1. トップ
  2. 【日曜劇場】放送終了後に起きた“予想しなかった”未来「実際にあるの!?」「知らなかった」現実で起きた“奇跡の一幕”

【日曜劇場】放送終了後に起きた“予想しなかった”未来「実際にあるの!?」「知らなかった」現実で起きた“奇跡の一幕”

  • 2026.1.17
undefined
神木隆之介 (C)SANKEI

2024年10月よりTBS系「日曜劇場」で放送された『海に眠るダイヤモンド』は、放送終了後もなお人々の心を動かし続けている。その熱量を象徴するのが、長崎・端島を望む場所にコスモス畑を作るという、ファン発のプロジェクトだ。物語の名場面を現実の風景として立ち上げようとする試みには、作品と向き合い続けてきた人々の思いが詰まっている。

物語の余韻から生まれたコスモス畑

『海に眠るダイヤモンド』とは、野木亜紀子脚本によるヒューマンドラマだ。2018年の東京で、ホストの玲央(神木隆之介)が謎めいた婦人・いづみ(宮本信子)から突然プロポーズされ、長崎へ向かう。やがて1955年の炭鉱島・端島に舞台を移し、若者たちの青春や希望、そして時代のうねりが交錯する、切なくも美しい群像劇である。

きっかけは、ドラマ終盤に描かれた印象的な一場面だった。満開のコスモス畑の向こうに、静かに佇む端島。その風景は強い余韻を残したが、実際には存在しない場所でもあった。それにもかかわらず、コスモス畑を探すファンが後を絶たなかったという。

「それなら自分たちで作ろう」。

そう考えた任意団体『AGAIN端島』の呼びかけによって、プロジェクトは静かに動き出す。土地管理者の協力を得ることから始まり、種の購入費用など必要経費をクラウドファンディングで資金を募ると、目標を大きく超える支援が集まった。8月には耕作と種植えが行われ、SNSでの呼びかけに応じて、県内外から約100人が参加したという事実は、この作品が放送後も“終わっていない”ことを雄弁に物語っている。

ファンと地域、そして記憶をつなぐ場所

このコスモス畑が特別なのは、ドラマの再現にとどまらない点だ。作業には元島民も関わり、種植えの場では「何号棟に住んでいたか」といった記憶が自然と語られたという。廃墟として語られてきた端島に、かつて確かに人の暮らしがあったことを、花を通して思い起こさせる場所になろうとしている。

地域の人々の支えも大きい。土の運搬、獣害対策の柵の設置など、地元の協力がなければ成立しなかった。ドラマを愛したファン、記憶を持つ元島民、そして今を生きる地域の人々。その三者が同じ風景を前に集うことで、物語はフィクションから“共有された記憶”へと変わっていく。

さらに印象的なのは、実際に脚本を担当した野木本人もこの場所を訪れたことだ。描いた側と受け取った側が、同じ場所に立ち、同じ風景を見る。その事実自体が、『海に眠るダイヤモンド』が制作者にとどまらず、多くの人々にとって大切な作品になっていた証と言えるだろう。

SNSでも「実際にあるの!?」「絶対に行きたい」「知らなかったけど凄い」といった声が次々とあがり、ドラマのワンシーンが“行ってみたい場所”として現実に立ち上がったことに、多くのファンからの注目が集まっている。

作品の枠を飛び出した“一つの物語”

前回の『海に眠るダイヤモンド』の記事を公開してから、嬉しいお言葉を沢山いただいた。そこに共通していたのは、「この作品が好きだ」という率直な感情だった。コスモス畑のプロジェクトに集まった人々の行動も、根底にあるのは同じ思いだろう。物語を消費して終わるのではなく、現実の風景として残したい。誰かと共有したい。その熱量が、この作品を今も前へ進ませている。

本作が愛され続ける理由は、完成度の高さだけではない。人の記憶や感情を動かし、行動へと変えてしまう力があったからだ。端島を望む丘に咲くコスモスは、その証明でもある。花が揺れるたびに、物語は静かに息を吹き返し、また新しい誰かの心に、新たな花を咲かせるのだろう。


公式Instagram:端島×コスモス畑を実現し隊

ライター:柚原みり。シナリオライター、小説家、編集者として多岐にわたり活動中。ゲームと漫画は日々のライフワーク。ドラマ・アニメなどに関する執筆や、編集業務など、ジャンルを横断した形で“物語”に携わっている。(X:@Yuzuhara_Miri