1. トップ
  2. 「不妊の原因、半分は男性にある」婦人科へ行くのが恥ずかしい?受診をためらう夫のプライドが心理的ハードルを乗り越えるには【作者に聞く】

「不妊の原因、半分は男性にある」婦人科へ行くのが恥ずかしい?受診をためらう夫のプライドが心理的ハードルを乗り越えるには【作者に聞く】

  • 2026.2.25

結婚して2年、妊娠の兆しがない夫婦。妻のうさぎは勇気を出して婦人科を受診し、そこで「不妊の原因の半分は男性側にもある」という事実を知る。しかし、夫のカエルに検査を促すと、返ってきたのは「俺は元気だしストレスもない」「婦人科は居心地が悪い」という拒絶だった。

現役の泌尿器科医であり、自らも高度生殖補助医療(ART)を経て父となったサラリ医マン(@saraly_man)さんは、こうした男性側の心理的障壁を打破するため、鳥獣戯画のキャラクターを用いた漫画『男性不妊戯画』を制作。X(旧Twitter)で2.3万件の反響を呼んだ本作に込めた想いと、医療現場での葛藤を聞いた。

「責められている」と感じさせない工夫。男性が読みたくなる“中立的スタンス”の重要性

男性不妊戯画 第一巻(3) 画像提供:サラリ医マン(@saraly_man)
男性不妊戯画 第一巻(3) 画像提供:サラリ医マン(@saraly_man)

妊活情報の多くは女性向けに発信されており、啓発コンテンツの中には男性の非協力的な面が強調されるものもある。サラリ医マンさんは、こうした見せ方だけでは、かえって当事者の男性が心を閉ざしてしまう可能性があると指摘する。

公的機関の情報は堅苦しく、一方で漫画になると「最後に夫が雷に打たれたように改心する」といった極端なストーリーになりがちです。これでは男性は責められているように感じ、心を閉ざしてしまいます。今回の漫画は「あなたのプライドや気持ちもわかる。でも、まあちょっと協力しましょうよ」というスタンスを大切にしました。

男性が主体的に取り組めるよう、あえて女性目線に寄りすぎず、男性が手に取りやすい作風とストーリーを追求。フリーコンテンツの「鳥獣戯画」素材を活用し、デザイナーのダーヤマ(@TopeconHeroes)さんと協力して、親しみやすくも正確な医療情報を届ける工夫を凝らした。

「婦人科は居心地が悪い」という本音。泌尿器科という選択肢を提示する

多くの男性が検査をためらう大きな要因が、待合室のほとんどが女性である婦人科への抵抗感だ。本作では「泌尿器科でも検査が受けられる」という、意外と知られていない情報を提示している。

私自身もARTにより子どもを授かりましたが、女性が多いクリニックに男性一人で紛れ込む居心地の悪さ、採精への心理的抵抗、結果が悪いときに自分自身が否定されるような感覚など、頭では理解していても納得しきれない部分がありました。

不妊治療の現場では、妻に連れられて嫌々来院したように見える男性も少なくない。しかし、個別に向き合えば、誰もがパートナーを大切に思っている。だからこそ、サラリ医マンさんは診察室で「来るだけで立派です!」と、まずはその一歩を肯定することから始めている。

「なんとなく描いていた未来」が止まったとき、夫婦でどう向き合うか

漫画の中のカエルは、再検査を経て通院を始める。そこで初めて、予約、待ち時間、精算といったステップが、いかに妻の負担になっていたかを痛感する。

なんとなく結婚して、なんとなく子どもができる。そんな当たり前に思っていた未来が、突然順調でなくなることもある。自身の妊活経験も投影された本作は、単なる医療知識の解説に留まらず、「夫婦であることの意味」を問い直す物語としても深い共感を呼んでいる。

NHKなどの大手メディアでも取り上げられた本作は、1人で悩み、情報を得る手段がない男性たちにとって、暗闇を照らす一つの灯火となっている。

取材協力:サラリ医マン(@saraly_man)

※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

元記事で読む
の記事をもっとみる