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そば、うどんはあるのに…「立ち食いラーメン店」をあまり見掛けないのはなぜ?出店の大きなハードルとは

  • 2025.12.13

寒い時期はうどんやそば、ラーメンのような温かい麺料理が食べたくなります。駅の構内には、立ち食いうどんやそばの店がよくあり、電車での移動時、席が空くのを待つこともなく食べられ便利です。一方、同じ麺類である立ち食いのラーメン店はあまり見掛けず、不思議に思ったことはありませんか。立ち食いうどんやそばの店はあるのに、立ち食いラーメンの店をほとんど見掛けないのは、なぜでしょうか。飲食店専門経営コンサルタントの成田良爾さんが解説します。

ラーメンは提供に時間がかかる

立ち食いラーメン店をあまり見掛けない理由は?(画像はイメージ)
立ち食いラーメン店をあまり見掛けない理由は?(画像はイメージ)

基本的に、立ち食いの飲食店の“売り”は、安価で短時間で食べられることです。ビジネス街や駅のホームに、立ち食いうどんやそばの店が多く立地していますが、うどんやそばは、丼や定食などよりも、提供までの時間や食べる時間を短時間にすることが可能であり、「短時間で食事を済ませたい」という顧客ニーズに応えやすいからです。

また、10年ほど前からフレンチ業態やイタリアン業態、ステーキ業態など多くの飲食業態で、顧客からの「良質の料理を安く」というニーズに応え、食材原価率が高くても経営が成り立ちやすい「立ち食い」「立ち飲み」の店を増やすようになりました。

ところで、そばやうどんと同じ麺類でも、「立ち食いラーメン」の店をあまり見掛けません。なぜなら、ラーメンは、うどんやそばに比べると提供までに時間がかかり、価格も高くなってしまうからです。スープの仕込みに長時間かかるケースは珍しくありません。

また、ラーメンの麺には、小麦粉に混ぜることで、やわらかさや弾力を持たせるアルカリ塩水溶液である「かん水」が使われています。麺をゆでるとかん水が溶け出すため、湯を早めに交換しなければなりません。また、ラーメンを作る際は油分の多い排水が出るため、処理に手間がかかります。

さらに、ラーメンはビジネス上、競争が激しい分野です。例えば、コンビニエンスストアでは有名ラーメン店が監修したカップ麺やチルド麺が売られており、ラーメン店に行かなくてもラーメンを手軽に楽しむことができます。そういったところに「立ち食いラーメン」が広がらない理由があるのではないでしょうか。

なお、九州では、立ち食いラーメンの店が、他の地域に比べて多いです。その理由は、九州で主流のとんこつラーメンの細麺が、ゆで時間が短時間で済むことに関係しています。さらに、麺の硬さを「かなり固め(バリカタ)」で注文する客も多く、その場合のゆで時間は20秒ほどです。

「安価で短時間」のニーズに応える立ち食いラーメンの店を経営するには、先述したようにクリアすべき問題も多く、なかなか難しいと考えます。

しかし、昨今広がりを見せるフレンチ業態やイタリアン業態、ステーキ業態の立ち食いの店や立ち飲みの店のように、原価が高い食材を使用しても、客の回転数アップや固定費減で経営を成り立たせるのも、立ち食いの店ならではの魅力と言えます。

近年、食材価格が高騰しており、閉店する飲食店が増えています。立ち食いや立ち飲みは、飲食店が値上げをせずに生き残る手法の一つだと私は考えています。クリアすべき問題が解決すれば、今後、立ち食いラーメン店が増えていく可能性があります。

オトナンサー編集部

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