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奨学金を貸与=結婚できない?大学生3人に1人が奨学金貸与の現実 結婚を阻む大きな“要因”は本当か

  • 2025.12.20
奨学金を借りた人は本当に結婚できないのか?
奨学金を借りた人は本当に結婚できないのか?

近年、大学生の約3人に1人が奨学金を借りているといわれています。そうした中で、「奨学金を返済中の人/奨学金を借りていた人とは結婚できない」というような投稿が「X」で話題になりました。この投稿については賛否両論のさまざまな意見が寄せられました。今回は、大学院に在籍していた筆者が奨学金と結婚問題について考えてみました。

大学生の約3人に1人が奨学金を貸与

日本学生支援機構が公表している「奨学金事業に関するデータ集(令和7年10月)」によると、令和6年度における大学生のうち奨学生の割合は31.7%といいます。ちなみに、平均貸与総額は330万円、平均返還年数は15年です。

近年、一定の条件を満たした世帯には大学進学費用を援助する制度や、従業員の奨学金返済をサポートする制度を設ける企業も増えています。その一方、国立大学を含む大学が授業料の大幅な値上げに踏み切る方針を示している他、昨今の物価高による生活費の増大により、大学進学におけるお金の問題は深刻化しているように思います。

奨学金を貸与=結婚できないは本当か?

筆者の周りには学部と大学院を合わせて500万円以上の奨学金を借りている人が少なくありません。また、研究者を目指す場合、安定した収入を得られるまでにある程度の期間を要するため、社会人になってすぐ奨学金の返済を開始できないケースも多いです。しかし、そうした中でも結婚し、子どもがいる人もいます。奨学金があるものの安定収入がない状態で結婚できた人の中にはパートナーに安定した収入源があるケースが多いですが、夫婦ともに物欲がなく、堅実であることが共通しているように思います。

パートナーが奨学金を抱えていても、返済できる能力があると判断できたり、奨学金をきちんと返済する人柄だと感じられたりする場合は、奨学金の懸念は薄れるでしょう。加えて、本人が返済できない状況に陥った場合、親などの保証人が返済する心づもりであれば、パートナーの奨学金が結婚生活において大きな障害になる可能性は低いと考えられます。

その一方、奨学金を貸与している人の状況に共感しにくい人もいます。奨学金を借りている人との結婚にちゅうちょする人たちからは「親は大学の学費を頑張って払ってくれたのにと思う」「子どもに借金を背負わせても平気な親なんだと思う」「奨学金を借りた人とそうでない人では育った環境が違う」「自分の子どもにも奨学金で進学させそう」といった厳しい声もあります。

これらの声に共通しているのは、パートナーとなる本人のみならず、親や育った環境についても考慮されている点です。奨学金を借りている家とそうでない家が分かり合えないとは限らないものの、両家で経済力が大きく違う場合や生まれてきた子どもの教育についての価値観に著しい乖離(かいり)があると、夫婦生活がうまくいかないこともあります。

奨学金が大きなきっかけとなって別れたとしても、実際には奨学金以外にも、さまざまなミスマッチとなる要素が含まれていることも多いです。

「奨学金」は夫婦のすれ違いの1ピース

奨学金には否定的な見方があるものの、奨学金を借りたことで現在の職を得られた人もいます。また、奨学金には体調不良や経済的な理由などで一定期間返済を利子なしで猶予できる制度もあります。奨学金を借りていない人も、奨学金とはどのようなものなのか知っておくとよいかもしれません。

奨学金が理由で婚約が破談になった場合でも、奨学金は1つの要因にすぎない可能性が高いといえそうです。奨学金がなかったとしても、育ってきた環境の違いや実家からの援助の大きさの違い、我が子の教育費に関する考え方の違いなどからお互いに違和感を抱いたり、価値観の相違を感じたりする可能性もあります。

また、筆者が個人的に思うのは、子どもの大学進学費用を払える経済力=教育に対する意識の高さ、モラルの高さとは限らないということです。エッシェンシャルワーカーの給与水準が低いといわれている日本では、社会に大きく貢献しているにもかかわらず、大学の学費を準備できないケースもあります。加えて、ある程度の収入がある家でも身内の病気により、子どもの学費を払えなくなることはありえます。“奨学金を借りる家は〇〇”という先入観を抱かないことも大切なのではないでしょうか。

西田梨紗

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