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「牛丼」と「ただの白飯」血糖値を上げにくいのはどっち?吉野家との共同研究に驚き!【老けない食べ方の新常識#1】

  • 2025.12.22

「牛丼」と「ただの白飯」血糖値を上げにくいのはどっち?吉野家との共同研究に驚き!【老けない食べ方の新常識#1】

「白ご飯のみ」を食べるよりも、「牛丼」を食べたほうが、血糖値の上昇が抑えらえた……!? 驚きの研究結果を、話題の新刊『最新科学でわかった 老けない食べ方の新常識』(三笠書房)から、一部抜粋してお届けします。最新の研究により、老化を引き起こす真の原因が明らかになりました。老化の真犯人とは……。

「吉野家さん」と共同で行なった研究成果

安くて、おいしくて、手軽に食べられて、満足感が大きい。けれども、「健康によくなさそう」と思われがちな料理。牛丼は、その代表格でしょう。

でも、牛丼が健康によくないというのは事実でしょうか。私たちは牛丼チェーンの吉野家さんと共同研究を行ないました。被験者は20代の健康な男女19名。

結果は、
□白ご飯のみ(200g)→ 血糖値の上昇は約75mg/dL
□白ご飯(200g)+牛丼の具(125g)→ 血糖値の上昇は約60mg/dL

この実験では、どちらも白ご飯の量を同じにしています。牛丼には煮だれや玉ねぎが加わるため、糖質量は牛丼のほうが多くなります。

それでも、牛丼を食べたときのほうが血糖値の上がり幅が約15mg/dLも抑えられました。しかも、血糖値が速やかに下がっていったのです。「高血糖の時間帯が短い」ということは、その分、アルデヒド(※1)の発生量も抑えられるということです。

<用語解説>
※1「アルデヒド」
糖が体のタンパク質と結びついて劣化させてしまう現象のことを「糖化」といいます。糖化を促進する原因が、体内毒素「アルデヒド」です。アルデヒドはまさに「有毒ガス」。糖化反応を糖の何倍も速く、あっという間に進めてしまう性質があります。血糖値の上昇をゆるやかに抑えることができれば、アルデヒドの生成も抑えられることが明らかになりました。

牛丼の具の「何」が血糖値を抑える?

では、牛丼の具の「何」に血糖値を抑える効果があるのでしょうか。

それを調べるため、「牛肉(65g)」「煮だれ(汁)(35g)」「煮た玉ネギ(25g)」を白ご飯(200g)にかけたものを食べ、血糖値の変化を調べました。

結果は、「煮だれ+白ご飯」「煮た玉ネギ+白ご飯」は、「白ご飯のみ」と、血糖値変化曲線はほぼ同じでした。

一方、「牛肉+白ご飯」の場合は、血糖値の上昇が約43mg/dLにとどまりました。白ご飯のみのケースでは血糖値が約75mg/dLまで上昇しています。牛肉によって、血糖値の上がり幅は32mg/dLも抑えられることになります。つまり、牛肉に含まれるタンパク質や脂質が糖の吸収をゆるやかにしたと考えられるのです。

もちろん、大盛を選べば摂取する糖質量も増え、食後高血糖が起こりやすくなります。しかし、一人前を食べている分には、白ご飯だけより牛丼のほうが血糖値の上昇を抑えられ、肥満や老化の予防にはよいとわかったのです。

牛丼ではないメニューで試してみた!

この研究を中心になって行なったのは、私たちの研究室の女子学生でした。ある日、彼女が「牛丼ではないメニューで実験したい」と言い出しました。

「それならば、『熱量(kcal)』『タンパク質(g)』『脂質(g)』『炭水化物(g)』『食物繊維(g)』をすべて、牛丼と同じに整えたメニューをつくって、試験してごらん」と、私はアドバイスしました。

彼女は、白ご飯(200g)にウインナーソーセージ(3本)、スクランブルエッグ、マッシュポテトという自分で考案した朝食メニューで、試験を行ないました。

すると、血糖値変化曲線は、なんと牛丼とほぼ同じ変動を示したのです。

この結果から明らかになったことがあります。

アルデヒドスパーク(※2)を抑えるために重要なのは「栄養バランス」であり、「このメニューや食材でなければならない」という区別はない、ということです。

<用語解説>
※2「アルデヒドスパーク」
体内でアルデヒドが急速に発生し、糖化を加速させること。アルデヒドスパークを防ぐうえで、第一に重要なのは「食べ過ぎない」こと。第二に重要なのが、アルデヒドスパークを防ぐ=老化を防ぐ「食べ方公式」です。
【老化を防ぐ食べ方公式】タンパク質×脂質×酸=黄金トリオ

たとえば、牛丼のかわりに親子丼や豚丼を選んでも、適量を食べている限り、アルデヒドスパークを引き起こす心配はないでしょう。タンパク質と脂質がそろっていて、一人前の白ご飯の量であれば、血糖値の急上昇を抑えられるからです。

牛丼、親子丼、豚丼の場合は、肉からタンパク質と脂質を摂取できます。前述の朝食メニューならば、ウインナーソーセージとスクランブルエッグからタンパク質と脂質をとることができます。

では、酸は何から摂取すればよいでしょうか。牛丼屋には紅ショウガが必ず置かれています。紅ショウガは、ショウガの酢漬けで、酸を含みます。ただし、調査した結果、テイクアウトでもらえる程度の少量では、血糖値の上昇を抑えられませんでした。紅ショウガで酸の効果を得るのであれば、大量にのせる必要があります。

しかし、紅ショウガは好き嫌いもありますし、大量にはとりづらいものです。

「緑茶」が、“アルデヒド”の生成を抑えてくれる!

そこでおすすめしたいのが、緑茶です。食べる前に、緑茶を1杯飲んでおくのです。

緑茶には、カテキンというポリフェノールが含まれています。カテキンには糖質の分解を抑える作用もあります。さらに、ポリフェノールにも、優れた抗糖化作用があるのです。しかも、カテキンの作用が、アルデヒドの生成を抑え、一方でアルデヒドの毒性を弱めてくれることもわかっています。

黄金トリオのうちの酸の摂取が難しいときには、濃いめの緑茶に置き換えましょう。カテキンがアルデヒドスパークを抑えつつ、アルデヒドの毒性を和らげてくれます。

※この記事は『最新科学でわかった 老けない食べ方の新常識』八木雅之著(三笠書房)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

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