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シマエナガに出会うには?場所や鳴き声、上級編まで 北海道の野生動物を撮影して約40年のカメラマンが解説

  • 2025.12.13

シマエナガに出会うためには、どうしたらいいのか?

北海道の自然や野生生物を撮影し始めて約40年!インスタグラム「北海道3大かわいい動物」プロジェクトを主催している、@ami_papaが解説します。

この記事の内容
・ことしはシマエナガ「豊作」?
・シマエナガと出会うコツ3選
・上級編:正面から出会うには
・双眼鏡は、必要か?
・モフモフのシマエナガと出会うためには?

シマエナガは、いる!

「北海道に住んでいるんだけど、今までシマエナガをいっぺんも見たことがない」という方が結構いらっしゃいます。

中にはもう開き直って「シマエナガって、伝説の鳥でしょ」とか「あれAIだよね?」なんて書き込みも、SNSにはちらほら…。

この季節に写真仲間と森で出会うと、決まって「今年のシマエナガはどう?」って話になります。

去年は「今シーズン、ヤバいかも…」なんて、悲しい会話があちこちで交わされていたのですが、この冬はまったく違います。

どこへ行っても「今シーズンは豊作だね!」ってご意見が、大多数!

ハッキリ言っておきましょう…シマエナガは、います!

しかも、夏の間、山の奥のほうで過ごしていたシマエナガのファミリー(5〜10羽ほどの群れ)が、冬を迎えた今、続々と私たちの近くへと集まって来ています。

コツさえつかめば、必ずシマエナガに出会えますし、何よりこの冬は、大チャンスの到来!
なので、たくさんの方にシマエナガを見ていただきたいっ!と思い、この文章を書いてます。

Sitakke
撮影:ktgwyzr さん## シマエナガと出会うコツ①森とつながった公園で探してみる
Sitakke
撮影:gonyanagi さん

たとえば、札幌でシマエナガを探すとしたなら、街中の公園で探すのもアリなのですが、どちらかというと「森につながっている公園」のほうが、出会える確率は高くなります。

夜になると、山に近いところにある「ねぐら」に集まって眠って、日の出とともに動き出し、「ねぐら」から林や森でつながる公園へとやって来る、という行動パターンのシマエナガの群れが、かなり多いからです。

シマエナガは、必ずと言っていいほど、5〜10羽ほどの群れで行動しています。
そしてその群れは、1か所にじっとしていることは、まずほとんどありません。

木の枝が、ワシャワシャしている中を、ちょこまかと渡り歩きながら、いつもせわしなく、大好物の小さな虫などを探し歩く「流れ者」の鳥です。

・1本の枝に止まっている時間は、ほんの数秒から10数秒
・群れごとにかたまって、森の中をスーッと移動していく
・同じ木の周りをぐるぐる…ではなく、「通り過ぎていく」 ことが多い

シマエナガと出会うには「ここでじっと待っていれば、いつか来てくれるはず」ではなく、公園をゆっくりと歩き回って、「動いている自分が、動いているシマエナガとバッタリと出会う」ような感覚で、探すのがコツです。

Sitakke
撮影:y.odamon さん

シマエナガと出会うコツ②「目」よりも「耳」で探す

Sitakke
撮影:masashi.o_photo さん

シマエナガの体重は、わずか8グラムほどしかありません。

スズメの平均体重が24グラムと言われますので、重さは3分の1しかなく、大きさもスズメと比べるとググッと小型。

「日本で2番目に小さな鳥」とも言われるほど(1番目は、キクイタダキという鳥で、体重は5.5グラムほど)。

感覚的には、お寿司1つ分くらいのカラダに、それと同じくらいの長さのシッポがついている感じ…そんなのが大きな木の上のほうにいても、なかなか見つけられませんね。

ですから、ほとんどのシマエナガウォッチャーたちは、シマエナガの居場所を「耳」で探しています。

シマエナガの鳴き声は、ほかのどの鳥よりも高音で「チーチーチー」と聞こえます。
そしてその後に、やや低い声で「ジュル、ジュル」など…。

いずれもかなり特徴的で、ほかの鳥とはまったく違うので、鳴き声をYouTube などで覚えておくことで、出会える確率はグンと上昇します。

木の枝などに隠れて姿が見えないとか、ちょっと離れていて「目」では確認できない場合でも、シマエナガの声はかなり遠くまで響くので、「耳」で、その存在がわかります。

本州からシマエナガに会いに来られたと思われる方が、「シマエナガに会いたいねー」なんて話をしているすぐそばの木で、シマエナガが「チーチーチー」とさえずっているなんて、笑い話のような出来事は、実はとても良くあることなのです。

まず「耳」で探して、聞こえた鳴き声から、方向や距離を見定めて、そして初めて「目」を使って確認する、といった感じです。

シマエナガは1羽だけでいることはほとんどなく、5〜10羽ほどの小さな群れや、時には20羽を超える、大きな群れで動いています。

1羽を見つけることができたら、その近くの枝にも仲間がいないか、見渡してみてください。

シマエナガと出会うコツ③「混群」を見つけたらチャンス

Sitakke
撮影:mohumohu946 さん

冬の札幌の森では、様々な種類の小さな鳥たちが、集まっていっしょに行動しています。
小さな鳥は、単独でいるよりも、集まって行動したほうが、天敵に狙われにくいというのがその理由かと思われます。

この種類の異なる鳥たちの群れを「混群(こんぐん)」と言うのですが、こうした「混群」の中に、シマエナガが混じっていることも多いです。

ですから、シマエナガの鳴き声がしなくても、まずは、様々な小鳥たちの鳴き声が、にぎやかに聞こえてきたら、すでにチャンスだと考えてOK!
その中に、ひときわシッポが細長い鳥がいたら、それがシマエナガ、ということもしばしばです。

シマエナガの群れと出会ったら…

Sitakke
撮影:nature_birds.4u さん

運良くシマエナガの群れと出会ったとします。

しかし、シマエナガは常に移動を繰り返す鳥。
移動するシマエナガの後をいくら追いかけても、見ることができるのは、いつもシマエナガの後ろ姿ばかり…、そんな悲しいことが起こります。

実際に、シマエナガの群れと出会うことができて、ずっと群れを追いかけながら、望遠レンズのついたカメラで、1時間近くも写真を撮ることができるときもあるのですが、家に帰って撮ったものをよくよく見てみると、かわいらしい正面の顔が1枚もない!なんてことがあるのです。(← これ本当に!)

インスタグラムにアップされているような、正面を向いて、かわいらしく首をかしげているようなシマエナガに、どうすれば会うことができるのか?

上級編:正面から出会うには

シマエナガは、静かにしていれば、あまり人間の存在を気にしません。
しかしながら、後ろから追いかけ続けてしまうと、移動のスピードをアップして、すぐに遠くまで行ってしまいます。

ここからはやや、上級テクなのですが、シマエナガの「行く先を読んで、先回りして待つ」のです。

「群れがこのまま進んでいくと、あの低い木のあたりを通るはず」などと見当をつけたら、シマエナガの群れを追い越して、その場所で、しゃがんで、シマエナガの群れがやって来るのを待つのです。

上手く予想が当たれば、群れが、自分の方に向かって(しかも全員がこちらを見て!)どんどん飛んで、集まって来ます。

すぐそばにシマエナガの群れが来ると、もう、どのシマエナガを見て良いのかもわからずにパニック気味になってしまうほど、「キーキーキー」「ジュル、ジュル」といったシマエナガの鳴き声を、まるでシャワーのように浴びることができます。

1メートルちょっとくらいのところにシマエナガが降りて来て、バッチリと目と目が合うことも!

こうなると、望遠レンズをつけたカメラだと、近すぎてピントが合わないなんてこともしばしば。

シマエナガウォッチャーにとっては、まさに至福のときです。
この状態を、「シマエナガ祭り」とも呼んでいます。

余談ですが、シマエナガのシャワーを、運良く、1日に3〜4回浴びてしまった日などは、家に帰ってきて、夜になって布団に入っても、耳の中にシマエナガの鳴き声がこだまして眠れない…なんてことも起こります(← これは、私だけかも…笑)。

Sitakke
撮影:taso.aya さん

シマエナガは、1周するのに、1時間〜1時間30分くらいの、決まったルートを動くことが多いです。

なので、決まった場所に、朝の決まった時間に出かけると、シマエナガの行動パターンがだんだんわかってきます。

たとえば、朝8時くらいに、公園の、山に近い「この場所」で待っていると、群れがやって来て、こっちに向かって移動するはず…なんてわかってくると、先回りして待ち構えることも、割と簡単になります。

そして、「この種類の木には、わりと長い時間滞在する」とか、「この場所では、長い時間滞在するのだけれど、なかなか下の方に降りてこない」とか、シマエナガの特性がわかってくると、一気に、かわいらしいシマエナガと出会う可能性は上がりますし、カメラがお好きな方は、ステキなシマエナガのお写真を撮れるようになります。

シマエナガは、エサを求めて移動しているので、虫がたくさんいる場所では滞在時間が長くなりますし、逆に、虫がいない場所は素通りです。

Sitakke
カラマツの木にいるシマエナガ(撮影:@ami_papa)

冬ならば、ねらい目としてわかりやすい一例は「カラマツの木」とか。
冬芽の、つけ根のあたりに、虫がいるのだと思うのですが、チョウやミツバチが、蜜を吸いながら、花から花へと移動するようにして、枝から枝を飛び回って、虫をついばむので、比較的長い時間、滞在することが多いです。

ただ、手前に枝があったりして、なかなかハッキリと、その姿を見ることができない場合も多いのですが…。

双眼鏡は、必要か?

写真を撮る方であれば、カメラの望遠レンズが、すでに双眼鏡の役割をするので、双眼鏡はなくてもまったく問題ありません。

実際のフィールドでも、望遠レンズがついたカメラと、双眼鏡の両方を持っている方は、ほとんどいらっしゃらない気がします。

ただし、写真は撮らずに、観察だけでいいのよ…とおっしゃる方には、「絶対にあった方がいいですよ!」とオススメします。

シマエナガは小さな鳥ですから、肉眼で楽しむには限界があります。
ちょっとした双眼鏡があるだけで、「あそこで何をやっているのだろう?」というギモンが、「あそこでみんなで虫を食べているなあ」ということが分かるようになり、観察の楽しみもグンとアップします。

双眼鏡の性能は、「8×25」などといった、2つの数字で表記されています。
最初の数字、たとえば「8」は、「どれだけ大きく見えるか?」を表す数字、「8倍」などとも言います。

2番目の数字、たとえば「25」は、対物レンズ(目にあててのぞくところの反対側=見るものに向ける方のレンズ)の直径(ミリメートル)を表します。

シマエナガを観察するのであれば、見え方、大きさ、重さなどから、「7〜8倍」×「20〜25ミリメートル」くらいが、良いと思います。

ネットで購入しても良いのですが、メガネをかけたまま双眼鏡を使いたい方は、家電量販店などで、メガネをかけた状態で、実際に双眼鏡をのぞいてみて、「目をあてるところ(アイポイント)」がしっくりくるかどうかを確かめてから、お買いになった方が良いかもしれません。

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撮影:hajime7212 さん

モフモフのシマエナガと会うためには?

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撮影:forest_limit さん

体重はたったの8グラム、レタスの葉1枚よりも軽いシマエナガちゃんは、冬になると寒さをしのぐために、羽毛をふくらませ、そのすき間に空気を貯め込んで、体温を逃がさない「雪だるまモード」の、モフモフ「丸ポテ」姿になります。

それが雪の妖精とも呼ばれる、シマエナガの魅力のひとつ。
せっかくなので、もし会えるのなら、そんなモフモフにふくらんだシマエナガちゃんに会いたいですよねー。

「モフエナガ」と出会うための5つのポイントをまとめました。

①気温は低いほど良い

・気温が低いほど、羽毛をふくらませて断熱効果を高めます。
・マイナス5度くらいまで冷え込んだ朝がオススメです。

②風はないほうが良い

・風が強い日には、あまりふくらみませんので、風のない日を選んで。

③時間帯は、朝がベスト、日の出から午前10時くらいまで

・夜が明けた早朝は、エネルギー消耗のピークなので、体温保持のために、シマエナガたちは最大限にモフっとふくらんでいます。
・さらに、朝の方が、日中よりも動きがゆっくりです。

④薄曇りか、小雪の日を狙う

・晴れていると、太陽の熱をカラダで吸収しようとするのか、羽を縮めてしまうことが多いようです、薄曇りか、雪がわずかに降るくらいの日がオススメです。

⑤エサを探していない状況を狙う

・どうしてもエサを探して俊敏に動き回っているときは「モフ度」が下がります。
・エサ探しの休息中や、エサを食べずに「見張り」をしている子を探すのが良いかも。

Sitakke
撮影:mya0618 さん

ここまで、シマエナガと会う方法についてお話ししてきました。
後編の記事では、シマエナガのカワイさのヒミツ、さらにはちょっとしたシマエナガ・トリビアなどについてお話しさせていただきたいと思います。

◆文:インスタグラム「北海道3大かわいい動物」プロジェクト事務局 / ami_papa
1987年からカメラマンとして北海道の自然や野生生物の撮影を始める。アメリカのイエローストーン国立公園やカトマイ国立公園、デナリ国立公園での取材も経験。2020年から「北海道3大かわいい動物」プロジェクトを主催し、InstagramやSitakkeの記事で発信しています。

◆編集:Sitakke編集部IKU

※掲載の内容は記事執筆時(2025年12月)の情報に基づきます。

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