の天井を見上げると「公明正大」を表す日輪が描かれている。ステンドグラスからも、この建物がかつては裁判所であったことが見て取れる。

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名古屋市市政資料館
住所/愛知県名古屋市東区白壁1-3
Tel.052-953-0051
開館時間/9:00~17:00
休館日/月曜(祝日の場合は直後の平日)、第3木曜(休日の場合は第4木曜)、12月29日~1月3日

Photo: Koroda Takeru

京都市京セラ美術館/京都府京都市

年内:12月27日(日)まで
年始:1月3日(土)から

長年京都で親しまれた名建築をアップデート
「京都市京セラ美術館」の本館は、日本で現存する公立美術館のなかで最も古い建築を利用している。1933年に創建し、創建当時の趣を生かすかたちで修復作業が行われ2020年にリニューアルオープンした。リニューアルは、館長でもある青木淳と西澤徹夫が担当した。 本館正面にはスロープ状の広場があり、屋外の展示やイベントにも対応。夜間はファサードがライトアップされ、美しく輝く。

Photo: Koroda Takeru

リニューアル前に正面玄関として使われていた、西広間から2階へと階段をあがると天井には色彩豊かな美しいアール・デコ調のステンドグラスが飾られている。日本伝統の“格天井”にステンドグラスをはめ込むという和洋折衷の意匠が魅力的だ。

Photo: Koroda Takeru

ロマンティックな階段部分も見逃せないポイント。現代アートの展示から美しい日本庭園、そして創建当時の趣を残した建築を楽しめる、見どころの多い美術館。四季折々の表情を見せる京都の景色とともに楽しみたい、上質なカルチャースポットだ。

京都市京セラ美術館
住所/京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124
tel. 075-771-4334
開館時間/10:00~18:00(最終入場時間は展覧会により異なる)
休館日/月曜(祝日の場合は開館)、年末年始(12月28日~1月2日)

東京都教育委員会

旧前田家本邸洋館/東京都目黒区

年内:12月28日(日)まで
年始:1月4日(日)から


激動の時代を耐え抜いた上品な洋館
「旧前田家本邸洋館」は旧加賀藩主の前田利為が1929年に自邸として建設。イギリスのカントリーハウスを彷彿とさせる外観が特徴だ。設計監督は東京帝国大学教授の塚本靖、実際の設計は高島屋日本橋店を手がけたことで有名な高橋貞太郎が担当した。1階はパーティなどを催す社交の場、2階を住居スペースとして使用していた。前田利為の戦死や連合軍の接収などの激動を経て、2013年に国の重要文化財に指定された。

東京都教育委員会

2階の階段広間は赤い絨毯やステンドグラス、透かし窓がロマンティックな雰囲気。透かし窓には仏教的なモチーフが使われており、西洋の建築様式と日本文化が融合した空間が体験できる。

東京都教育委員会

シンプルな意匠ながら、まるでヨーロッパのような雰囲気のベランダ。美しい照明と天井のデザインにも注目してほしい。館内の暖炉やシャンデリアなどは建設当初から使われているものも多く、当時の息遣いを感じられる都心の隠れた名建築だ。

旧前田家本邸洋館
住所/東京都目黒区駒場4-3-55 駒場公園内
tel. 03-3466-5150
開館時間/9:00~16:00
休館日/月曜・火曜(ただし祝日の場合は開館)、年末年始 (12月29日~1月3日)

©Yanagi Shinobu

東京ステーションギャラリー/東京都千代田区

年内:12月28日(日)まで
年始:1月3日(土)から


東京駅の構造を紐解く、こじんまりとした美術館
駅を単なる通過点ではなく文化を感じる場所にしたいという思いから、1988年に東京駅丸の内駅舎内に開館した。この美術館がある東京駅は辰野金吾の設計により1914年に誕生。「東京ステーションギャラリー」は駅舎創建当時の構造を露わにした造りで、当時の雰囲気を味わいながらアートを楽しむことができる。

TOKYO STATION GALLERY

2階の回廊には、東京駅丸の内駅舎の歴史を紹介する模型や写真が展示されている。また2007年から2012年に行われた駅舎の復原工事で見つかった創建時の貴重な建材も見ることができる。

©Wakabayashi Hayato

東京駅創建当時は、外観だけでなく構造自体にもレンガを使用するという建築方法であった。「東京ステーションギャラリー」では、その構造レンガを見ることができる。アート作品と併せて、東京駅の歴史にも触れてみては?

東京ステーションギャラリー
住所/東京都千代田区丸の内1-9-1
tel. 03-3212-2485
開館時間/10:00~18:00(金曜日~20:00、入館は閉館の30分前まで)
休館日/月曜(祝日、会期最終週、ゴールデンウィーク、お盆期間中は開館)、年末年始、展示替期間

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東京ステーションホテル ロビーラウンジ/東京都千代田区

年内:12月31日(水)まで
年始:1月1日(木)から

1915年、東京駅丸の内駅舎の中に開業した「東京ステーションホテル」は、東京で現存するホテルとしては、2番目に長い歴史を誇るホテル。日本の近代建築を牽引した辰野金吾が手掛けた重要文化財のなかに宿泊できるという唯一無二の空間で、開業から110年、国内外から多くの人々が訪れる。

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ホテル1階にある「ロビーラウンジ」は、大きな窓から自然光が差し込む気持ちのよい空間。ヨーロピアンクラシックを基調とした上品なインテリアも大きな魅力。宿泊者でなくても利用でき、朝食から夕食まで、時間帯に応じたメニューを用意している。

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創業110周年を迎えた「東京ステーションホテル」では、朝食メニューをリニューアル。なかでも写真の「ムニュ ナチュール(¥4,700)」は、オードブルやフルーツの盛り合わせ、3種のパンに加え、ネルドリップで丁寧に淹れたコーヒー、または厳選された茶葉の紅茶がセットになった贅沢なワンプレート。1日のはじまりを優雅に過ごしてみてはいかがだろうか。

東京ステーションホテル ロビーラウンジ
東京都千代田区丸の内1-9-1
※店舗一部改装に伴い、2026年1月15日(木)~2月18日(水)の期間は休業

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国立科学博物館/東京都・台東区

年内:12月27日(土)まで
年始:1月2日(金)から


「かはく」の愛称でも親しまれ、東京・上野恩賜公園内にある「国立科学博物館」。クジラの像のすぐ横にある「日本館」は1931年に竣工し、ドリス式やコリント式の柱頭飾りやドーム、ステンドグラスなど当時流行した装飾性の高い建築意匠が特徴だ。

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館内をさまざまに彩るのは、鮮やかなステンドクラス。ドーム式の中央ホールや階段室などに鳳凰や植物をモチーフにしたステンドクラスは、鳩山会館のステンドグラスを手掛けた作家と同じく小川三知のアトリエで製作されたもの。さらにこのステンドクラスには、建築家の伊藤忠太も携わっている貴重な作品だ。

国立科学博物館
東京都台東区上野公園 7-20
Tel. 050-5541-8600
開館時間/9:00~17:00
休館日/月曜(月曜日が祝日の場合は火曜日)、年末年始(12月28日~1月1日)

サッポロビール博物館

サッポロビール博物館/北海道札幌市

年内:12月30日(火)まで
年始:1月1日(木)から

日本最古のビール博物館
1987年に開館した「サッポロビール博物館」は、明治時代に建設された赤レンガの建物を使用して明治期からのビール産業の歴史を展示している。1890年に札幌製糖株式会社の工場として竣工された建物を札幌麦酒が買収し、ビールの原料となる大麦を麦芽にする製麦所に改修。およそ60年のあいだ、製麦所として使用されていた。

サッポロビール博物館

館内では、北海道開拓時代から現在までのサッポロビールの歴史を学ぶことができる。有料予約制のプレミアムツアーではガイドによる詳しい解説に加えて、創業当時の味“復刻札幌製麦酒”と現代の生ビール“黒ラベル”の飲み比べができる。レンガ造りの建物内で飲むビールは格別!

サッポロビール博物館

四季折々の表情を見せてくれるレンガ造りの建築は、写真に収めたくなるレトロな雰囲気。冬のシーズンには、こんな雪景色が楽しめることも!

サッポロビール博物館
住所/北海道札幌市東区北7条東9丁目1-1
tel. 011-748-1876
開館時間/11:00~18:00(入館は17:30まで)
休館日/月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始、臨時休館日

photo Norihiro Ueno

渋谷区立松濤美術館/東京都渋谷区

年内:12月28日(日)まで
年始:1月4日(日)から

閑静な住宅街に佇む洒脱な建築
石造りの外観がアイコニックな「松濤美術館」は白井晟一による設計。外壁に使用されている石は、韓国ソウル郊外の石切場で採れるピンク色の花崗岩だ。当時の日本では名前もないほど知られていない種類だったため、白井本人が“紅雲石”と命名して日本へ運んだという経緯がある。

photo Norihiro Ueno

照明とカーブが美しい、らせん階段。照明も建築家の白井晟一がデザインしたもので、曲線を描くらせん階段と照明から伸びる影が独特の空間を生み出している。ゆっくりと味わいながらのぼりたい。

photo Norihiro Ueno

「渋谷区立松濤美術館」では館内建築ツアーも定期的に開催。美術作品と併せて建築もたっぷりと堪能できる美術館だ。

渋谷区立松濤美術館
住所/東京都渋谷区松濤2-14-14
tel. 03-3465-9421
開館時間/10:00~18:00、金曜日~20:00(特別展期間中)、9:00~17:00(公募展・サロン展期間中)
休館日/月曜(祝日は開館)、祝日の翌日(土・日曜の場合は開館)、展示入れ替え期間、年末年始(12月29日~1月3日)

グラバー園

グラバー園/長崎県長崎市

年内:12月31日(水)まで
年始:1月1日(木)から


異国情緒あふれる長崎の歴史を感じよう
日本に現存する最古の木造洋風建築“旧グラバー住宅”を中心に、数多くの貴重な建築が見学できる。居留地時代に建築され、160年以上この地に立っている建築や長崎市内から移築された建築の9棟が集まっている。写真の“旧グラバー住宅”は、1859年に長崎に来航したスコットランド出身の商人トーマス・グラバーの邸宅として建設された。建物の平面は採光と通風を意識した半円形で、日本瓦や土壁が使用されている。

グラバー園

“旧グラバー住宅”の内部は、見学することができる。ミントグリーンの窓が印象的で華やかな空間だ。1961年には国の重要文化財に指定され、2015年に“明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業”の構成資産として世界遺産に登録された。

グラバー園

こちらは“旧三菱第2ドックハウス”。1896年に建設され、三菱造船所(現三菱重工業株式会社長崎造船所)の第2ドック建設時に建てられた外国人乗組員用の宿舎だ。ドックは造船所の船の建造や修理を担う施設で、かつては長崎市飽の浦町にあったが1972年に移築された。その他にも異国情緒漂う建築を見ることができる。庭園やレトロな喫茶室もあり、レトロ建築好きにはたまらないスポットだ。

グラバー園
住所/長崎県長崎市南山手町8-1
tel. 095-822-8223
開園時間/8:00~18:00(最終入園受付は20分前)、時期により夜間開館あり 年中無休
※現在保存修理工事の影響により、一部見学不可のエリアあり

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江戸東京たてもの園/小金井市

年内:12月24日(水)まで
年始:1月2日(金)から


1993年、「江戸東京博物館」の分館として東京都が開設。文化的価値が高いものの、現地での保存が不可能な歴史的建造物を移築し、復元・保存・展示するとともに、貴重な文化遺産として次の世代に継承することを目指す。

園内には、江戸時代前期から昭和中期まで都内に存在していた建造物がずらり。特に西ゾーンでは、レトロな魅力あふれる住宅や茅葺きの民家などさまざまな建築様式を楽しめる。1942年、品川区上大崎に建てられた前川國男の自邸もそのひとつ。外観は切妻屋根の和風、内部は吹抜けの居間を中心に書斎と寝室を配した シンプルな間取りとなっている。

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デ・ラランデ邸は、もとは新宿区信濃町に立つ平屋の洋館だったが、1910年頃、ドイツ人建築家ゲオルグ・デ・ラランデにより3階建てとして大規模に増築された。その後、何度か居住者が変わった後、実業家として活躍した三島海雲の手に渡る。

また、東ゾーンの「下町中通り」には、昔の商家や銭湯、居酒屋が立ち並び、個々の建築はもちろん、下町の風情も楽しむことができる。

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江戸東京たてもの園
住所/東京都小金井市桜町3-7-1
※前川國男邸:3月中旬まで外観見学不可予定。内部の見学は可。
※デ・ラランデ邸:3月末まで外観見学不可。2月28日(金)まで内部の見学と1階武蔵野茶房の営業を休止。
※下町中通り:武居三省堂は3月末まで見学を休止。

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文化のみち二葉館/愛知県名古屋市

年内:12月28日(日)まで
年始:1月4日(日)から


日本の女優第一号として知られる、川上貞奴と福沢諭吉の婿養子にあたる、福沢桃介が共に暮らした1920年(大正9年)に建てられた家。創建当時の姿を復元し、現在の場所へ2005年2月に移築された。設計施工は、当時の洋風住宅専門会社の「あめりか屋」が手掛け、アメリカの住宅のデザインを採用した和洋折衷の建物。建物の東側は洋風建築様式、西側部分は和風の部屋となっている。

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外から見ると円形にせり出しているのが、大広間。この大広間の西側にステンドグラス「初夏」が飾られている。これはデザイナーであり、福沢桃介の義弟にあたる杉浦非水の原画をもとに制作されたもの。昭和初期の改築の際に、ステンドグラスの一部分が紛失し、長らくレプリカが使われていたが、近年になって名古屋市内でオリジナルが発見され、2017年3月末に創建当時のものへと入れ替わった。

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旧食堂には、山々の風景が描かれたステンドクラスが飾られている。ステンドクラスは光を受けて、より一層輝きを放つ。

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ステンドクラス以外にも、大正ロマン漂うインテリアや国の重要文化財に指定されている和室など、建築好きにはたまらないディテールにたくさん出合える場所だ。

文化のみち二葉館(名古屋市旧川上貞奴邸)
愛知県名古屋市東区橦木町3-23
Tel.052-936-3836
開館時間/10:00~17:00
休館日/月曜日(祝日の場合は直後の平日)、12月29日から1月3日

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